こぶ平コラム

【中学校・高校ラクロス】第20回関東中高女子ラクロス秋季大会準決勝結果

遅くなりましたが先週行われた関東中学高等学校女子ラクロス秋季大会の準決勝の結果をお知らせしておきます。二部では又も劇的な試合がありました。

第20回秋季関東大会

※以下学校名は全て略称となります

2022年の秋季関東大会は、1部12チーム、2部12チーム(16校 3つの合同チームが結成された)の参加となった。
1,2部とも予選を3チームずつの4ブロックに分かれてブロック戦の1,2位が決勝トーナメントに進出する。決勝トーナメントを勝ち抜いたチームが全国大会への出場権を得るハードな戦いが繰り広げられ。既に予選を終わり決勝トーナメント1回戦も終わり1部2部のベスト4が決まっている。即ち1部4校の全国大会への出場も決まったわけだ。前回はリーグ戦について説明をしたが今回は先週実施された関東秋季リーグ戦準決勝の結果をお伝えしておく。

1部

☆準決勝  既に全日本中高ラクロス選手権への参加が決定している4校が戦うが、このTop4が関東中高ラクロスを牽引するチームであり、ハイレベルな戦いが繰り広げられるのがこの準決勝だ。準々決勝の結果は先にお伝えした通り。

東京成徳大中高 vs 県立熊谷女子高校 14 対 3
日本大学中高  vs 桐蔭学園高校    8 対 1
横浜市立東高校 vs 県立鶴見高校   14 対 3
目白研心中高  vs 大妻多摩中高    1 対 4

東京成徳大中高(BRAVE YOUTH) vs 日本大学中高(AQUA)  3対6 

2018年春の3位決定戦から続いた、日大中高の連勝にストップを掛けたのが、昨年の秋季大会優勝の東京成徳であり、東京成徳はそのまま、春の全国大会、春の関東リーグ戦を無敗で勝ち切り「中高ラクロス三冠」を達成した。そんな宿縁のある両校の対決は現時点では大学の新チームのパフォーマンスを上回る力を持っており、ショット技術や守備力だけでなく、戦術面でも高いレベルにある。

先ずはドローを制した日大中高19番。確実にポゼッションをキープし、速い球回しで東京成徳の守備のほころびを誘いそこを突く戦術が見てとれた。そして1Q3分過ぎ、日大中高のワイドな展開が東京成徳のディフェンスに隙を作らせフリーを作ると17番がゴールをゲットした。日大中高の攻撃は続くドロー獲得からポゼッションを取って仕掛けると相手反則を誘い71番がフリーショットを決めたのが 1Q 6分。その後も東京成徳の攻撃を抑えきり、71番の追加点もあり0対3と日大中高がリードして1Qを終える。

<2Q以降>

2Q中盤までは日大中高のペースで進むが、日大中高のFSをセーブした東京成徳。そこから反撃が始まる。ゴーリーからのターンオーバーを31番が右45度から決め、2Q終了間際にも相手ゴール前でスクープをショットに結びつけ2対3と追撃態勢に入った。因みに日大中高の正ゴーリーは出られず中学3年生ゴーリー初のスターターでありセーブに不安を抱えていたが、1Qで見事にショットをセーブし弱点とはならなかった。
2Qで勢いを得た東京成徳がペースを握ったかと思われたが、逆に日大中高が東京成徳攻撃の芽を摘むパスカットやグラボの強さでリカバリーをすると、71番がたてつづけに加点。東京成徳の攻撃の芽を高いディフェンスの集中力で摘み取り反撃を許さない形で3Qを終える。4Qに入っても東京成徳は得意のセットオフェンスを駆使する事もなく、逆に日大中高の高い集中力を保った守備に対して1点を返すのが精一杯。日大中高は71番のこの日5点目となるFSが決まり最終的には3対6日大中高が快勝した。

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  • 日大中高の攻守に渡る集中力の高さは見事であり、秋の新チームの段階でこの完成度は驚異である。さらに高校生からラクロスを始めた選手も高いポテンシャルを秘めており若いゴーリーも初スタメンをクリアした日大中高の今後には大きな期待が持たれる。
  • 一方の東京成徳大中高は、その力を出し切らないまま秋季リーグ戦を終えることになるのか?3位決定戦でのパフォーマンスに注目したい。それにしても1試合10本以下のショット数に終わった東京成徳大中高の試合は長年の取材で初めての事である。

