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【こぶ平レポート】ラクロス日本代表チャレンジ2022試合レポート|男子U-21 世界大会への挑戦

Photo by Akie Umeda

女子フル代表に続き、間にWorld Gamesを挟んで掉尾を飾る、8月10日から8月20日までアイルランドのリムリック大学で実施される男子21歳以下世界選手権大会について、先日の壮行会から見えたもの、ヘッドコーチにお聞きしたことから、今の男子21歳以下世界選手権代表チーム(以下U-21とする) について紹介していきたい。

アンダー世代の世界大会の歴史を振り返る

日本の男子チームが、フル代表以下の世界選手権に初めて出場したのが女子フル代表が世界選手権に出場するよりも早く1992年第2回19歳以下世界大会(以下U-19)大会である。ただし1992年は1990年にエキシビション参加したフル代表の世界大会の延長上にあり、オーバーエイジ枠での参加が認められた実質フル代表の参加であった。実質初のU-19の世界選手権参加となった第3回U-19大会はなんと日本・東京都/江戸川区陸上競技場で開催された。(翌年の1997年には女子フル代表の世界選手権が実施されている)。しかし、この時も5か国出場の5位。
ラクロス協会の 【日本ラクロスの四半世紀・第12回】 1996年・世界大会を初めて日本で開催 には「この大会は、日本ラクロスがこの10年間に育んできた力を結集して行われた、過去にない規模の祭典であった。」とある。

参加選手団5ヶ国計199名。審判団計11名。来日各国応援団約200名。エキシビション・イベント参加者7,428名。観客総数42,850名。協賛協力31団体。メイン会場1、サブ会場12。大会スタッフ253名。OB・OGスタッフ延べ6,000名。大会準備期間37ヶ月。運営準備期間4ヶ月。実施17日間。

そして本格的参戦となった1999年大会の記録を見ると、主力は高校から経験のある慶應義塾大学の選手を中心に組んだことが垣間見える。それでも世界の壁は厚かったようだ。(最後のオーストラリア戦は12対13と善戦をしている。)

2003年は男女同時開催。場所は、今回女子の世界選手権が開催されるアメリカ合衆国 Maryland州 Baltimore Towson University 歴史とは繰り返すんですね。参加国は U.S.A、オーストラリア、カナダ、イングランド、イラコイ連邦、日本、韓国、ウェールズ、ドイツ の9か国に増え、この大会で日本はU-19史上初の勝利を挙げることになる。予選でドイツ、韓国、ウェールズに勝利が歴史の刻まれた。しかし、Topグループとの間にはまだ差があり、England, Iroquoisには敗戦となった。この時も選手28名中17名が慶應義塾大学の選手だった。

2008年は初めてTopグループでの参加となったが、厳しい戦いが続き下位グループのスコットランドに勝利したのが戦いの証となった。(23名中11名が慶應義塾大学、高校)

ここまでの挑戦で日本の男子U-19チームの世界への挑戦は一旦途絶えることになる。2008年で、大学から始めた選手の割合が増加し育成の術が日本でも広がり始めた頃の、この世代の撤退は残念な気もするがフル代表が戦える環境に集中するという考え方が優先されたのではないか。(実際、2010年の男子世界選手権では日本ラクロス史上初の3位決定戦進出を果たし、4位という歴代最高位を獲得している。)

日本代表チャレンジマッチ・ゲームレポート

迎えた2019年、2020年開催のU-19世界選手権への再挑戦を決めた若き代表もコロナ禍の影響による大会の延期によりその時果たせなかった夢を繋ぐ大会として開催されるU-21世界選手権への挑戦が今年果たされた訳だ。改めて、その出場の意味と、今のU-21チームを知る為に、ラクロス世界大会開催の地江戸川区陸上競技場へ足を運んだ。

壮行試合の対戦相手は、格上のフル日本代表チーム。世界を想定した戦いが始まった。

★ゲーム展開

実際には、U-19代表選考から2年を経たとはいえ、実質三年以下の経験者が大半を占める(代表候補28人中高校からの経験者は2名)U-21にとって、フル日本代表チームの壁は高く、1Q 13番箱崎選手(神奈川大学/学法石川)と、2Q 21番貝柄選手(慶應義塾大学/埼玉県立大宮)の得点に抑え込まれた。 結果的には 2対15

内容的には、一般的には聞きなれないロールかもしれないが「ショートスティックディフェンス」の差が大きく影響し、ことごとくU-21のアタックの目が摘まれた結果のようだ。そして結果として
Man of the match は日本代表の ショートスティックディフェンダー キャプテン 14番佐藤 大選手(FALCONS/早稲田大学)となった。

★得点者は以下の通り(敬称略)

U-21日本代表 13番 箱崎蒼太 21番 貝柄海大

日本代表    3番 立石真也(FALCONS/慶應義塾)5点、1番 尾花一輝(GRIZZLIES/早稲田)、5番 小松勇斗(GRIZZLIES/中央)、7番 金谷洸希(GRIZZLIES/千葉) 各2点 2番鈴木潤一(Stealers/早稲田)、4番 守田樹(九州大学在学中)、8番後藤功輝(GRIZZLIES/早稲田)、19番LMF平塚弘喜(GRIZZLIES/早稲田) 各1点

試合後の壮行会において、ラクロス協会理事長の佐々木氏からの、「2008年以来のU-21(U-19)派遣は‘未来に繋ぐ礎の意味が大きい」という言葉が印象的だった。そして、その後代表の鈴木直文ヘッドコーチに少し踏み込んでお聞きしました。

久々のU-21(U-19)世代の派遣の意義について。
理事長の言葉に合った、未来へつなぐ意味と、更に日本が培った「短期間で育成する力」を証明できる時期がこのタイミングだった。日本のように大学生からラクロスを始めるケースで、優れた運動能力を持つ選手が集まり始め、その力をラクロスの力に持っていく。その証明こそが未来へ繋がる未知のようだ。
戦術的な特徴は何かあるか?
詳細は、又別の機会に語ることになるが、日本ではまだ浸透していない新しい戦術の浸透を、若いチームから果たして次世代のJapan Lacrosseに繋げる意図があるようだ。これは世界の潮流に乗り遅れないだけではなく、新しい潮流を作り出したいという意思も見て取れる。

世界が落ち着く方向にあり、順調なら2023年には男子の世界選手権が実施されるはずだ。その時にも又新しい戦闘服を身に纏った戦士たちが見られるのかもしれない。U-21の世界大会まではまだ時間がある。これからの進化に期待し、又ラクロスファンのたくさんの応援で支えてあげて欲しい。未来のラクロスの為にも。

U-21世界選手権に関しては詳細なブロック分けも出ていない。選手たちもこれから絞られる。改めて詳細を語る機会を設けることになるはずだ。乞うご期待を。

次回は今期の日本ラクロス展望。

ラクロスって最高!

こぶ平

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