【睡眠】ラクロスで最大限のパフォーマンスを発揮する為の睡眠方法
睡眠時間を削る=頑張っているという価値観は、日本では根強いものだと思います。
最近では少しずつ変化しているようにも感じますが、それでも日本人の睡眠時間は世界最低レベルで短いです。
そんな睡眠不足の悪影響は、健康に悪いばかりか学業・仕事にも悪影響を与えます。
そして、スポーツのパフォーマンスにおいても睡眠不足の影響は深刻です。
最近では、サッカーのクリスチアーノ・ロナウド選手が睡眠コーチを付けるなど、スポーツ界でも睡眠を見直す動きが加速しています。
そんな睡眠について、「ラクロス選手が最大限のパフォーマンスを発揮する為の睡眠方法」を解説していきます。
睡眠について特に取り組んでいなかったラクロッサーや指導者の方には、ぜひ取り入れて頂きたい内容です!
睡眠不足がスポーツパフォーマンスに与える影響
まずは睡眠不足がスポーツパフォーマンスに与える影響の前に、人間の身体に与える影響です。
そもそも、睡眠は何のためにするものか分かりますか?
睡眠についてはまだまだ分かっていないことも多いですが、睡眠の主な役割はこのように言われています。
睡眠の役割
・脳のメンテナンス(脳内の疲労物質、ストレス物質の除去)
・身体のメンテナンス
・記憶の整理
簡単に言えば睡眠はメンテナンスです。
特に脳のメンテナンスという意味では非常に重要な役割を果たします。
一日活動することで、脳内には様々なストレス物質や疲労物質があります。それを除去することが睡眠の役割の1つです。
言い換えれば、睡眠不足は脳のメンテナンスが不十分ということです。また、脳だけではなく身体のメンテナンス時間でもあります。
姿勢保持筋という身体を支える上で重要な筋肉は、睡眠の中でもレム睡眠中に回復していると言われています。
さらに、記憶の整理はスポーツ動作にも大きな影響を与えます。
記憶というと暗記するような勉強のイメージが強いと思いますが、身体の扱い方も記憶の1つです。
自転車の乗り方、歩き方、パソコンのタイピングの仕方なども全て記憶です。
ラクロスで言えば走るフォーム、パスのとり方、ステップワークのやり方などが記憶です。
つまり、いくらがんばって練習をしても睡眠不足で記憶が上手く定着しないと効果は半減してしまいます。
せっかく練習しても睡眠不足のせいで効果が半減ではもったいないですよね?
しかし、多くの選手がそのような状態になっているのではないでしょうか?
睡眠不足とケガの関係
また、睡眠不足は怪我にも繋がります。
これはアメリカで行われた調査結果ですが、睡眠時間が8時間以上のアスリートの傷害の経験が31%だったのに対して、睡眠時間が8時間未満のアスリートは65%が傷害を経験したと報告されています。
つまり、睡眠不足は怪我をしやすいというものですが、これは睡眠の役割を考えれば明らかです。
睡眠不足=脳のメンテナンス不足ですので、判断力が低下しています。とっさの判断の遅れが怪我に繋がる可能性があります。
姿勢保持筋の休息が十分でなければ、その筋肉を怪我するリスクも高くなります。
このように様々な理由から、睡眠不足は怪我をしやすいと言えます。
睡眠不足とフィジカル能力の関係
睡眠不足になると、怪我をしやすいだけではなくてフィジカル能力も低下します。
アメリカのスタンフォード大学で行われた実験で、睡眠時間を延ばした結果体力測定がどう変わるか実験されました。
その結果、282フィート(約86メートル)ダッシュ走の結果が16.2秒→15.5秒(0.7秒アップ)になりました。
100メートル走で考えれば、1秒くらい早くなった計算です!
これだけの結果が2か月弱で出ましたが、どれだけトレーニングしても大学生のフィジカル能力が短期間でここまで上がるのは難しいです。
睡眠不足で発揮出ていなかった能力がしっかり発揮できるようになるというのは、これくらいの効果があるという結果です。
時差ボケとスポーツパフォーマンスの関係
最近では海外で活躍するアスリートが増えています。
海外で試合をする場合、問題になるのが時差です。時差対策が出来ていないと、本来持っているパフォーマンスをうまく発揮できません。
時差への対応は、1日に最大2時間程度と言われています。
時差が10時間あれば、対応するまで最大5日間は必要ということです。
これを逆算して試合の何日前に現地入りするかなども考えないと、選手が最大限のパフォーマンスを発揮するのは難しいと言えます。
睡眠の改善方法
では実際に睡眠を改善する方法をご紹介します。
睡眠改善の具体的な方法は、睡眠の量と質の2点から改善していきます。
最適な睡眠時間とは?
