ラクロスのフィジカルトレーニング(筋力編)

持久力編の追記

前回の記事、読み返して少し反省しました。
所属チームで出すメニューは、「走るだけ」のメニューだけではありません!
むしろ走るだけのメニューの方が少なくて、ステップやジャンプ、何かをしながら走る方が多いです!
課題をクリアするためには走らないといけない設定を作るのが僕の仕事です!
ラクロスという競技の一部分を切り取って、競技に合わせた設定をすることが多いです。
チームでフィジカルのメニューを出すひとは狙ったスピード、設定したレストが守れていますか?
また、けがなくとは言いませんが、それらの強度や頻度は適切ですか?
本当にラクロスの競技に合ったメニューですか?

そういったことを何度も見直しながら改良していってください!
新しいメニューを出したときは、「微妙だったなー」ってときもあります。
それをどう変えればうまくいくか、違うメニューに置き換える方がいいか考えなければなりません!
前回お話ししたようにトレーニングには時期があるので、いまの時期以外のメニューも含めると、いまのチームで使うグラウンドで行う持久力トレーニングメニューは少なくとも20種類くらいはあるんじゃないかな?と思います。
これを週や月、時期ごとに組み立てていきます。

具体的なメニューはチームの文化的・社会的背景も考えないといけないので、もう自分自身で考えてバリエーションを増やすしかないです。
そこを知りたいときは、(僕もまだまだ偉そうなことを言えない、良いメニューを探す日々ですが、)フィールドで会いましょう!
これは直接じゃなければ話し合えないし、伝わらないと思っています。

筋力トレーニング

前置きが長くなりましたが、今日は筋力について。
これも安易なのですが、ラクロスのフィジカルトレーニングを持久力編と筋力編の2つに分けました。
ちなみに【体力】はそのほかにも敏捷性、協応性、柔軟性、平衡性など様々な要素があります
コーディネーション(調整力):初めてやることが上手にできたり、複雑な動きでもできるための能力も重要です。

それらの体力要素の1つが筋力であり、これも非常に重要な項目です!

「筋トレ」
どういうイメージが浮かびますか?

●トレーニングルームでバーベルを使ってベンチプレスやスクワット、ダンベルを使ってアームカールなど
●体幹トレーニングと称したプランクなどのスタビライゼーショントレーニング
●家でもできる腹筋や背筋、腕立てなど

全部そうなんですよ、筋力トレーニング!
筋力アップのためにやってるトレーニング。
でも、筋力にもいろいろあって、【負荷量、回数、レスト、セット数、動き方(挙げ方)】によってどんな筋力に効果があるか変わります!
つまり、どれぐらいの重さ(強度)を何回、何セット、セット間のレスト、どのように動くかで変わるということです!

筋力の種類

上記したように筋力トレーニングにも種類があります。

最大筋力:筋を肥大させて筋量を増やす
(筋トレといえばこれを行っているチームが多いのではないでしょうか?)

スタート筋力:力の立ち上がりを速くする

スピード筋力:加速する力(説明が難しいですが、軽いものでも短時間で加速させる)

弾性筋力:ばねのような爆発的な力(連続ジャンプやバウンディングなど)

筋持久力:力を長く発揮できる能力
(グラウンドでのトレーニングはこれを行うチームが多いのではないでしょうか?)

一言で筋力といってもこれらの種類に分類できます。

筋肉が収縮するためには神経の発火が必要です。
神経が「動け!」という指示を出さなければ筋は収縮しないのです!
そのため、筋を肥大させて構造的に大きな力を出すことができるようにすることも重要ですが、様々な収縮の仕方(ゼロからの速い立ち上がりや素早い反復動作など)ができることも重要です!

僕はこの神経系の要因をより重要視していて、【どのようにうまく様々な筋収縮(運動)のパターンを正確なタイミングで十分な力で起こせるか】の練習をグラウンドでトレーニングしたいと思っています。

一般的には、、、
最大筋力を高めたいとき(構造的に筋を大きくさせたい)
8回~15回程度をぎりぎり持ち上げられる重さ[8RM~15RM程度]で8~12回が一般的です。
レストは長くとも3分まで、不完全休息にすることに意味があります。
セット数は慣れれば5セット以上が望ましいです。
慣れないうちは2~3セットから始めましょう。

【RMとは】
Repetition Maximumの略で例えば1RMだと1回は挙げられるけど2回は無理!という重さのことです。
ちなみに8RMは1RMの約80%の重さで、15RMは約70%の重さです。

