早慶戦女子ラクロス2022年

【こぶ平コラム】大学ラクロス関東前哨戦「こぶ平は見た」|早慶戦・女子ラクロス|6対8で慶應義塾が勝利

7月末に開幕する可能性が高い、関東大学リーグ戦。今年は昨年の特別大会を経て、変則的なリーグ戦&激戦予想のリーグ戦となる。そこで今季の関東大学リーグ戦を占う為に、前哨戦となる試合のいくつかを「こぶ平流」に語っていきたい。題して「こぶ平は見た」シリーズ。

まず最初は、早慶戦。3年ぶりに有観客試合となり、今年で30回という節目を迎える早慶戦は日本で最も伝統的なラクロス交流戦である。そして、男女とも1部リーグ上位を形成する事から、早慶以外の人間にとっては早慶戦での勝利という側面以上に、その年のラクロスの行方を占うという側面がクローズアップされる。今回の「こぶ平は見た」そんな所に注目をしてみた。

 

先ずは女子、早慶両校はリーグ戦でグループが分かれ、お互いの現状の力(チカラ)を試しやすい状況にあった。そして事前に得ている情報から下記の3点に注目をして見ていた。

  1.  慶應義塾は4年生を中心に各世代にタレントが揃い点を取れるチームになった。
  2. 早稲田は従来と異なり、フルフィールドでハイプレーシャーなラクロスで攻撃的に変貌している。
  3. 慶應義塾は4年生が1年から目指してきた形の集大成であり、早稲田は一新したスタイルで臨む1年目である。

これだけを見ると、熟成度からしても慶應義塾に分がありそうだが、早慶戦という雰囲気、そして早慶戦に求める物は何かによって試合の様相が変わる。そしてまさに試合の展開は予想されたものと変わるものだった。詳しく見ていこう。

★スターティングメンバー(敬称略) 

  • 早稲田大学:G97番山本(4年) DF1番池崎(4年)、14番片岡(3年)、64番渡邊(3年) MF19番川崎(4年)、5番木村(4年)、51番高野(4年)AT 2番櫻井(4年)、,23番拝原(3年),11番上野(3年)
  • 慶應義塾大学:G2番栗山(3年) DF60番矢島(4年)、10番藤澤(3年)、68番中田(4年)MF33番山本(4年)、88番川久保(4年),22番西股(4年) AT71番平井(4年)、61番大類(4年)、74番秋山(雅3年)

という布陣でお互い4年生が中心の負けられない形だと見て取れた。特に慶應義塾の33番、71番、74番(3年)、88番は1年生から活躍をしている強力なカルテットとしてリーグ戦でもマークされる存在である。

ゲームレポート

<1Q>
ドローは 早稲田19番 対 慶應 88番   昨年からドローに強さを見せていた慶應88番がコントロールすると最初のターンは慶應義塾。しかしポゼッションもパスアウトでターンオーバー。慶應の強力な前でのプレスに対しハーフライン付近までクリアランスる早稲田のゴーリー97番。ここからまず会場の目は早稲田のゴーリーの動きに集まることになる。その後は互いの厳しいマンマークによりブレイクの機会も少なくショットの機会も少ないまま10分過ぎのウォーターブレイクを迎える。
するとウォーターブレイク明け状況が動き出す。攻めをテーマにする早稲田のターン。ポゼッションからショットを連発するも枠外となり、慶應義塾の堅いゾーンディフェンスを崩し切るところまでは行けない。しかしターンオーバー速攻の慶應義塾もショットはセーブされ、逆に早稲田のカウンターからの速攻を受け11番のドライブからのショットにブレイクを許しリードを奪われる。1Q最後の慶應義塾のフリーショットも再び早稲田97番ゴーリーのセーブを受け1Q 1対0 で終了。

<2Q>
エンジンの掛りの遅かった慶應義塾がギアチェンジ 暑い中ゆっくりのポゼションが続く中、慶應義塾の守備からのターンオーバーは速攻74番が抜け出しブレイクをする。一方の早稲田もカウンター速攻がはまり再び11番がフリーで抜けて決める。漸く試合が動き出した。すると慶應義塾が立て続けに得点を奪う。ドローをコントロールしポゼッションから慶應義塾33番がもちまえの“しなやかなドッジラン“で’インサイドブレイク。22番がドロ-をスクープしてブレイクし、一気に逆転をする。早稲田も慶應義塾のプレスに対してカウンターの機会を狙うが決め手を欠き、そのまま2Qを終了した。  2Q 1対3 トータル 2対3

<3Q>
しかし、エンジンが‘温まり切らない(慶應義塾のHCのお言葉を借りると、氷が解け切らない)慶應義塾に対して、ハーフタイムで整えた早稲田はゴーリー中心の守備からのカウンターで対抗し、0番のフリーショットで追いつくとウーマンアップを利して、2番のインサイドブレイク。ゴーリーのフリーショットセーブからの速攻は完全にインサイドをブレイク5番が決めて5対3として、早稲田のクォーターとした。3Q 3対0 トータル 5対3

