こぶ平 ラクロス レポート

【こぶ平ラクロス】2019年振り返り|U19レビュー

今年のラクロス世界イベント一つ「女子U-19世界選手権」(以下U19WC)については今回チームの特別な配慮もいただき、チーム選考から最後の戦いまでラクロスプラスで密着し、レポートを配信する新しいアプローチをしてきました。皆さんに、U-19の姿がVividに伝わったでしょうか?

昨年12月から密着?取材を重ねたチームについては、私の中ではまだ、選手の皆さんが撃ち込んだショットの音が頭の中で弾けています。

このレポートは私こぶ平が見たU-19代表選手の活躍と結果の総括をさせていただくもので、コーチ陣から出る公式的なものではありませんが、より選手に寄り添ったレポートという風に見ていただければ幸いです。ただ、取材中に得られたコーチ陣のチームへの考え方と結果を照らし合わせて考えてみる事も意味はあると思うのでその辺りも考察していきます。

女子U-19世界選手権レポート~ぶんぶんJapan斯く戦えり~

序章

2018年 12月から関西で始まったU-19代表選考会。全国のユース候補、そして特筆すべきはTeen’sラクロス経験者から多くの候補選手が含まれていた事だった。
最終的にはこの事は大きな意味を持ったと言える。

そして、チームのマネージメントは過去の世界大会の経験も踏まえて、新しい方向性をもたらす意味も込めて

▶︎ゼネラルマネージャー;村松 圭子氏
GMの役割に新しい形を提唱された。諸々の対外的処理(国際経験)だけではなく、選手のチームのメンタルケアを中心にチームの進化を支える役割。

▶︎ヘッドコーチ;庄子 寛之氏
過去にU21の女子HC、大学のHCを任され東京学芸大学時代には女子チームの1部昇格に貢献されたチーム作りのスペシャリストが、ある意味、大胆にも’個の力で世界と戦える’チーム作りを目指す方向を打ち出す。

▶︎ディフェンシブ・アシスタントコーチ;敷浪 一哉氏(2015年U19大会も経験)
1オン1で負けず、組織的な攻撃的なディフェンスをするという難問に明治学院HCの経験をもって挑む形となった。

▶︎アタック・アシスタントコーチ;小西 那奈
1オン1で負けずに、点を取り切れるという方向を目指す上で、過去2011年のU-19代表であり、前日本代表でワールドカップを戦った体験を伝えられるコーチ。

▶︎マネージャー;平田 有希氏
GMやHC、選手を雑務から解放するという大変な仕事を担う存在。

▶︎トレーナー;塩多 雅矢氏、羽田 圭宏氏
▶︎サポートスタッフ;川口ひかる氏(メインアナリスト)、中山宇蘭氏、市川ひかり氏

という、陣容で臨んだ。

このチームの特徴は
①チーム作りのプロフェッショナル
②メンタルケア・マネージメントを本格的に取り入れた
③アナリスト担当を設けて、その分析結果を取り入れたロジカルなチーム
④トレーナー二人体制で選手の体のケアも十分に考えていく。          
であった。

12月末関西で始まった選手選考は150人の候補から、補欠を含め22名に絞り込むものとなった。

選考過程

恐らく、チームから選手を送り出した側、とりわけ選ばれなかった選手の皆さんは色んな意味で選考理由に関して疑問もあるかも知れない。どんなスポーツでも全員が満足する物にはなりにくい。
今回、聞き取った「チームに求められたもの」をお伝えさせていただく事で、少しは分かるものになるかもしれない。(ただし、これは選考の基準を示す物でもなく、選考に際して直接の判断の具体的なものでもない。協会、スタッフへのクレームを誘うものでもないのでご注意願います。)

【U19日本代表としてやってきたことの背景】
☆今までの日本代表。
→技術レベルでは世界に劣るが、日本人のクイックネスは通用する。
→ 一つ戦術を作って、それをもとに戦う。(過去は「奪う」「速く速いラクロス」「プレスライド」「アコーディオン」など)