横浜市立東高(Easy Girls) vs 大妻多摩中高(Kotackers)  7対4

大妻多摩は決まったコーチも存在しない中リーグ・ブロック戦で東京成徳大中高を3Qまでは追い詰めた戦いぶりから、その復活を期待する向きは多かったが、決勝トーナメントで昨年4位の目白研心中高を厳しい守備で抑えきったチーム力は高いものがある。そして準決勝戦の対 横浜市立東戦は1Q最初のドローをリカバリーして速攻で2番がドライブを決め先制するも、横浜東のアジャイルな選手(38番、78番)の1on1にブレイクを許し4対1とリードを許すも、ドローで示した強さや、個々の選手の突破力に速いパスワークのシナジー効果もあり、2Q以降拮抗した戦いを繰り広げ4Qには1対2とするなど高いポテンシャルを有することを改めて示したと言える。一方の横浜東は新チームでも高い運動能力を持つ選手を複数有するチームであり、ここから春の全国大会に向けて進化が始まることを考えると、関西の学校に対しても大きな脅威となる事は間違いない。

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  • 横浜東高校が中高一貫のラクロスチームが上位を占める中決勝に進出した事には改めて驚かされた。早い段階からラクロスに集中すれば進化も速いという事を証明してくれるチームだ。改めて大学の新人チームへも合同練習をお勧めしたいぐらいだ。
  • 大妻多摩中高については、何度も述べているように決まった指導者/コーチが存在しない。父兄のバスケット指導経験者から指導を受ける程度というのには驚かされる。その分選手の皆さんの努力と意欲が高く自分たちで高めあって強さを手に入れている。しかし全国大会を勝ち抜くためには戦術面を含めた専門的な指導が不可欠である。何とか良い指導者の協力を得て欲しい。

2部

☆準決勝

1位校が東日本第5代表決定戦へ進出する事は先にも述べた通り。ここからが本当のサバイバル戦になる。そして準々決勝の結果は下記の通り。

慶應義塾女子高校 vs 山村学園高校  10 対 5
岩倉高校   vs 神奈川県立住吉高校 12 対 3
都立小石川中等教育校 vs 東洋高校  19 対 2
本庄東 vs 県立横浜国際高校     17 対 0
2部4強は今年も上記4校となった。

慶應義塾女子高 vs 岩倉高校

2018年秋から2部を選択した慶應女子高は、昨年秋2部1位となったが惜しくも果たせなかった全国大会東日本第5代表に向けてそのシステマチックなクールラクロスに磨きをかけてきた。対する岩倉高校は関東中高ラクロスリーグに参戦して5年目を迎え (愛称 GRACE)、着実に実力を高めてきた粘りのチームであり、昨年準決勝で慶應女子に負けたリベンジを狙う。そんな状況で始まったこの試合。岩倉の先制攻撃をゴーリー92番のナイスチェイスでターンオーバーした慶應女子が24番5番のFSを確実に決めリードする。岩倉も強い個のドライブ(25番)で追い上げる。しかし2Q以降慶應女子の10番、17番のブレイクに31番92番のゴーリーズのセーブにより試合をコントロールし岩倉の1on1を凌ぎ快勝した。

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    • 今季の慶應女子は昨年のような身長の高い選手は少ないが、それぞれの選手の連動性が高まり速攻に加えポゼッションからも相手を崩せるスマートな面で進化を遂げている。そのコンセプトは1部と同様であり、慶應女子の特徴になっている。そして31番92番ゴーリーズのレベルも高い。
    • 岩倉は個の力に進化が見られ単純な仕掛けにターン等の動きが加わって来ている。さらに速いパス交換へのチャレンジや、その結果として相手のディフェンスにどのような隙ができるか一歩踏み込んだ戦術研究を加えてみると更に進化が加速すると思われる。少ない人数で厳しいとは思うがパス練習の時のパススピードをショットのスピードに上げるとか、6on6の人数が足りなければ5on5の練習でもよい。そこでの展開の速さを競うのは1つの方策である。

