伝説のラクロスプレーヤーCasey Powellの現役引退
ラクロスの伝説的プレーヤーのCasey Powellが今シーズンでMLLを引退することになりました。取材をとおして彼のキャリアを振り返る記事を紹介します。Powell3兄弟といえばGary Gaitに並ぶSyracuseの伝説的存在です。Casey Powellは長男でFlorida Launchに所属。2016年現在40歳ながら、2016レギュラーシーズンは全14試合中9試合に出場し23ポイント(チーム内5位)を計上しました。
ホームゲームでの引退スピーチ
彼の娘は2006年ワールドカップ日本戦の日に生まれたようですね。
ちなみに同じく41歳のJohn Grant Jrが今シーズン一試合で10ゴールを決めています。
Casey Powell Reflects on a Successful Career
下記記事はPhil Shoreの記事の私なりの意訳ですので、詳細に関しては原文をご覧ください。原文は最終戦前に書かれています。
新たな船出
伝説、スーパースター、史上最高。Florida LaunchのATであるCasey Powellを形容する言葉だ。Boston Cannonsとの試合を最後にCasey Powellは引退する。MLLでの素晴らしい12年のキャリアの最後の試合になる。
「私はできる限り長く激しくプレーをしてきた。そして今は、コーチをすることと、Casey Powell World Lacrosse Foundationに注目を集めることという、次のステージに進む準備ができている。」
5月26日、Powellは2016年MLLシーズンが彼の最後となることをツイートし、コーチのポジションを探し始めた。そして2週間後、Jacksonville Universityのオフェンスコーディネーターのアシスタントコーチに就任することが決まった。
「私にはコーチになるということが自然な選択だった。それはいつも私がやりたいことであった。私のゴールは最高のラクロスプレーヤーになることだった。今私は40歳になり、素晴らしいコーチやメンターになることによりフォーカスしたいと考えている。尊敬するヘッドコーチであるJohn Gallowayとともに、コーチとしてJacksonvillに加われることがとても楽しみだ。」
多くの若いタレントのいるFlorida Launchのためにプレーすることが、Powellのコーチになることへのシフトを速めた。FloridaのヘッドコーチであるStan Rossは次のように語っている。「私は彼を自由にさせた。シュートドリルの際には彼がドリルを率いた。まるで他にコーチがフィールドにいるかのようだ。試合のタイムアウトでは“Caseyどう思う?サイドラインから私にはこう見えた”というように。」
戦績
Powellは素晴らしいプレーヤーであり獲得した表彰は数えきれない。彼はSyracuse在学中に4度のAll-American、4度のAll-NCAA Tournament Teamに選出された。1995年にはSyracuseのnational Championship優勝に貢献し、1997年と1998年にはUSILA Division IのMOP(Most Outstanding Player)に選出された。その後もMLL優勝、MLL MVP。MLL Offensive Player of the Year、NLL MVPなどを獲得した。更にラクロスのビデオゲームであるCasey Powell Lacrosse’16の顔でもある。
しかしこうした戦績では現せないのが、彼が若い選手に与えるインパクトと影響力だ。
インパクトと影響力
Kieran McArdleは彼が初めてPowellに出会ったときのことを語る。「私は子供のころにファイナル4を見に行った。そこでPowell Hourに遭遇し、夢中になった。すぐに私はクリニックに参加した。私はまだ彼のサインボールを持っている。とても素晴らしい経験だった。」
Rossはヘッドコーチ在任の3年間で、McArdleの言う「夢中になる」状態について、Powellのチームメートがそのようになっているのを見てきた。「20年ほど前にPowellがプレーしていた時、多くのプレーヤーはまだ子供だった。子供の頃に憧れの存在であったアイドルと、今一緒にプレーできる。彼とのファーストプレーでは“ワオ、Casey Powellにアシストしちゃったよ”とかそんな反応だ。面白いダイナミクスだ。」