☆今回のU19代表にまず最初に求めた物。

この概念を大きく変えた。

まず、「技術レベルでも世界に通用する初めてのW杯だという位置づけ」から始められた。
そしてそこから「奇策ではなく真っ向勝負できるチームで勝つ」という仮説が立てられた。

先ずは、ここが驚きではないか?技術レベルで世界に通用する?真っ向勝負?本当に?と思われた人は多いでしょう。実際に過去の大会では技術レベルで通用しないのではというReviewもあったと記憶をしている。
ここが、選手選考でも大きなポイントだったと思われる。19歳で技術レベルが高く、真っ向から
海外と勝負できる選手が居るはずだ。居るのか?

居た!

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皆さんは、ご存知だろうか?USでもジュニア、Teen’sを通して通年でラクロスをやり続けている選手は少ない事を。春夏にかけてラクロスをやり、他のシーズンを他のスポーツで過ごす。
そういうケースが普通であり、例えば12歳から19歳まで8年間のキャリアでも実質4年のラクロスキャリアという例も多いわけだ。
日本はどうか?中学生のクラブ活動でラクロスを経験しているケースは日本では1学年で100名ぐらいだが、その場合フルに8年間ラクロスに集中されている。又高校から始めた場合でも、実質のキャリアでは同じぐらいなのである。

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とすれば、技術レベルが海外のTopの国と同じレベルに有っても不思議ではない。
そこから始まった選手選考。真っ向から海外選手と対抗できる運動能力にも着目されると、多くの大学からラクロスを始めた選手も選考には含まれてきた。しかし、チーム形成時にパスキャッチやグランドボールのスクープ技術をおさらいしていく時間が無い短期間(半年 10数回の練習)の代表練習では、そのスキルとのバランスを見極めながらの選考になった。
1月から本格的に始まった代表選考は3月までに30名程度に絞られるものであったが、「One Team」になれる事を見据えながら、進められた。

選考で求められたもの

「攻めはDFから」とういうコンセプトに基づいたラクロスの理解力と強さ、上手さだった。

☆HCに狙いを聞いた。
「攻めはDFから」は「奪う」ことではない、「守っている時から攻めることを考える事」と定義してきた。奪いに行って自分たちのDF状態を崩すのではなく、しっかり6on6をつくり、ホットセカンドサードを明確にし、ファーを切るという基本に忠実なラクロスへの挑戦だった。(HCの言葉を引用させていただきました)。

しかもその姿勢の中、一つの策ではなく様々な選択肢があると選手に問いかけ、選手達が策を作っていくスタイルを貫いた。(お2人のアシスタントコーチの役割だったようだ。)

「国内では、通用するいくつかの戦術をもっていくのではなく、基礎基本の共通理解、共通言語を増やし、W杯で何が通用して何が通用しないのか選手が判断しながら主体的プレーできる策を作っていった」。と言う事です。

選手達は、その結果自分達で考えられる選手となり、スキルがあり、運動能力もある集団になっていった。
更に言えば、そういう選手たちを選考していったという事になる。
加えて、2週間ごとの代表練習前には、必ずGM主体のリーダーシップトレーニングや、「One Team」となる為に全員が世代を超えて積極的に考え発言する機会を設ける事も重視された。

そして、基本走や練習から得られたデータをアナリストが分析、ラクロスへの理解力等を加味しポジションも決まり、代表練習が深化を増して行った。
3月頃の実戦練習ではおぼつかなかった、チームプレーが意識の共有に伴い進化していく姿は印象的だった。
男子との練習も取り入れられ、対外国選手との戦いにも対応が進んだと見ている。

そして、選ばれた22名(サブの4選手を含む、後述)は、現役の高校生4人を含むTeen’s Lacrosse経験者が16人という従来にない選考になった。(高校1年生も含まれていた)
現地でのサポートも(保護者、応援者の)受けられ、ファイナル4に肉迫した事は記憶に新しい。

