【こぶ平コラム】関西地区大学女子ラクロスレビュー
ラクロスファンの皆さん
先日、女子ラクロスの2018年の振り返り関東地区女子編をお送りしましたが、今回学生編最後の関西女子大学リーグを振り返ります。時間を置きすぎて済みません。
日本のラクロスにおける関西女子大学リーグのポジションから振り返る事から始めたい。
創世期
1988年関東学生リーグが始まってから遅れる事2年、1990年に男女ともリーグ戦が始まり、その年関西学院が男女アベック優勝を遂げ、関西のラクロスの公式な開幕となった。
そして1991年、1993年、1994年と全日本選手権において、関西学院女子が早々に優勝を果たしている。1994年までは確実に関西学院が東京女子体育大学とともに女子ラクロスをリードする存在であった。
しかし、その後はクラブの進化に、関西も大学の参加数が増え、松陰女子大学や、甲南女子大学、同志社大学が関西学院と競うようになった。しかし、それとともに全国大会での結果は目立った物を残してはいない。
長期低迷期
関西学院は、関西のリーダーとして常に全国大会を伺う存在でありながら、クラブチーム、関東の大学との差が広がる様相が続く。
関西地区の長期低迷時代に入ったのだ。
2000年頃の関西女子大学ラクロスは、歴史的にも多くのタレントを輩出した甲南と武庫川の両女子大がけん引する時代であり、2001年からは同志社大学がけん引する時代へ突入する。
2002年には同志社大学が王者WISTERIAに肉迫し2003年以降は武庫川女子大が史上でも特筆されるタレントを擁してクラブチームに肉迫し、2005年には王者WISTERIAを破るまでの進化を見せた。
しかし、日本一の座には届かない時代が続き、その流れは、2007年に全国大会へ久々に返り咲いた関西学院もまた、関西1位の同志社もクラブには完敗。以降大阪国際大学が台頭したものの、差が縮まらない流れは変わらなかった。
2009年に新生全日本大学選手権が始まるも、関東の壁を破れないまま関西学院の日本一から15年の年月が経過する。
関西復活期
新生全日本大学選手権が始まって3年、関西ラクロスにとって重い扉が開かれたのは2011年の大学選手権における、関西学院大学の優勝だった。
過去の関西学院の栄光を知らない関東の学生に衝撃を与えた復活は、NLC SCHERZOの日本一と同期してOldファンだけではなく関西の女子ラクロス界に再び光を当てる出来事だった。
以降、関西の女子ラクロスは大学において関西学院、クラブにおいてNLC SCHERZO が全国レベルでリードする形で昨年を迎えたのである。
関西地区の問題
問題という見出しは、関西地区の皆さんには耳障りかも知れない事は重々承知の上で敢てこの場で指摘をしておきたい。
30年の関西ラクロスの歴史の上で、日本一を飾ったのは、大学の関西学院とNLC SCHRZOだけであるという事実。クラブにおいてはNLC SCHERZOが男子FALCONSの日本一を越える連続優勝を続け、大学では関西学院が強い時は戦えるが、それ以外の大学は全国では厳しい
戦いとなる非常に明確な状況にあるのが問題だと指摘をしておきたい。
2018年の関西学生女子
関西地区というミクロな世界では、非常に大きな変化があった年だった。
2016年の関西学院の日本選手権優勝の翌年、戦力的には高かった関西学院がファイナル4で敗退。そのリベンジを期しての年に、リーグ戦を無敗で走り抜けたのは流石であった。
しかし、2017年に関西学院を破った関西大学と、久々に優勝した同志社大学は戦力の成熟を期待されたが、わずかにリーグ戦で関西が関西学院に1点差と肉薄した以外は脅かされる事もなく、関西学院の強さ復活が示された形だったと言える。
2017年に関西学院を破った関西もエースは抜けたものの、Teen’s経験者も抱え充実の年を迎えても良かったはずなのだが、新たな覚醒が無かったと見ている。
同志社には、4年生のかわりに全国優勝をしたTeen’sを迎え覚醒のチャンスがあると見ていたが、雨のリーグ戦対関西学院で完敗をして勢いがなくなったようだ。
この、2校のチーム力の進化が関西学院の進化に抜き去られたという事実こそ関西女子リーグの現状を象徴していると見ているのだが。是非これに関しては、反論をお願いする。何しろ全試合を見てもいない人間の意見なのだから。
これだけなら、大きな変化はないのではないか?
