こぶ平コラム

【こぶ平コラム】第13回全国中学校高等学校女子ラクロス選手権1日目の考察

3年ぶりの開催となった、全国中学校高等学校女子ラクロス選手権大会(以下、全中高ラクロス)。開催前はやはりコロナ禍の影響で2年のブランクがあることから中高生女子ラクロスレベルの低下も危惧されていたが、参加8校のラクロスは2019年の前回開催と比べても全体的にハイレベルな大会となった。これから6回に渡り大会の模様をお伝えするとともに、中学校高等学校女子ラクロスについても考察していきたい。

13回目を迎えた全中高ラクロスは、高校2年生以下の新チームによる秋の大会の西日本、東日本の上位と直前に行われた決定戦により決まった東日本第5代表の合わせて8チームが参加する大会である。

<参加校>
西日本1位 同志社高等学校(前回2019年準優勝優勝2回)
西日本2位 立命館宇治高等学校
西日本3位 関西大学中等部高等部
東日本1位 東京成徳大学中学校高等学校(最多優勝)
東日本2位 横浜市立東高等学校(優勝1回)
東日本3位 日本大学中学校高等学校(前回2019年優勝)
東日本4位 目白研心中学校・高等学校
東日本5位 桐蔭学園高等学校(優勝1回)

関東在住の私にとっては、西日本のチームの情報は限られており、逆に未知のチームがどのような試合をするのかを楽しみとしているのだが、今回も、東日本ではお目にかかれないラクロスを展開してくれる形となった。

※以下、校名は略称

1回戦:第1試合|東京成徳大中高 9 – 2 桐蔭学園高  

ともに、中学校からの経験者も多く技術レベルの高い試合となったのだが、東日本1位の東京成徳大中高は技術の高さだけではなく戦術の熟成度と、ドローも制御し、パワー、運動量でも上回り中盤も支配をした。桐蔭学園も、3Qでの29番のドライブや東日本高校界No.1の呼び声が高い10番ゴーリーの好セーブも含めたディフェンスの頑張りにより後半3対2と緊迫した展開に持ち込んだが、トータルでは9対2で東京成徳大中高が勝利した。東京成徳大中高7番の高さを生かしたゴール前での動きからの得点や、62番の突破力からの得点力は大きな武器になることを予想させた。さらにMF4番・5番の運動量も特筆すべきものがあった。

