キネマティクスによるラクロスの傷害とパフォーマンス分析

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スポーツ選手のパフォーマンス分析や傷害予防には様々な科学的アプローチが用いられています。US Lacrosseもそういった研究に投資をしています。今回はUSLの助成金とキネマティクスによるラクロスの傷害とパフォーマンス分析についての記事をお送りします。

HOW KINEMATICS COULD DEFINE THE FUTURE OF LACROSSE RESEARCH

下記記事はMEGAN SCHNEIDERの記事の私なりの意訳ですので、詳細に関しては原文をご覧ください。

モーションキャプチャ

Casey Powell ’16 (*1) をプレーしたことがあるのならキネマティクスについてはご存じのはずだ。このビデオゲームは、人体の動作を研究する科学者と同じテクノロジーを利用している。モーションデータを取得するためにセンサを体のパーツに着用し、それらのパーツがどのように動作しているのかをイメージにして描画する。Casey Powellによる高速シュートはリアルからデジタルに変換、表現される。重要なのはこのセンサが、ラクロスのパフォーマンスと安全に関する多くの分析を提供していることだ。それはラクロス特有の障害予防につながると考えられている。

(*1) SONYのゲーム機プレイステーション4のソフトウェア

US Lacrosse (USL) と研究者の取組

ラクロスの傷害とパフォーマンス分析にUSLは1998年から通算1百万米ドル以上を投資してきた。伝統的にフォーカスされてきたのは外傷の研究で、研究はエビデンスベース、関連諸科学的アプローチに移行している。昨年5月に発足したUSL Center for Sports Scienceは外傷発生過程の研究のためにユース世代のアスリートの動作の研究に資金を投入した。

George Mason大学では、センサとビデオをシンクロさせることで高校男子女子ラクロスプレーヤーの頭部へのインパクトを測定している。プレーヤーの動作と発生するインパクトをペアリングすることで、フィールドで発生している事象を容易に把握できるようになった。「これまでフィールドでは外傷が発生するのを待っていた。プレーヤーのセルフリポートと過去の外傷レコードによりプレー続行の可否判断をしていた。センサとビデオを利用した分析は、フィールドで発生した事象についてより明確な事実を提供してくれる。」George Mason’s Sports Medicine Assessment Research and Testing(”SMART”)のエグゼクティブディレクターのDr. Shane Caswellは述べた。

Caswellの研究チームは他にもBioHarness(軽量の胸部ベルト)で、心拍数、呼吸数などのデータを取得しプレーヤーの生理学的要求を推測する研究をしている。キネマティクスをさらに有用なものにするために、George Mason大学は唾液バイオマーカーを利用した頭部外傷の生理学的事実を研究している。SMART LabのDr. Nelson Cortezは超音波機器診断を用いてキネマティクスを研究する世界でただ2つの研究グループのうちの一つを率いている。「プレーヤーがスポーツをしているときの、表面的な動きだけではなく、体の内側も見ている。そして筋肉組織の内側で何が起きているのかを表現する手法を進化させている。」Caswellは言った。

University of Florida Sports Performance CenterのディレクターであるHeather K. VincentはUSLの助成金を使用して下半身の外傷のリスクについて研究している。研究はカメラを使用してユースプレーヤーの動作を取得している。特に彼らが走っているとき、ジャンプしているとき、しゃがんでいるときなど、前十字靭帯周辺の膝の動作を研究している。

「身体の各パーツは密接に相互作用している。特に過去5年でそれは明確になったため、私たちは身体の一つのパーツだけを見るということはしない。全体のキネマティックチェーンを見る必要がある。」科学者は身体が空間でどのようにインパクトを受けたのかという環境要素を観察するだけにとどまらない。動作はランニングのように一方向のみであるという旧来の考え方から外れて、前後・左右・上下三つの動作そのものを観察している。

研究におけるUSLの役割

USLの助成金のもと、CaswellとVincentは、動作のパターンを早期に正すために、ユースプレーヤーを観察している。Vincentは、関節や筋肉といった細部にフォーカスする代わりに、マルチスポーツをとりいれることと、身体全体のキネマティクスを検査することを推奨している。

「USLが素晴らしいのは、USLがそのユース世代のアスリートの研究に熱心であることだ。USLはユース世代から取り組みを始めて、ユースプレーヤーが立派なアスリートとして育つよう考えていることだ。このアプローチは他のスポーツとは異なる。」Caswellは言う。

他のスポーツの科学者もUSLの研究に対するコミットメントに影響を受けている。University of Albertaの研究者は助成金をマウスガードのパフォーマンスの研究に適用する計画をしている。

「私たちは文字通り四輪車の車軸である。多くの研究機関が多くの発表をしているが、共通のゴールがあり、それはラクロスのアスリートを中心に展開している。車軸を中心に様々な研究成果が挙がれば、それはシナジーとなる。」US Lacrosse Center for Science のDr. Bruce Griffinは言う。
小さく始める、大きく考える、といった新しい考え方は親・コーチ・チームが賢い意思決定をする助けになるとVincentは考えている。安全性とラクロスプレーヤーとしての適切な発達にプライオリティがおかれている。

キネマティクス研究による5つの発見

  • 女子ラクロスにおいては、ペナルティプレーではない場面でこそ多くのスティックとボディのインパクトが発生している。
  • 男子ラクロスの多くのインパクトはヘルメット同士のコンタクトであったことが1,000のゲームを分析して分かった。USL主導でNFHSとNCAAに新ルール(厳格なペナルティ)を導入したことによりそうしたコンタクトは減少した。
  • 背中の下部に痛みのある高校生プレーヤーの動きは遅く、ボールを投げるときに膝をより曲げ、脊椎をあまり回転させることができない。「そういったプレーヤーの多くは腹部や臀部のコアとなる筋肉が弱い。背中の痛みの原因はそこにある。」
  • オーバーヘッドのショットは、肩の回転よりも、体幹の伸展と回転に依存している。
  • 速いショットを放つ時に、 ショートスティックプレーヤーが上半身の回転と手首の動きを強くすることに比べて、ロングスティックプレーヤーは体幹を傾けることに依存している。
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Hayato Muramatsu

Hayato Muramatsu

投稿者プロフィール

①名前:村松 隼人
②職業:スポーツテックベンチャー
③出身:慶應義塾大学
④ラクロス歴:15年
⑤ラクロスで得たもの:アスリート思考

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