そう、大きな変化をもたらした大学がある。大阪教育大学である。
関西リーグで公立の大学が2年連続で1部リーグを戦ったのは大阪教育大学だけであり、2年目の2018年は確実に進化を果たしている。結果としてそれまで長年続いた、関関同立のファイナル4支配を打ち破り、ファイナル4では4対6と関西学院を苦しめるところまで進化した。
聞くところによれば、意欲的な選手と意欲的なコーチのケミストリーがもたらした結果のようだ。
この進化のプログラムが、選手の才能に依存するだけの物ではなく、未経験の選手を戦える集団にするプログラムである事を信じて、2019年の大阪教育大学の戦いぶりに注目したい。そして、その進化が確実となったとき、関西学院が強い年だけ関西が強いという呪縛から解き放たれる時代に入るのだと言える。
そして、もうひとつの変化は、立命館大学の2部陥落である。環境的には恵まれている方の部類に入る大学であり、Teen’sラクロスの経験者も関西地区では多い大学が、そのポテンシャルを生かしキレずに、2部に降格したのは明確な理由があるはずだ。2019年立命館がその降格をバネに大きく進化する姿を見てみたい。
そして、もう1校近畿大学というチームがよくわからない。大学の規模的には日本一を取った大学以上であり、他のスポーツも強い大学である。スポーツを強くする文化はあるはずなのだが、1部2部を行き来するエレベーターチームになっている。近畿大学にはラクロスは合わないのだろうか?
不思議に思って10年なので敢てここに取り上げた。
関西学院とは
関西学院は関西を制覇し、その運動量の豊富さと体幹の強さを思わせる、強さを持って復活、大学日本一に返り咲いた。それは17年ぶりから4年ぶり、2年ぶりと明らかに選手の才能任せではない強さを得たと思わせるものだ。
Teen’sラクロス経験者も少なく、大学からの経験者をクラブとも戦える戦士に育成するプログラムが整備されたと見ている。
関西の各大学は、その壁の高さが分からないとは思うが、自分達の想定を何割も越えるプログラムで越えるしかない。そこも、ラクロスというマクロな見地からすれば関西の問題なのかもしれない。
関西地区への問題提議
偉そうな事を言うな、ですがここでも敢て。
関東では、日本一になったチームの選手やコーチが、他のチームのコーチで教える事は普通である。
むしろ、慶應義塾や明治大学が率先して為していることなのだ。
結果、他の大学はその高みを越える練習をし、王者は負けずに新しい練習をするだからリーグのレベルが上がっていく。
関西地区はどうだろう?もっと、交流があっても良いのではないか? と申し上げる。
そういう他の大学の血を入れた、立命館大学が降格したのは残念でならない。
スポットライト
2018年1部昇格を決めたのが、大阪大学と立命館大学を破った神戸大学の1部経験校である。大阪大学は降格後即昇格をした。この2チームは長期的にチームを作り続けていると見える。そして両校とも男子が、1部の強豪校である。
10人制になる新世紀女子ラクロスで、大きく飛躍する可能性を持っていると見ているのだが、男女の交流があればの話だが。
そして大阪教育大学。関東でも2年連続で1部を戦った、東京学芸大学がある。しかし、3年目はならなかった。同じ教育系の大学である、良く学び良く戦う姿を期待したい。
公立大学が3校1部リーグで同時に戦う日本初のリーグとなる。
2019年関西の女子大学リーグが日本一リーグであり続けるには、関西学院頼りからの脱却が焦点だと考えている。その可能性は大阪教育大学であったり、関西大学の覚醒もだが、やはり同志社大学の飛躍的進化に期待をしているのだが、結果はどうなるか注目の地区である。
これで、2018年学生リーグの振り返りも終わり、残すは女子のクラブだけである。クラブは今は新戦力の加入待ち状態で、今シーズンを占うまでには行かない。ので、振り返りにはもう少し時間を貰えそうだ。
それでも3月中には、振り返ります。お待ちください。
Women lacrosse new era !