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【こぶ平レポート】大学女子のいま|関東・関西決勝&全日本大学選手権大会

11月11日 全日本ラクロス大学選手権に向けた、3つの重要な戦いが実施されました。
ご覧になられた方も多いと思いますが、今日は女子の結果の考察を書きました、試合を振り返りながら、そういう面もあったのか?というような事を思っていただければ幸いです。
又、全日本選手権大学、クラブゲームの見方について少し紹介しておきます。




関東学生リーグ 決勝戦/明治大学 vs 慶應義塾大学

思い起こせば、2014年11月15日(土)場所は同じく駒沢オリンピック公園第二球技場
前年まで関東2連覇の慶應義塾の壁を突破できなかった明治大学の歴史を切り開いたルネサンスな日でした。そこから日本一2回連続を含む関東3連覇。関東で正に明治の時代を作り上げたIGAWA_Meijiがほぼ順調に駒を進めた決勝戦。
明治の4年生は関東で負けたのは昨年の東海大学とのリーグ戦の時だけで、勝つには何をすれば良いか分かっているメンバーです。

対戦相手は、当時と同じく慶應義塾大学。
こちらも振り返れば、その2014年に関東覇者の座を明け渡してから2015年は準決勝で敗退。昨年は決勝トーナメントにも進めなかった。そういう意味ではリアルにその場に居た、4年生の心境は勝ちに飢えるとともに、自信が持てない状態ではなかったでしょうか?

さらに加えると、両校の4年生3年生は、1,2年時のサマー、ウィンター、あすなろ大会という新人三冠を、4年生は早稲田に、3年生は東海に叩かれ、結果を残せていない世代でもあります。
そんな、世代が中心の両チームが、勝ち上がってきた事の中にラクロスの進化を理解する鍵があると思っていました。

両校がどのようにして進化(というか、1年時からの負の経験を克服)してきたかを知ることは、来年対戦することになる各校だけでなく、ラクロスの進化を助けるような気も(勝手に)するので、こんなことから書き始めます。長くなりますがお付き合いください。

【明治大学の場合】
この4年間、順風満帆のように外からは見えますが、優勝を勝ち取るまでの数年間と優勝後の3年間の選手のみならず、コーチスタッフの皆さんの努力はすさまじい物という事は側聞されているかもしれません。
明治ラクロス部の特性は、最近少しはいますが、6年前ぐらいは(このあたりから、選手の皆さんの意識の変化を見ていました。)ラクロス経験者はほぼいないし、スポーツによる推薦入学、スポーツや体育に特化した学部もない事から、“新しい物を作る、部としてのスタンダードを作りながら進化していく”という物ではないかと思っています。
その中で、2012年、13年リーグ戦決勝トーナメントに導いた世代の果たせなかった夢の達成が核となって、高い目標数値をクリアすることができ、100人以上の部員をまとめ上げるリーダーシップの基本が踏襲される環境を維持したことも、着実な進化をもたらせたのだと考えています。(妄想ですかね?)
2013年度卒業世代というのは、日本の女子ラクロス界の1つのキーワードだと思っています(今の日本代表レギュラーの7割がこの世代であるという点でも)が、その世代の中心が明治にも居て、その勝ちに繋げたいという思いが後輩の胸にも届いたから、2014年からの「明治時代」を演出することができたと考えるのはいかがでしょう?

実は2013年、慶應義塾にもそのチャンスはあった。しかし何故、慶應時代は2年連続で終わったのか?それは後で妄想します。

閑話休題
明治大学は、この6年余りで作り上げたマニュアルに、新しいページを書き込むことが正に進化であるという、ラクロス界のリーダーになった。しかも、進化の為には昨年の段階までたどり着いたその先の努力を尽くす事、それは具体的な指示をするアシスタントコーチの皆さんも認める程の内容の濃さになります。(それでも妥協はしなっかのでしょうヘッドコーチもいるからこそ揺るぎない物になったのでしょうね。)
それにより、今年どのような進化を遂げる方向かを決めて、そこに行くまでの努力は選手が惜しみなくするようになる明治。
前後半動けて、早く、速く判断とチェックを行う能力を持ったものが、さらに審判の目を持って、ゲームマネージメントをできるのが彼女たちの力のベースとなり、そこから、動きの質を徹底的に見直して、相手をコントロールする領域にまで進んだのが今年の明治
だと思っています。さらに、その中で昨年よりゴーリーの動きの質、量とも向上したのは一つの特徴でした。
それは、開幕の対立教戦で明確になり、強さを立証しました。そして、準決勝フェーズではさらに1段高いステップに上り、いわば1、2年世代で負けていた、東海大学との準決勝でもより高いマネージメント能力を発揮したのだと推測できます。(これは推測ですが詳細は別途振り返りたいと思います。)
そして、臨む決勝戦にチームの想定があったと試合後おききしました。
慶應に対して、前半3点差ぐらいのリードを得る。
後半はゲームをマネージメントしその差を詰められても逃げ切る。
ということ。