しかし、舞台裏では用意したクロスが世界選手権規格外で、改めて調達し直したとか、マウスピースが規格外と判断された選手が出て、マネージャーの平田氏が大忙しだったという事態もあったようだ。

成果

こちらは個人的な意見と了解されたい。
数多の成果はあるが

①本当に真剣なTop4との試合で、肉迫できた事(これは凌駕できなかったという後悔にもつながるが)スキル、運動量ともにそういう印象を持った。(ここはTeen’s経験者を多くできた効果だと考える)

②とりわけ、劣勢を予想されたドローにおいても、決勝トーナメントの難敵相手に優位を取れたことは成果として特筆すべきであろう。

③選考された高校生プレーヤー達(高校1年生までも)が大事な場面でも臆せずプレーができるチームとなり、進化を促す環境を作った事。(結果的に高校生の中澤こころ選手が優秀選手に選ばれる活躍が出来たのではないだろうか?)

④これらの成果の陰にコーチ陣の力があるのは勿論だが、アナリストの分析により導き出された勝利の方程式に解が得られたことはこれからの代表の戦術にも影響を及ぼすはずだ。
(因みにアナリストの川口氏は、今年も日本一になったNeOのアナライザーでもある。納得?)

⑤最大の成果は、この選ばれし22名が全て、母校のトップチームで活躍する選手になった事である。
(中には、大学選手権の決勝戦で1年生として初めて得点を決めた選手もいる程だ。)

課題

公式的には後1点を取り切る事への課題等が出て来ると思うが、
ここでは’こぶ平流’に…

①日本代表の強化指定選手同様U19用のジュニア強化選手活動も毎年行われても良いのではないか?半年は短すぎる。
(巷では指摘も出たようだが、最後の1点をもぎ取る絶対的なセットプレーを幾つか擁するには時間が短すぎたように思う。自分達で考える臨機応変の策にプラスされれば、もう1段上がれるのではないだろうか?)

②どうしても困難な事ではあるが、代表練習の時期が、Teen’sの春の大会と重なるのでチームとの戦いとの両立を気兼ねなく行えるようなスケジュールが取れなかった。

総括

これは、U-19のスタッフの皆さん、協会関係者の1部の方にお聞きした事とも同じなのだがこの年代では「日本のラクロスは、世界に十分通用することが改めてわかった。」
ここから、差を付けられずに世界選手権で同様な戦いを繰り広げるにはどうしたら良いのか。
日本女子ラクロス界に突き付けられた課題でもあり、今年も召集される日本代表強化選手によるビルドアップにここで得られた教訓が生かされていって欲しい。

そして、”A new hope”

現地では何回もアメリカの大学からのスカウトがあったようだ。優秀な選手が、高校卒業からアメリカの大学でラクロスを学び、その考えを持ち帰ってくる時代が来るのかもしれない。

最後に一言

U19の選手選考に対して、協会員ではない高校生から選考するのは如何なものか?という問題提起も大学関係からはあるとも言われている。しかし、今回は本気で世界と戦い、最終的にはメダルを獲るという日本ラクロス界の”目標”達成の為に総力を結集する決断をした協会、チーム関係者には敬意を表したい。
そして、何よりも12月から密着させていただいた選手の皆さんへのリスペクトを込めて、選手個人のその後もお伝えしておく。


☆背番号1番 ジョーンズ 萌仁香選手 立教大学1年生 AT(東京成徳大学高)
ぶんぶんJapanに2人の’くノ一’が居ると言ってきた。その内の1人。身体能力の高さもあるが、そのポジショニング能力とショット力に非凡な物があり、いつの間にかDFの裏を取り、ショットを決める姿は正に、’くノ一’だった。
そして、彼女こそ今年の全日本大学選手権決勝戦で得点を決めた1年生である。クールに決め、にこやかに微笑む姿が来期も立教大学の躍進に貢献する事だろう。