<4Q>

5対3 早稲田リードで始まった4Q、‘氷の解けるのが遅い’ 慶應義塾4Qに入ってようやくギアが次の段階にアップされ、早々のドローからのポゼッションを74番のドッジ&ターン ショットでブレイクに結びつけると、88番の渾身のスリーショットも炸裂し同点とする。流れを変えたい早稲田のタイムアウト後も、慶應義塾ドローからの74番秋山ミモ選手(3年生)スクープランブレイク(ハットトリック)で一気に逆転。その後は慶應義塾71番の裏まくりも決まり、最後は慶應義塾1年生秋山ミリ選手のカウンター速攻でデビュー戦得点、慶應義塾圧巻の5連続得点。早稲田の2番のブレイクは時すでに遅かった。 4Q 1対5 トータル 6対8で 慶應義塾が勝利した。

結果的には先に書いた、“慶應義塾カルテット”がもれなく得点(6得点)し早稲田の勝利を奪った形となった。

両校のヘッドコーチ(HC)インタビュー

★慶應義塾大学 大久保HC

  • 慶應義塾は今年は昨年より点を取るラクロスができると思う。
  • 氷が解けるのが遅い — 自分たちはやれるという思いから最初から余裕を持ちすぎて入りが悪い

★早稲田大学 鈴木HC

  • 従来の守備の早稲田ラクロスから攻撃のラクロスに変わりつつある。
  • 運動量は高いものを持っているので攻め続けられれば良い結果が出るはず。

こぶ平’s VIEW

マッチMVP 慶應義塾大学88番 川久保 博子選手 ドローを完全にコントロール 逆転となるフリーショットも強かった。VPは 早稲田大学97番 山本 芙結選手 ゴーリーとしてセーブに、攻撃の起点にと活躍。新たな代表ゴーリー候補の出現を感じさせた。

そして。両チームの特徴を “こぶ平流” に切り取ってみた

★慶應義塾大学

得点力が高い。タレントも多く、それぞれが個性を持ちその力がトップレベルであることからすると確実に10得点は上げられる
エンジンの掛りが遅い。これは、「マインドセット」で変わるという識者も多いが、染み付いたマインドセットは容易に開錠されない。近年第4Qの重みが増しているのは事実だが、絶対に負けられない戦になると余裕がなくなる事は多い。慶應義塾の立ち上がりの戦いぶりはリーグ戦の注目の一つ。
ショットは下が多い。これは高い得点力と裏腹なようだが、「70%以上下に打って」8点を取り切るという事は、むしろ脅威的である。この点はリーグ戦でのもう一つの注目である

★早稲田大学

攻撃的なチームになる。より攻撃的なディフェンスから、ボールを奪い攻撃に繋げる事は十分にできる事は証明して見せた。
ショット技術は高い。フィニッシュ時のショットの上下への打ち分け、コーナーへのコントロールは、慶應義塾を上回る物を見せていた。
攻撃機会創出に課題あり 本当の攻撃的というのは、守備が攻撃的になった事ではなく、ショットが上手い事ではない。攻撃の機会が増えショットが増える事だと考えている。その点で早稲田はショットに行く機会を逃すケースが多く、ショット本数も少なかった印象が残る。

今回の試合で見られた事は、

  • 慶應義塾は強い 攻守のバランスが高い次元で取れていて、ショットを決め切れる選手も多く、切り札もいる。
  • 慶應義塾はゲームへの入り方には難があり、実際のリーグ戦では手遅れを招きかねない要素である。
  • 早稲田も鍛え上げられた良いチームだが、得点力において従来の力を越え切れていない。動きの速さをもっと突き詰めギャップができたら、逃さずショットを打つ気持ちの形成が本当の攻撃性の高いチームへの変貌の鍵だと見えた。
  • 早稲田の守備はとても高い能力のゴーリー中心に伝統に裏打ちされた優れたものだ。前線に良いフィニッシャーもいる。それを生かす速い、カウンター攻撃というのは脅威になると見た。

今季、早稲田と慶應義塾は A,B別のグループに分かれてシーズンを戦う。先日発表された全日本大学選手権の概要では、関東のファイナリスト2校が大学選手権に出場できる。仮にリーグ戦で両校が勝ち抜くと関東の決勝戦のみならず、全日本大学選手権の決勝でも再度戦う可能性がある。その時までに、どのようにチームが進化しているのか楽しみが増えた。


 

2022年リーグ戦情報

女子は各グループ 7位は自動降格 5位6位は入れ替え戦(のはず)

Aグループ  明治大学、立教大学、早稲田大学、青山学院大学、学習院大学、中央大学、日本女子体育大学

Bグループ  日本体育大学、慶應義塾大学、東海大学、成蹊大学、法政大学、東京農業大学、明治学院大学

お互いが決勝戦で相まみえるには共に、1位か、共に2位通過しかないが、予断を許さない今季のリーグ戦先ずは勝ち抜く事が必要であり、守りたくなる気持ちになりがちだが10年間の中で10点取って負けたチームは数えるほどだ。両チームその可能性があるなだから10点を取る試合をやり切って勝ってほしい。

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