English Lacrosse Associationの戦略 – 2013-2017戦略プラン

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English Lacrosse Associationの戦略プランの内容について2013-2017プランを中心に紹介していいきます。調査したところによるとELAは大きな改革期にあるようです。皆さんは2010年男子ワールドカップで日本が4位、イングランドが5位となったことを覚えていますか?その当時と比較して体制や取り組みが刷新されていることがよくわかります。 そして2015年度の女子U19ワールドカップではオーストラリアを破って同大会ではイングランド史上初めての銅メダルを獲得しています。

イングランドでのラクロスの広まり

1876年にカナダのモントリオールのチームがラクロスのエキシビジョンマッチをイングランドで開催しました。1883年に同じチームが二回目のエキシビジョンマッチを行った際には60のクラブチームが存在したとされています。その後1892年にEnglish Lacrosse Union (ELU)が設立、1996年にはSports England (*1) のガイダンスに従いEnglish Lacrosse Association (ELA)が設立されました。

(*1) Sports EnglandはEnglish Sports Councilのブランド名で、スポーツ政策にかかる行政機関としての業務を代理執行する権限が与えられている。National Lottery Distribution Fund(国営宝くじ収益金分配ファンド)からの財政支援を財源として運営されている。

ELAの新体制

2013年から2014年はELA運営の大きな転換期となりました。外部コンサルタントを雇い、丸一年をかけて、新CEOのもと現場レベルの意見を反映できる意思決定プロセスに変更し、財務報告を改善しました。(それもあり私がリポートにアクセスして記事が書けるわけです)

“The English Lacrosse Board is in the process of transition from an historical game representative Executive Committee to a new style business and strategic Board.”

現ELA CEOのMark Coupsの前任David Shuttleworthは25年間CEOを務めました。Mark Coupsは「その遺産には敬意を表しベースとしつつ、プロフェッショナルとして競技人口増加のために考え、行動し、結果を残すことが大事だ」と述べています。自国開催される2017年の女子ワールドカップ、2018年の男子ワールドカップに向けて、フルタイムスタッフを雇用し競技人口拡大と認知向上を計画しています。フルタイムスタッフ数は現在16名程度とのこと。

なお、メンバーシップは2009年から比較して2012年時点で166%の28,000人程度まで増加しています。

4か年プラン

ELAでは4か年プランに基づき戦略が練られています。これはSports Englandからの助成金を得るスパンに合わせたものです。Sport Englandは、2013年から2017年の間に、46のスポーツに、493百万ポンドの助成金を拠出することを決定(*2)していますが、これは各スポーツのプランに則って決められるものです。

ELAのビジョンは「ラクロスをイングランドで最もメジャーなチームスポーツの一つとする」ことです。いいですねー。

(*2) 最も助成金が多かったのは自転車で32百万ポンドが割り当てられた(2016リオオリンピックでは12個のメダル獲得)。ラクロスは3.4百万ポンド。

Sports England助成金一覧(抜粋)
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出展:Sport England 編集:村松

未経験者取り込み

2013-2017プランではSport Englandから3.4百万ポンドの助成金を得ることに成功しています。具体的にはメンバーシップを2013年対比145%とするための取り組みをすることを掲げています。例えば未経験者取り込み強化(INTOプログラム)に力を入れるなどです。このINTOプログラム、映像だけだとあまり伝わらないのですが、実績としては2011年から2015年までに11,000人が参加したそうです。

BUCS(カレッジスポーツ)

また、British Universities and Colleges Sport (BUCS) (*3)での競技人口拡大を課題として取り組んでいます。

(*3) BUCSはUKにおけるカレッジスポーツの統括組織として、BUSAやUCSを前身として、2008年に設立。それまで分裂していたカレッジスポーツ組織が徐々に統合され、100年の歳月を経て最後にひとつとなった組織。各大学は各競技の順位により得られるBUCS Pointsの総合獲得ポイントによって順位を争う。Kukri SportsやRed Bull、Molten Sports、Deloitteなどがスポンサー。

Higher Education層は競技人口としても財政援助としてもELAにとって大きなインパクトがあるのでBUCSでの競技人口拡大は重要な課題です。BUCSには男女ラクロス合わせて210校が参加しており毎年4000名を超えるラクロス卒業生が輩出されます。ELAはこの層を如何にラクロスに繋ぎ止めるのかをを課題としています。

BUCS Strategic Plan for Lacrosse 2012-2015 
BUCSのプランによると、学生が、生活費と学業と就職のプレッシャーがあるなかでスポーツに意義を見出せるかということがポイントとして指摘されています。

なお、女子ラクロスは高校のプログラムとして確立しており、大学入学前に経験しているプレーヤーが多くなっていますが、男子ラクロスは高校のプログラムとしては確立していないため、大学から始めるプレーヤーが多くなっています。

草の根レベルで解決すべきこととして、ゲームの開催される水曜日の午後にオフィシャルがいないことがプレーのクオリティを下げていること、男子ラクロスの道具へのアクセスの問題等が指摘されています。

メディア

2009-2013プランではメディアコミュニケーション強化を実施しています(ELAのウェブサイトは意外と充実していると感じていたのですが、これが要因)。Lacrosse TVなどを開始しました。メディアコミュニケーション強化は引き続き課題としてあがっています。

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ELAはコーポレートパートナーシップとしてRathobones Investment Group、Under Armour (2014)、STX、Manchester City Councilと提携しています。年間の便益は150千ポンドとのことです。2017年には女子ワールドカップ、2018年には男子ワールドカップが開催されますが2017年女子ワールドカップのタイトルスポンサーにはRathobones Investment Groupが内定しています。

コーチングプログラム

ELAは海外からのコーチを招へいするLacrosse Development Officer制度を1982年から実施しています(特に米国経験者)。2016年度はUK Visas Immigration (UKVI)の要請によりプログラムの変更を余儀なくされています。

ELA財務状況

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出展:English Lacrosse Association 編集:村松

ELAは財務諸表の詳細公開を2014年度から始めています。Sports Englandによる助成金を得られるようになった2009年度から収入が増加していることがわかります。内訳で見ると収入の半分は助成金、コーチングプログラムはやや持ち出し、支出ではスタッフ給与やイベントプログラム運営費が比較的大きい項目になっています。

まとめ

ELAは2013年以降で体制を刷新し、そのビジョンは野心的です。BUCSの大学ラクロスリーグは盛り上がりを見せており、登録人数は拡大しています。ユース世代への広まりでは、女子は学校のプログラムに比較的多く組み込まれいるため南部中心に継続的な広まりを見せているものの、男子は北部クラブリーグでの広まりにとどまっており、これは課題の一つといえそうです。

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Hayato Muramatsu

Hayato Muramatsu

投稿者プロフィール

①名前:村松 隼人
②職業:スポーツテックベンチャー
③出身:慶應義塾大学
④ラクロス歴:15年
⑤ラクロスで得たもの:アスリート思考

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