☆背番号2番 内田 妃那選手 日本大学2年生 G(日本大学高)
ジュニア世代No1ゴーリーとして、大きく成長した選手だ。代表錬でセーブの良さロングスローの良さに守備範囲の広さとゴーリーとしての指示力が加わった。日大でも正ゴーリーであることは勿論、代表錬に関東ユースの練習にも参加した頑張り屋さんは、怪我で選考機会を失ったチームメイトの想いも載せて守り続けた姿が印象的だった。優しい顔からは想像できない負けず嫌いな面もある。
これからは、新しいゴーリー像を作り上げる可能性を秘めている。

☆背番号3番 永田 亜美選手 学習院大学2年生 G(埼玉県立春日部東高)
彼女は、大学からラクロスを始めた選手の一人だ。ゴーリーを初めて1年とは思えないセーブ力は、高校時代ハンドボールのゴーリーを務めていたからに他ならないが、以前にも書いたが、高校時代のハンドボールの公式戦で42失点という記録を持っている。その経験が彼女を奮い立たせたのか、世界戦でも又、リーグ戦(関東一部)でもTopチームで見事なセーブを見せ、流れを変えるまでに成長をした。
ゴーリー経験1年半での活躍。今後に大きな期待が持てる存在だ。

☆背番号4番 石井 柚奈選手 同志社大学2回生 AT(横浜市立東高)
ぶんぶんJapan’くノ一’のもう一忍。彼女のゴール裏からの攻撃と、そのショットの技術はU19世代のトップクラスである。
そんな彼女は、Teen’sラクロスの強豪横浜市立東高から、関西の同志社のラクロスがしたくて進学をした異色の存在である。1回生から参戦し、今年トップチームで2回生トリオを形成関西での優勝へ貢献をしたが、最終戦を前に足のJones骨折に見まわれ全国大会での活躍は来年に延ばされてしまった。
来期新しい”Yuzuna”に期待が集まる。

☆背番号5番 冨森 美帆選手 東海大学1年生 AT(横浜市立東高)
U19世代No1とも言われる得点力は、大会でも発揮されたが、帰国後参加したリーグ戦(関東一部)においてもいかんなく発揮された。更に高校生時代からのナチュラルなパワーに、U19チームで培われた考える力が備わり、大学チームを牽引する存在になりつつある。
とりわけ、チームが2部との入れ替え戦に臨んだ時の7得点は圧巻だった。U19HCへの大きすぎる恩返しとなったが、それは高校時代の恩師に対する恩返しにもなった(対戦相手の東京学芸大学のHCは元横浜市立東高ラクロス部の先生)
大学の新人戦ウィンターステージでは何人も止められないショットを連発した彼女は、この先、世界を目ざし世界基準のスピードを獲得してくれそうだ。

☆背番号6番 山根 萌奈選手 日本体育大学2年生 AT(横浜市立東高)
ぶんぶんJapanの、文字通り不動のセンタープレーで得点の演出もし、得点を重ねた能力はチーム参集当初から存在感を増し、この世代では最も’逞しい’(モナ王とすら呼びたい)選手となった。
彼女は日体大2年トリオの一人として、トップチームへ活躍の場を移し関東リーグ戦Final4への貢献も果たしたが、真の’フォースの覚醒’はエピソード6(6年目)以降となった。

☆背番号7番 小瀬 かなえ選手 明治大学2年生 MF(帝京高)
彼女も、大学からラクロスを始めた選手の一人だ。経験の少なさをその運動量と絶え間ない向上心、そしてもう一人の明治大学チームメイトとの切磋琢磨が、ドロワーとしての力も開花させた。
彼女の適応力は、高校時代のバスケットボールの経験が関わるが、何より動く事が楽しいという向上心が源泉なのだろう。
リーグ戦では関東一部のファイナリストとして、明治大学2年トリオの一人として参加した。彼女も又、今後の進化に大いに期待が持てる選手である。