1回戦:第2試合|立命館宇治高 4-5 日大中高

当初の予想では、一回戦で最も厳しい戦いとなると見ていた一戦だが、予想通り最後まで戦い合う好勝負となった。
2019年までの大会では西日本では同志社高の一強状況と言われても仕方がない状況だったが、20年以降関西の大会で同志社高と接戦を演じるように進化してきたのが立命館宇治高であり昨年の秋季大会決勝でも同志社高相手に8対12という戦いを繰り広げていた。
一方の日大中高は、2019年大会の覇者でありその後も20年21年と関東で無敗を誇ったチームから大きく世代交代となったチームであり、多くが昨年秋からレギュラーとなったチームだ。とは言え、技術的にも高いレベルで、個々の能力的にもポテンシャルの高い選手がそろっている。さらにチームとしての戦術理解という面でも高いレベルにあるのだが、秋の大会ではなぜか自信無さ気で、ポテンシャルを発揮できていなかったように見みうけられた。そして、もし秋の大会のままの状態であればこの試合は厳しい戦いになると予想していた。そんな中、日大中高にはさらなる試練が降りかかる。試合前日に、ダブルエースと目されていた一人の選手が怪我をして大会に出られない事が判明し、当日外から見てもチームとして不安である状況が見てとれた。
そして、始まった試合は日大中高が支配的でボールを動かすものの行ききれない状態が続いたが、開始4分に試合が動く。日大75番がゴール正面25mラインから仕掛け、DF2人の間をブレイクから打ち込む強さを見せ先制した。しかしその後は日大中高、立命館宇治両者ともディフェンスが固く、特に日大中高のディフェンスを抜いて立命館宇治が攻撃相手陣で攻撃できたのは1Q 3度だけであった。
2Qに入っても、日大中高のディフェンスは崩れず0対3とされた立命館宇治。タイムアウト明けから動きが一変する。立命館宇治10番が初めてドローを獲得すると70番が一気のドライブ。初めてゴールを脅かすショットを放つと、前へ進む動きが日大中高を上回り44番がブレイク。10番も続き2対3と一気に肉薄した。しかし、直後のドローからのブレイク立命館宇治10番の攻撃は不発で、しかも脚を故障しリタイア。10,11,44,70、86番でゲームを作ってきた立命館宇治、とりわけドローを優位にした10番のリタイアは後の試合を左右する事になった。
3Q開始早々こそ出場した立命館宇治10番も70番の得点をアシストするまででリタイア。その後は立命館宇治11,44,70番の仕掛けも日大が対応して得点を許さなかった。
しかし日大中高も立命館宇治のディフェンスの圧力に攻めきれない時間が続いた。それでも3Q8分 日大中高エース77番がついに自分で動きゴールを奪った。その後の立命館宇治11番のフリーシュートも日大中高ゴーリー53番がセーブし凌ぐ展開。立命館宇治のポゼッションが続き、3Q終了前には立命館宇治44番のカットインからのショットが決まる。4対4と同点のまま最終の4Qへと進んだ。
4Qに入ると、早々のドローボールの取り合いから厳しい争奪戦で倒れる選手も、日大中高リスタートから77番フリーシュートをディフェンス2枚の圧力にも負けず決め切った。4対5と日大中高が再びリードし、その後は立命館宇治の攻撃に対しては1on1を許さず、マイボールは確実にコントロールする日大中高らしさを見せ激戦を勝ち切った。高いパフォーマンスを見せた立命館宇治の44番に対して守り切った日大中高71番のディフェンスも光った一戦だった。結果的に10番を後半欠いて戦った立命館宇治と主力を1枚欠きながら勝った日大中高。最後に取り戻した強い気持ちが日大中高の勝利を呼び込んだと言える。

1回戦:第3試合|同志社高 11-3 目白研心中高

謎のベールに包まれていた同志社高校は、今年も素晴らしいパフォーマンスを見せ東日本4位の目白研心に対して、走り勝ち、力強いショットを決める強いチームだった。特に関東では強さを見せた目白研心のドロー16番を圧倒した同志社高19番の力強さは圧倒的だった。そして全員で良く走り、前を向くスタイルは、粗削りではあるものの高いポテンシャルを秘めているチームと見えた。
一方の目白研心も、2019年から個々の選手の進化は顕著で、ドローを頑張り2点を取った16番や26番の速攻など見どころは多かった。今後は、全体の戦術理解や、パス精度、ディフェンスの形態まで、踏み込んだチーム作りが、次の段階への重要なカギになると考えている。

1回戦:第4試合|横浜東高 16-4 関大中高

例年、秋の大会からの進化に著しさを見せる横浜東に対して、中学生も加わらなければならなかった関大中高。1Qから圧倒はされたが2Qには38番をTopに速攻狙いは鮮やかで、2点を返し盛り上がりを見せた。しかし、後半の2得点も及ばず。横浜東の強さが際立った一戦となった。攻撃のパターンも多い横浜東にとって82番のドローは今後の戦いで生命線となる事を示した一戦でもあった。

1日目1回戦のまとめ

この結果  大会2日目に実施されるカードは
準決勝

東京成徳大中高(東1位)vs 日大中高(東3位)
同志社高(西1位)   vs 横浜東高(東2位)

順位決定戦

立命館宇治(西2位)   vs 桐蔭学園(東5位)
関大中高(西3位)   vs 目白研心中高(東4位)

となった。

全中高ラクロス 2日目の模様はまた次回のコラムで。

こぶ平

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