都立小石川中等教育校 vs 本庄東  10対11

昨年も僅差の激しい戦いを繰り広げた両校。今年も稀に見る接戦を見せた。

昨年の準決勝で激しく点を取り合った両校。今年は更に最後の数秒まで決しない稀に見る接戦を演じ合った。昨年同様強い個の力でブレイクを狙う本庄東に対しパス回しから守備の隙を作り、そこを突く。更に12番のドローの強さで簡単には流れを渡さない小石川中教という構図で4Qまで激しく点を取り合った。

1Q 1対3 2Q 3対2 3Q 3対1 4Q 3対5  合計 10対11 因みにTeensは 1Q 10分 合計 40分のゲームである。最後に試合を決めたのは本庄東7番のダイブ。残り5秒の得点だった。

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      • 本庄東は3番4番も強気のブレイクを見せるなどラクロスの原点を良く体現するチームであり高校生らしい元気なチームだ。決勝で勝ち、更に1部の中で戦うには、自分たちの強さを生かした戦術を考え、その強みを進化させていくことが望まれる。
      • 都立小石川中等教育校は技術も高く12番選手のドロー(2度のドローブレイクはチームを奮い立たせた)の強さ、58番のブレイクポイントを見のがさないアタックはレベルが高い。全員で考えて動くチームは他の学校のロールモデルだと思う。個の力に対する集散の速さによるカバーに磨きをかけると進化が加速すると考える。

注*1 秋季リーグ1部2部について;リーグ戦の1部2部については各高校の自主的な選択制になっており、入れ替え戦も存在しない。
かくして、1部2部の決勝進出校が決まった。

第20回秋季関東大会決勝

11月26日(土) 秋季大会の決勝が 1部2部、1部の3位決定戦の合計3試合実施される。

対戦カード

      1. 日本大学中高 vs 横浜市立高      1部
      2. 東京成徳大中高 vs 大妻多摩中高    1部3位決定戦
      3. 慶應義塾女子高 vs 本庄東高      2部

以上が関東地区Teen‘s秋季リーグの準決勝の結果だ。

中高女子ラクロス秋季大会について

中高ラクロスはほぼ女子のラクロスと言える。男子の高校チームは公式的には北から仙台育英学園、岩倉高校、海城高校、慶應義塾高校、興国高校の5校しかなく(過去には早稲田学院高校にもあった)慶應義塾高校の創設が早く、特別に関東大学リーグ戦に参加することが許されていて実質関東2校の交流にとどまっているのが現状だ。しかし女子ラクロスは関東地区で28校東海地区2校関西地区7校東北地区1校が(合同チームを含めて)活動をしている状況にある。コロナ禍もあり関東ではつくば秀英高校も活動休止、その他大会への参加を中止した高校も多かったのだが今年の春には本格活動を再開した高校、そしてうれしい事に新規参入を果たした高校も出てきている。(別途詳細参照)

中高女子ラクロスには大きく3つの大会がある。(年度時系列順)
① 秋季大会(通称 AutumnCup):9月~11月(高校1.2年生&中学生)
② 全日本中学高等学校女子ラクロス選手権大会:3月
③ 秋季大会(通称 Teen‘sCup):4月~6月(新高校1,2,3年生&中学生)

そして秋季大会は3月に行われる全国大会への出場権を賭けた予選を兼ねている。

全日本選手権への道

全日本選手権へは東日本から5校西日本(愛知県&関西)から3校の出場が可能になっている。さらに関東地区(静岡県を含む)には1部と2部が存在し1部4強になると全国大会への出場権が得られる。さらに1部5位2校および2部1位校に東北地区の仙台育英学園高校を含めたトーナメント戦が東日本第5代表決定戦として3月に実施される流れになっている。

既に対戦相手は決まっており

東日本1位 vs 東日本第5代表

東日本2位 vs 関西大学中高(西日本3位)

同志社高(西日本1位) vs 東日本4位

立命館宇治高(西日本2位) vs 東日本3位

以上 中高(Teen`s)ラクロス情報でした

やっぱラクロスは最高!!

こぶ平

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