☆背番号9番 藤井 真由選手 日本体育大学2年生 MF(神奈川県立座間高) 
彼女も、大学からラクロスを始めた選手の一人だ。経験の少なさはチーム一の運動量に加え、バランスの良い動きから対応する、グランドボールの処理からの展開は出色だった。その出自はバスケットボーラーであり、インターハイにも出場するほどのレベルであった。
ラクロスとバスケットボールとの相性に加えトップクラスの運動量の昇華は、今季のトップでの活躍に加え、来期以降の日本体育大学の進化に対しても、山根選手、戸村選手とのトリオケミストリー効果をもたらすに違いない。

☆背番号10番 村田 奈穂選手 同志社大学2回生 MF(同志社高)
同志社トリオの一人、チーム最長身の彼女は又秘めた能力もNo1と目されている。ドローにおける高さとゴール前でのセンタープレーにおいて国際競争力も持ちえる彼女は、やはりリーグ戦優勝に貢献し、大学選手権決勝でも2Qの自チームのモメンタム形成に大いに寄与した。
これからも、文字通り大きく、華麗なプレーを見せる選手に進化してくれると信じられる選手だ。

☆背番号11番 中澤 こころ選手 日本大学高校3年生 MF(日本大学中学)
日本大学高校トリオの一人であり、大会優秀選手に選ばれたハイパフォーマーである。その力はドローから
ドライビングスピード、ブレイクスルーに突破力の高さでU19世界大会においてチームの得点王となった。
その源泉は、一つ“ラクロスが好き”なのだと思う。好きだから、頑張れるだけでなはなく、どうすればもっとドローが取れるのか?ショットの打ち方に有効な物は何か?仲間を生かすにはどういう動きが有効なのか?
常に考えている。そんなプレーヤーは、USへの挑戦を視野に更なる進化を模索している。
U19大会前には、日大中高初の高校ラクロス3冠を達成する原動力となり、その後も進化を模索している彼女が、さらに大きな舞台で活躍することを願うばかりだ。

☆背番号12番 中澤 ねがい選手 日本大学高校1年生 MF(日本大学中学)
高校1年生での参加を可能たらしめたのは、やはり‘ラクロスが好き’と‘ラクロス面白い’という気持ちなのではないだろうか?クールに得点を決める姿からは15歳という年齢を感じさせない。決勝トーナメントでの戦いにおいても、ゴールを狙う姿勢は豹のような精悍さがあった。
15歳だった彼女は、次回のU-19選手権に参加する事も可能だ。さらに速く、強く進化して国際基準を突破してくれると信じさせられる。日本大学高校トリオの一人であり11番中澤こころ選手の妹でもある。

☆背番号14番 井田 ほのか選手 同志社大学2回生 DF(同志社高)
U-19代表のキャプテンを務めた‘いだほ’選手は、実にキャプテンらしい逞しさで、DFというよりボランチとしてチームを支え、得点まで記録した。発言力、行動力、そして試合で見せるパフォーマンスはこれからのラクロスをリードしてくれる気にさえしてくれる。
その存在感は、今年の大学選手権でも確かなもので、得点をも決めている。
同志社2年生トリオが揃う来シーズン、今年成しえなかった大学選手権勝利に向かう同志社大学を更に高い所へ導いてくれるはずだ。

☆背番号15番 森 あおい選手 日本大学高校3年生 DF(日本大学中学)
日本大学高校トリオの一人であり、高校ラクロス界トップレベルのDFスペシャリストは、17歳で世界のATに1on1でも対応した。彼女も又‘ラクロスが好きだから’と語る選手である。DFスペシャリストとして、日本一を超え、世界基準に達する進化を見せてくれるに違いない。そして彼女は今年大学女王となった立教大学に進学することが決まっている。