●パワーを高めたいとき(神経系を改善させたい)
1~7回をぎりぎり持ち上げられる重さ[1~7RM]で行う。
回数は1RMで1回、3RMで3回、7RMで7回などのmaximum repで行います。
レストは次のセットを集中して行えるまでしっかりと取ります。

●筋持久力を高めたいとき(力を長く発揮できるようにしたい)
20回以上できる重さや動きで行う。
回数は20回以上を目安に行います。
レストはかなり短くできれば30~60秒以内にします。

ラクロスに必要な筋力トレーニング

ここからは完全に僕の意見であり、異論があるひともいると思いますが、
グラウンドにいると、
自身の体重を使う「自重トレーニング」すら正確に行えない選手もいます。
自重を操れない選手は自重トレーニングで負荷をかけていくべきだと思います。
自重トレーニングでも工夫をすればある程度までは負荷を高くすることができます!
ウエイトトレーニングを否定するわけではありません。
それに、ウエイトトレーニングも環境があればするべきです。
注意してほしいことは、正しい知識がなければ、ウエイトトレーニングはけがをする危険があります。

もう1つ、
ラクロスという競技の筋力トレーニングにおいて最大筋力の強化ばかりを行う必要はないと考えます。
もちろん最大筋力は強化するべきですが、
競技中に発揮する筋力はゼロからのスタート筋力やスピード筋力 方向変換するときのスタート筋力、ショットを打つときのスピード筋力など
高い筋力を発揮するよりは、筋力の立ち上がりや速さといった神経系の要因が求められる場面が多いと考えます。

ただ、接触プレーのときの”あたり”や障害予防のためには最大筋力を高めておく必要があると思いますし、
誤解してほしくないのは、筋力は必要です!
また、基本的には最大筋力が高まっていなければ、パワーのトレーニングは高強度であるため安全性に欠けます
質の高い高強度のパワーを高めるトレーニングを安全に行うためにも、最大筋力を高めることは重要です!

僕が筋力トレーニングのメニューを立てるときは
下半身:太ももの前・後、殿筋群、内転筋、ふくらはぎ
上半身:背中、肩周囲、上腕(特に三頭筋)、前腕、胸

この順に重要視していると思います。(体幹は抜いていますが体幹も大事です。)

女子ラクロスのトレーナーをしていると、内転筋の不調を訴える選手が多いです。
これは競技柄パワーポジションからのステップ動作が多いことが考えられます。
そのため、内転筋の強化も大事にしています。
また、肩の障害は棘下筋に不調を訴える選手が多いです。
そのためローテータカフといわれる肩の安定性に寄与する筋群のトレーニングも行うようにしています。

筋力強化のメニューは競技と関連する部位を優先的に全身を一般的なあたりまえのメニューでいいです!

スクワット、スプリットスクワット、ブルガリアンスクワット、ヒップリフト、四股、
デッドリフト、懸垂、ベントオーバーロウ、腕立て伏せ、リバースプッシュアップなど

最後に

いつも長くなって申し訳ありません。
誤って伝わらないように。と思うとあれもこれも言いたくなります。
まだ言い足りませんが、、、

この記事で言いたかったことは、
筋力トレーニングもどのような筋力を強化するかによってメニューの強度や回数に変化をつけなければなりません。
「じゃあ、このメニューを20回!」
その回数に意図はありますか?意図がなければいけません!

オフシーズンは筋力トレーニングの正しいフォームを確認し、最大筋力の強化や動作を続けられるように筋持久力の強化を行い、

春や5月頃から神経系に刺激を与えるように競技動作に近いような複合的なトレーニングを行い、

シーズン前爆発的なパワーを発揮できるように強度の高いジャンプやダッシュを行い、

試合期にはピーキングを行う。
これがおおよその時期別の筋力トレーニングだと思います。

筋力トレーニングはあくまで補強トレーニングだと思います。
これをしたからといって直接的にプレーがうまくなるわけではありません!
しかし、プレーの幅を広げたり、プレーの質を向上させる可能性も十分にあります!
オーバーユース(使いすぎによるけが)を予防するためにも大事です!
何のためにどのような筋力トレーニングをするか。
フィジカルトレーニングもすべてのメニューに意図をもたせましょう!

【参考文献】
図子浩二(2013):第5章トレーニング論Ⅱ トレーニング理論と方法論.公認スポーツ指導者養成テキスト 共通科目Ⅲ,104-117
テューダー・ボンパ(2006):競技力向上のトレーニング戦略
Emidio E Pistilli 他(2010):ラクロスの競技特異的な筋力トレーニングエクササイズ

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