まずは睡眠の量です。
その為には最適な睡眠時間がどれくらいかを知らなければなりません。
最適な睡眠時間は人によって異なります。
年齢にもよりますし、個人差もありません。
一般的には年齢によって大きく変わると言われますが、成人であれば概ね7~8時間が適正な睡眠時間です。
ただ、激しい運動をするアスリートであればもっと必要と言われています。
当然ですが、日中の身体への負担が大きいほど回復も必要です。
個人差もありますが、ラクロスのような激しいスポーツを高いレベルで行っている選手には、8~9時間の睡眠時間+20~30分程度の昼寝が必要になると思います。
「6時間寝れば大丈夫」という話を聞いたことがある人もいるかもしれませんが、これに根拠はありません。
6時間睡眠を2週間続けた場合の脳の機能は、酔っ払いと同じレベルという実験結果もあります。
現状の睡眠時間が6時間程度の人は、まずは8時間を目標にするのがおすすめです。
睡眠の質を改善する方法
続いて睡眠の質の改善方法です。
睡眠健康指導として活動する中でよく聞かれることが「睡眠時間の短さを質で補う方法を知りたい」というものです。
結論から言えば、そんな方法はありません。
量よりも質か、質より量かという話ではなく、最低限の量がなければどれだけ質が高くても効果は低いです。
先ほどの睡眠時間の目安にあったような“量”を確保した上での質の改善となります。
睡眠の質の改善方法には様々な方法がありますが、「光の改善」「食事の改善」「体温の改善」などの方法がありますが、こちらでは「光の改善方法」をご紹介します。
人間の睡眠は、光に依存しています。
朝明るいと起きて、夜暗いと眠くなります。
大昔であれば、特に意識する必要がありませんでしたが、現代では照明があるので時間に合わせて照明をコントロールしないといけません。
まずは朝起きたら強い光を浴びることです。
専門的に言えば、強い光を浴びた14~16時間後に「メラトニン」という睡眠を促すホルモンの分泌が増えると言われています。これによって、自然な眠気がきて質の高い睡眠が出来ます。
強い光と言うのが、太陽光です。
曇っていても外の明るさは室内のよりも明るいです。
朝起きたら外に出て太陽光を浴びるというのが、睡眠の質を高める方法です。
逆に夜は暗くします。
部屋の照明は白色ではなく暖色(オレンジ色)の光の方が、睡眠の妨げにはなりません。
また、明るさそのもののも暗めに設定します。
そして最近、大きな影響を与えるのがブルーライトです。パソコンやテレビ、スマートフォンから出ている光はブルーライトという光が出ています。これを夜浴びると睡眠の質を下げると言われています。
寝る3時間前くらいから、このブルーライトを発する機器を使わないことで、睡眠の質が高められます。
いきなり3時間は難しいですが、まずは1時間前などからやってみることをおすすめします。
「夜布団に入ってスマホを見る」というのが、睡眠の質としては最悪です
寝る時はスマホを遠ざけるというだけでも、睡眠の質は向上します。
ラクロス選手の睡眠のまとめ
ラクロス選手の為の睡眠方法をご紹介しましたが、睡眠不足では本来自分が持っているパフォーマンスを最大限発揮することが出来ません。
逆に言えば、睡眠の質と量が改善することで本来持っているパフォーマンスを最大限発揮できるようになります!
睡眠不足がラクロス選手に与える影響をまとめるとこうなります。
・怪我をしやすい
・フォームなど技術習得の効率が悪い
・フィジカル能力が最大限発揮できない
・判断力の低下
睡眠の改善方法まとめがこちらです。
・睡眠時間をしっかり確保する(まずは8時間を目安)
・睡眠の質を高める取り組みをする
―夜はスマホを見ない
―朝は外に出て太陽の光を浴びる
―夜は部屋の照明を暗くする
まだまだ取り組むべきことは多々ありますが、いきなり全てを改善するのは難しいと思いますので、まずはこのような取り組みから始めてみてはいかがでしょうか?
多くのラクロッサーが睡眠を改善し、本来持っているパフォーマンスを発揮できれば嬉しいです!
この記事を書いた人
パーソナルトレーナー・睡眠健康指導士上級
パーソナルトレーニングスタジオhc-life代表
中谷圭太郎
中学生時代に野球部に所属し野球を行っていたが、度重なるケガを経験。
満足にプレーできない経験やリハビリの経験からトレーナーを志す。
2017年にパーソナルトレーニングスタジオhc-lifeを開業し、スポーツ選手やのパフォーマンス向上や怪我のリハビリトレーニングなどを担当。
トレーナーとして活動する傍ら、睡眠健康指導士上級の資格を取得。
睡眠セミナーを開催し、睡眠に関する記事の執筆やサイト運営も行う。
パーソナルトレーナー中谷圭太郎公式ホームページ:https://keitaro-nonaka.com/
睡眠健康指導士の快眠情報サイト:https://sleep-hc8.com/
パーソナルトレーニングスタジオhc-life公式ホームページ:https://studio-hclife.com/