☆背番号16番 戸村 舞花選手 日本体育大学 2年生 DF(東京成徳大学高)
14番井田選手 15番森選手 と形成したボトムラインは海外の選手にも容易には破られないものでありU-19招集当初から不動のボトムラインだった。高校時代から培った経験に、高校時代に求められた戦術眼が合わさり、ボトムラインのコントロールをしたパフォーマンスは日本のラクロスのDFの可能性も示したと言える。日体大におけるゾーンディフェンスにおいてどのように機能するのか?はたまた特徴を生かして
日体大のDFシステムをも変えてしまうのか?
日体大2年トリオとともに来期の本領発揮が見ものである。

☆背番号17番 山内 理紗子選手 南山大学 2年生 DF(愛知県立天白高)
とても率直な言い方で申し訳ないのだが、U-19 代表選考において最も厳しい状況にあった選手だったと見ていた。しかし、最も進化しポジションも大学での前衛に戻った世界大会では複数の得点を(幻を含め)決めるまでになった。そして、大学に戻るとラスチカスで不動の得点ハンターとなり、東海地区の2019年度得点王になった(はずだ)。
彼女の進化の源は何だろう?
彼女は、バスケットボーラーから転身した選手であるが身長は小さめ(公式158cm)運動量が多く、東海地区の新人戦での活躍があったはずだ。しかし、代表選考会ではラクロス未経験ながらもっと高い身体能力の選手もいた。しかし、彼女が選ばれた。
彼女の原動力は、他の選手にはないラクロスに対する‘ひた向きさ’と‘向上心’‘絶対あきらめない心’であり、それはU-19チーム1番だった。ある意味そういう可能性まで選手選考では見るのかなと感心したものだった。
彼女は、158cmぐらいの平均的な体躯で、ラクロスの代表になれるというロールモデルだと思う。
彼女は今季U-19大会後ラスチカスに合流し東海地区1部の試合で1試合 11点を一人でたたき出した。
来期、東海地区の試合で見るべき選手である。

☆背番号18番 安達 万奈加選手 横浜市立東高校 3年生 MF
高校生カルテットの一人であり、横浜市立東高カルテットの一人でもある。山内選手同様小柄だがそのラクロス脳のレベルは高くフリーを作り出す動き、逆にDFまでカバーする動きはラクロスの申し子だと言える。高校ではドロワーも務めた彼女はポリバレントプレーヤーの代表である。大学では、動きの質で1オン1を制するずば抜けた選手になるはずだ。彼女も又立教大学に進学する事が決まっている。
大学においては、唯一無二の武器を手に入れると、その高い質の動きがさらに生きて来るはずだ。

☆背番号20番 山本 真菜美選手 慶應義塾大学 1年生 MF (同志社高)
山本選手は、全日本高校選手権で優勝を経験した選手である。代表選考会の際にある意味非常に目についた選手であった。引き締まった感じより華奢に見えたのである。スピードで抜くというよりしなやかに抜くタイプと分かってからはそのバランスの良さが際立って見えた。立ち姿、構えた姿、走り抜ける姿どれもが自然に収まってしまう。チームで1番バランスの取れた選手は、慶應義塾大学では珍しく1年生からTopチームでしなやかに走り抜けている。そんな姿は同期の選手にも刺激を与え、慶應義塾女子ラクロス始まって以来初の?1年生トリオを結成、先輩選手も刺激し関東地区のファイナル4進出のカンフル剤となった。
来期の慶應義塾大学での活躍の期待は大きい。

☆背番号22番 鈴川 英選手 慶應義塾大学 2年生 DF (慶應女子高)
鈴川選手はチーム内で1番小柄な選手だった。しかし、それをハンディキャップにしないラクロスIQの高さがあった。戦術練習も多い慶應義塾大学に所属しているからか、U-19チームの戦術に対して最も理解度が高かった選手だ。勿論戦術理解の次に、経験による予測が加わりDF優位のポジションを占める、そしてターンオーバーの起点になる選手である。
大学のトップチームでもその力を示し、多くの場面で巻き返しの起点となっていた。
来期のリーグ戦でも、ターンオーバーの起点となり攻撃陣に刺激を与え続ける選手となるだろう。
そして、スーパーサブ。彼女たちも又大きな刺激を与え、チーム作りに貢献した。そしてリーグ戦では。