ゲーム初めに、私の想定は、3点差ぐらいで慶應義塾がリードできれば、面白いゲームになるという予想でした。実際には明治さんの想定の方が当たり前ですがしっかりしていた訳です。

【慶應義塾大学の場合】
一番最初で述べた通り、今年の4年生世代、3年生世代は負けた印象を抱えこむような3年間を経験しています。

実際には2012年、13年関東連覇のDNAがうまく継承されなかったのは何故か?これは完全な妄想ですが、連覇の世代の個性は強烈でした、その個性で連覇を達成したためにその世代への依存体質ができたのではないかと思っています。
その部分が、明治の負けから繋ぐ全体への意識への謄写と異なり、慶應の時代を持続し得なかった。と思っています。

そのような中で、残された選手の思いはかなり弱者の意識が上がってきます。実際先日の慶應のブログ等からは、新チーム結成時には2部落ちすら想定したという幹部の方の話も載っていました。そこから、いかにして関東のTopに上り詰める方向にもって行かれたのか、もちろん詳細はわかりません。日本一にでもなられた後に、手記でも出して欲しいぐらいです。

ただ、表面に少しずつ出てきている事象をつなぎ合わせると、今年の慶應義塾ラクロスの進化が見えてきたと感じたことを書いていきます。
こんなデータがあります。
2017年日本代表に含まれる大学選手数
慶應義塾 、明治 各5名
立教 、東海、早稲田 各3名
南山 、同志社、青山学院 、日本体育 各2名
関西学院、神戸、東京農業 、関西、武庫川女子、福岡、国士館、千葉、近畿 各1
選ばれた数の多い、慶應義塾、明治が最後まで残りました。

これは、慶應義塾、明治の進化の証だと思いますが、すべて3,4年生が選ばれており世代で、最初は後塵を拝していた選手が、個人的には追い抜いたことも示している事として紹介させていただきました。

つまり、この個人に対する評価が高い事は、弱気な心理に自信を注入することになります。
代表練習になると強者の論理や、日本代表経験者から目指す意識の高さ等を学ぶ機会もあります。そうした事実が立ち上がるきっかけにもなったのではないのでしょうか?
個々のレベル進化を評価され、しっかりと証明されてきた事を自信とし、チームに写しこむ事が、このチームでできてきたから、チームとして覚醒できたのではないかと言いたい訳です。
そこには、リーダーシップも必要だったと思います。明治大学のリーダーシップというのはここ数年定評があります。昨年などは、他校のHCからそのリーダーシップの良さをお聞きしました。

一方の慶應義塾大学いい意味で大人のクラブであり、個々の個性を発揮するようなリーダーシップメントを要求されているように見ていました。そしてその代表的な選手が今年の主将の#99さんだったと思います。
ただ、それではチームとしての力は下がってきているという2年間、同じ形だとうまく行かないかなと思ってみていました。
でも、変わりましたね。一番変わったのが慶應義塾だと思います。いつもよりみんなから声が出る、下級生も元気で、試合に出ない選手もチームの行く方向に一緒に向いている。
私は、一番の成果はそのことだったと思っています。
そこに、技術的なことと、システムとしてのチャレンジが融合し、明治ともどことも異なる走って、繋いで、奪ってドン!全員の走りが3割近くアップしてないか?と思えるような動きが、50分間持続するラクロスに変われた。これは全員の意識改革ができた事によるように思えています。

