【こぶ平レポート】ラクロス全日本選手権・女子の検証
先に今年のラクロス全日本選手権は、かなり意味合いが違うという事を書きました。そして歴史の検証者になって欲しいとも書きました。何故か、過去9年を振り返りながら今年の全日本選手権の持つ意味を考えて行きたいと思います。
大きなテーマは
☆男子 FALCONSの10連覇を阻止するのはStealersなのか?
☆女子 3年連続日本一から遠ざかるクラブチームの復権を賭けた、NeOの進化と慶應義塾
大学の進化進行形ラクロスの衝突は日本ラクロスの行く末を占う?
とも書きました。男子編に続き女子の歴史を振り返りつつ、女子の場合は進化が著しいという点から全日本選手権を検証してみましょう。
2008年選手権は決勝戦が大阪・長居球技場(現在のヤンマーフィールド長居)で特別に実施されています。
大会形式も関東、関西地区の1,2位チームと東海地区1チーム、4地区代表1チームにクラブ2チームの計8チームのトーナメント制で行われる最後の大会でした。
男子 FALCONS(初)、RAGGAMUFFINS、慶應義塾、東京、京都、立命館、日本福祉(初)、九州(初)
女子 FUSION(初)、Sibylla、東京女子体育、慶應義塾(初)、大阪国際、関西学院、名古屋(初)、愛媛(初)
決勝戦は
男子 FALCONS vs 慶應義塾大学 優勝FALCONS 16対10
女子 FUSION vs Sibylla 優勝FUSION 7対4 だったのですが。
全てに印象深いので書いていきます
女子ラクロス1回戦 慶應義塾大学(関東2位;初出場)vs Sibylla(クラブ2位) 4対5 サドゥンV
※慶應には現在慶應のACで元FUSION/CHELの河内さん、Sibyllaには現在CHELの渡邊奈緒選手がおられた。
東京女子体育大学(関東1位)vs 愛媛大学(4地区代表;初出場) 3対13
大阪国際大学(関西1位)vs 名古屋大学(東海1位) 10対2
関西学院大学(関西2位) vs FUSION(クラブ1位;初出場) 4対8
※この時FUSIONにはAUS代表の山田幸代選手が居られたのです。
女子 準決勝
東京女子体育大学(関東1位)vs Sibylla(クラブ2位) 4対8
大阪国際大学(関西1位)vs FUSION(クラブ1位) 5対10
男女ラクロスの違いという面で1つ大きな特徴が見て取れます。
女子は男子と比べると長く現役を続ける選手が少ない という事です。
これに関しては、ラクロス論的に別途語る機会を持ちたいと思います。
実は、この年に慶應義塾大学女子ラクロス部は初めて全日本選手権に参加されています。実際は関東の2位で現行方式では参加ができないのですが、この年全国大会で勝てなかった事が今の慶應義塾さんの躍進の原動力になり、進化のきっかけになったのではないかと推測します。
しかし、その進化が実を結ぶには、さらに4年の月日を要する事になるのですが。
一方で、FUSIONが初の日本一になり、WISTERIAやMISTRAL,CHEL,Sibyllaに変わる新しいクラブの優勝で女子ラクロス新時代到来を告げた年になったのではないでしょうか?
ただ、1998年以来のクラブラクロス優位は崩れません。むしろ学生との差は広がります。そこには女子の大学ラクロスがアスリート性優位で決着をしてたからではないでしょうか?
2009年に、新制大学選手権が始まります。この頃にワールド杯を経験した選手、指導者のフィードバックが注入され始め大学のラクロスが変わり始めます。
2009年大学選手権で優勝した東海大学は久々に、準決勝でCHELを破り全日本選手権の決勝まで駒を進めますが、この年外部のコーチを招聘している事が象徴的です。この辺りからアスリート性に戦略性が加わったラクロスが学生ラクロスを進化させていきます。
しかし、技術力の高さによるクラブの優位を凌駕するのは2012年の慶應義塾を待つ形になります。
大学ラクロスの進化は2011年立教大学が関東を制覇し、関西学院が1994年以来の大学日本一の座を掴む事により、体育大優位の女子ラクロス時代の終焉を告げます。
そして、2012年慶應義塾大学が関東リーグで初優勝を獲得し、一気にクラブを破って日本一の座を掴む所で女子ラクロスの進化の方向が決まったのではないでしょうか?
その進化の方向とは、男子では既に確立されていたゴーリーも一人のフィールドプレイヤーとしてセーブだけではなく、パスカットやディフェンスラインを上げる役割を持ち、全員が動くラクロスを目指すというものです。
そして、その年の慶應義塾には象徴的なゴーリーがいました。渡邊光里選手です。代表の岩田選手や富田選手にさらに動きを加えた彼女のスタイルは、日本代表となって開花します。
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