☆背番号8番 佐藤 理子選手 東海大学1年生 G (東京成徳大学高)
東京成徳大高トリオの一人で大柄ながら、守備範囲の広い新世代ゴーリーである。ロングスローも距離が出る10人制時代のゴーリーとして期待されている。先輩ゴーリーに刺激を与え続けたが出場は叶わなかった。
しかし、1年生選手としてのリーグ戦デビューは最速で8月12日の対慶應義塾戦から1部の舞台を経験しU-19時代よりも高い所への進化を遂げている。実際に逆の意味ではあるが。絶対に負けられない舞台を経験した佐藤選手は、次年度その守備範囲の広さが生きてくるはずだ。

☆背番号13番 岡田 茉桜選手 明治大学 2年生 MF(埼玉県立熊谷女子高校)
U-19チームの最終選考でサブに回ったが、膝の故障を直し切ったのが最終クールであった事を考えると、その期待の高さが伺い知れた。実際にリーグ戦でトップチームに入ると、そのインサイドをブレークするリズムは独特でキープ力の高さは、高校ラクロス経験者の中でも高い物がある。
リーグ戦では7番の小瀬選手とともに2年生トリオを形成し、出場機会は小瀬選手を上回る活躍を見せ、関東地区ファイナル4で決めたインサイドブレイクのショットは2年生とは思えない物だった。
来期、3年生トリオとなる攻撃力は関東の脅威になるだろう。

☆背番号19番 北浦 詩乃選手 関西学院大学 2回生 MF(京都外大西高校)
高校時代硬式野球部だった北浦選手は、身体能力の高さで経験を補うパフォーマンスを見せていた。その高さはロングパス時に発揮されていた。
そして、リーグ戦では前年度日本一となった時のタレントが揃う関西学院大学において2年生でスタメンを獲得。
直ぐに得点を上げると、終始リーグ戦で存在感を示す形で進化を証明した。U-19を経て大きく進化した選手の一人である。
そして、関西学院十八番の運動能力強化が進む来期、一頭抜けた存在になる可能性を秘めている。同志社大学との対戦でそれを証明する事ができるか?今から楽しみな戦いになる。

☆背番号21番 清田 葵選手 大阪市立大学 2回生 DF (兵庫県立鳴尾高校)
鳴尾高校バスケットボール部で県の優秀選手にもなった、運動能力の高さで挑んだU-19代表選考。最後にサブとなったが、北浦選手同様持ち前の運動能力の高さを存分にアピールした。技術で追いつくには時間が足りなかった感はあるが、リーグ戦(大阪市立大学は関西2部)ではエースの働きを見せ、得点を重ねリーグの入れ替え戦まで駒を進める原動力となった。
関西学院に負けない個の磨きを掛け、技術を高められればやはり頭抜けた選手となる。日本代表強化選手を狙える選手である。

どうだろう、こんな22名が選ばれたU-19代表。どの選手も1年生、2年生でトップチームの主力となる活躍を見せるまでに成長した事。これこそが今回のU-19プロジェクトの最大の成果と言えるのではないか?
従来のU-19代表から日本代表に選ばれる進化をした選手は多くない。前回の2015年U-19世界選手権のメンバーは25名中6名である。今回の22名是非ラクロスファンは覚えておいて欲しい。必ず日本のラクロスを背負ってくれるはずだ。

2019年 U-19チームのレポートは改めて関係者からリリースされるはずだが、そこで見られる成果と課題は今回の私見と変わる物であり、又無関係な物かもしれないが、このU-19活動から日本の女子ラクロスが変わっていくかも知れないという思いも込めて今回のコラムを書いた。

又、8月の世界大会のReviewは別途発信されるはずだ。
そして2028年のロサンゼルスオリンピックの時に一つの回答が出る。楽しみにして欲しい。

ラクロス 凄くなるぞ!

こぶ平

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