実際に、練習のプログラムはタフで、通常練習の負荷も高く、しかも練習後に高負荷の走りを加えておられたようです。それはそれは強いプログラムだと想像できますね。

そんな両チームの戦いになった決勝戦
前半膠着します。それは両チームにとっても想定外だったと思われます。
共通していたことがあります。前半開始早々、両チーム3秒ルールの反則を得ていますがそれ以降3秒はなくなります。両チーム、ゲームマネージメント上3秒やフリスぺを起こさない形で進めよう(あわよくば、粘って相手の反則を誘う。)つまり崩れないラクロスの実行が前半であり、後半にもその流れを引き継ぐところだった、、、
前半は、両チーム余裕がなく、攻撃のミスも重なったのも誤算だったかもしれません。結局ターンオーバーからの速攻を41番が決めた明治の1点リードで前半を終える形でした。
ところで、明治さんの場合四年間で背番号が変わります。そして、Aチームになるときに引き継がれる番号が、役割に応じてあるようです。41番だったり、4番、5番、17番等もその一つでしょう。役割は皆さん見て下さい。

今までの試合で、1点だけ両チームに共通している事があります。両チームとも後半に一気に差を付ける。それだけの運動量の差を持っている。ということです。(それを覆したのは、東海大学の対慶應義塾戦だけです)
その運動量の差がなければ、後半もこのまま。そこの均衡が崩れるのがいつか、注目をしていました。

後半5分ぐらい、思わぬところから破たんしたのは明治だった。
慶應のポゼッションを崩すべく、明治のゴーリーがパスを切る動きに出た時に、明治のDFが3秒ルール違反を取られてしまいます。そして慶應の#42のFSが無人のゴールに吸い込まれます。
1対1同点。ここから、慶應が活気づき、3分後には#96のDFを断ち切るランシューを決め逆転一気に支配モードに入り残り3分までに#11の2ショットなどで5対1までリードを広げ、最後の明治の気力の反撃を1点に抑えて勝利した試合でした。

ポイントは
・慶應の運動総量が明治を上回った事
・慶應の攻撃力(シュート力)が上回った事
でも、大きな差は、後半にフライで投入された#73,98等のフレッシュな戦力が、それ以前を上回る力を有していたという事を上げておきます。
明治は最後まで、4,5,7,17,41,62の動き次第だったかもしれません。

男子選手が面白い事を言っていました。「女子ってフライ少ないね!」そうなのです。フライを戦略的に使うチームは多くない(クラブになると変わりますが)一つには選手層の事もあるのでしょう。慶應の全員運動力強化が最後の後半に効果的に発揮されたというのは、ずいぶん示唆的だと思います。

関東の女子決勝戦は4年の思いも含めて、勝負に拘ったゲームに見えましたが、その中身は高度に進化した、技術、マネージメント力の応酬だったとは思います。

明治さんの巻き返しと、慶應さんが次はどこへ向けて進化するのか、来年が待ち遠しいそんな試合でした。



関西学生リーグ/5年ぶりの優勝を狙う同志社vs関西 初優勝を狙う戦い

関西学院を破り意気上がる関西大学も初めての決勝では、厳しかったが、U22代表のリードで6対4まで迫った事は来年にも繋がるはずです。
結果は10対5で2012年以来の全国大会へ進出です。

日本代表選手2名を有し、徹底した負荷から今年の関西を制した同志社大学は、11月18日大阪で福岡大学(3地区代表)と準決勝を戦います。

全日本選手権1回戦/北海道大学vs福岡大学(3地区代表)

悲願の全日本大学選手権勝利に向けて強化をされ、北海道地区を圧勝で抜けた北海道も、接戦もあり、他地区の強豪を制し、U22代表も有した福岡大学には及ばず、又も全国での勝利は叶わなかった。スコアは 3対9

北海道地区全体で、プログラムをン練り直し、地域のレベルを高め合う取り組みはされていると思いますが、協会の指導者派遣プログラム等で強化のプログラムを作り直してがんばって欲しい所です。

そして、福岡大学。2009年優勝した東海大学を準決勝で苦しめた、系譜が引き継がれているはず。地域全体の強化策も成果を出しつつあることを、関西代表を破って示したい所でしょう。

11月18日行われる 名古屋地区、大阪地区での全日本大学選手権ラクロス 準決勝
南山大学 vs 慶應義塾大学、 同志社大学 vs 福岡大学

注目です。詳しい楽しみ方は次回。

ご感想下さい。

こぶ平


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