Powellはリアクションも心得ている。「私には若いプレーヤーの気持ちがわかる。なぜなら私もGary Gaitとプレーしたことがあるから。私もそうした気持ちを持っていた。自分のことをGary Gaitと肩を並べるスターだとは言わないが、私は素晴らしい経歴を持っているので、若いプレーヤーから見たら同じような位置づけだろう。彼が私に与えた影響はよく理解している。私がプレーをするときにその影響力を発揮できるのは素晴らしいことだ。」
Powellは20年にわたって多くの若いプレーヤーたちを刺激してきた。彼のゲームに対する情熱は凄まじく、だからこそここまで長くプレーしてきた。
「私たちは史上最高5本の指に入るラクロスプレーヤーについて話をしている。多くの子供たちがこの男のスキルに驚愕する。練習の時に私は彼のプレーに“そんなのずるい”とよく言ってしまう。彼は40歳にして高いレベルでプレーを続けている。私は彼のようにはなれない。」MFのJovan Millerは言った。
「彼はとんでもない動きやbehind-the-backsをする。私くらいの年齢のプレーヤーでも“あれどうやってやったの?”と聞いてしまう。何より、彼の年齢で試合に対する凄まじい情熱をもっているのが驚きだ。ライドであってもダイビングチェックをするし、エンドラインでボールを取ろうとダイブする。彼のプレーには驚かされる」McArdleは言う。
Powellはラクロスにレガシーを残した。素晴らしいスティックスキル、洒脱なパス、たくさんのゴールと優勝。史上最高のプレーヤーとして高慢になってしまうのはたやすいが、彼の場合はそうならないとMcArdleは言う。
「彼は私が今まで一緒にプレーした人の中でもとてもとっつきやすい人だ。フィールドから離れても彼はとても社交的で、誰かがラクロスのことで困っていると彼は助けてくれる。彼はラクロスの発展を願っている。Caseyは私のことをフィールドでもフィールド外でも助けてくれた。」Rossの記憶に鮮明なのはPowellの多くのゴールよりも、フィールド外での付き合いなのだ。
「私が思い出すのは、私とPowellが練習をしている横で、私の娘とPowellの娘がサイドラインで側転をしていたことだ。練習に車で一緒に行き、車の中で彼女たちは友達になったのだ。このリレーションシップは特別だ。」Rossは言った。
最後の試合に向けて
「ここ数週間、ソーシャルメディアに溢れるサポートは信じられないくらい圧倒的だ。これらは私が過去にどのようなインパクトを人々に与えてきたのかを振り返らせてくれる。フレンドシップと素晴らしい経験はラクロスをプレーすることを特別なものにしてくれる。」多くの人がPowellにインパクトを受けたように、Powellの最後のMLLの試合は感動的なものになるだろう。
「私たちはチームのプライドとしてだけでなく、Caseyを気持ちよく送り出すために、試合に勝ちたい。彼は試合に勝つことを欲している。彼が、ラクロスというスポーツのために、Florida Launchというチームのために、私個人のためにしてきてくれた全てのことのためにも、私たちは勝利をCaseyに贈りたい。」
この試合が素晴らしいキャリアの最後になるわけだが、Powellは先を見据えている。
「私には今後やらなければいけないことがある。私たちにはWorld Lacrosse Foundationがある。最後の試合では家族と、友人と、Syracuseの卒業生たちとともに、私のキャリアに乾杯したい。その瞬間を楽しみたい。チームメートといる時間を楽しみたい。両親をスタンドから探し出し、娘をフィールドに連れ出したい。きっと素晴らしい夜になるし、試合が楽しみだ。もちろん勝つためにベストを尽くしたい。」
全てのことには終わりがあるように、Powellのキャリアも例外ではない。20年もの間ラクロスの中心にいた彼がいなくなるのは奇妙なことだ。彼の引退をファンは惜しむだろう。
「私は皆さんに、私がラクロスを楽しんできた男だということを伝えたい。私は引き続きラクロスに深くかかわり、ラクロスに良いことをしていく。ただMLLのプレーヤーをやめるというだけだ。」