こぶ平コラム

【こぶ平ラクロス】関東地区「男子ラクロス」1部リーグ振り返り

皆様へ、「ラクロスについて書くことに専念します」宣言をしてから最初のコラムをお送りします。
8月に


をそしてその後の

を掲載しましたがその検証と、今を書いて行きます。

先ずは、女子編の後出せなかった関東学生男子1部リーグ戦の模様から書いて行きます、

関東1部は激しくて進化した

新世紀ラクロス編で、無茶な予想とは言い訳したものの、関東男子のファイナリストを東京大学と立教大学としていたが、先ずは、ハズレてしまった事を、慶應義塾、早稲田の両校チームの皆様にお詫びをします。その理由は何処にもない育成の力なのだと思うのだが、密着取材も叶わないので、深謝します。

 

Bブロック

それでも、慶應義塾、早稲田両校は苦戦を強いられたのは事実だった。Bブロックの開幕戦となった東京大学vs慶應義塾大学戦は前半非常に良いラクロスを展開した東京大学は想定通りの強さだと思わせたが、後半その力を封じ込めた慶應義塾大学のチーム力。とりわけ、ほぼ総入れ換えとなった守備陣の踏ん張りが勝利を生み出した、従来と逆のイメージで戦われた試合から慶應義塾大学の強さがうかがい知れた一戦が、実際にはBブロックのクライマックスだったのかも知れない。そのまま慶應義塾大学が集中力を切らさず、最終戦を待たずに最初のファイナル4進出を決めた。圧巻は立教大学戦ではなかったか。上昇気流に乗る立教大学のお株を奪う攻撃で前半で決着を付けた試合は見事なものだった。

早稲田大学は初戦の明治学院大学戦で従来の攻撃力が戻ったことを証明して見せたが、慶應義塾戦では終始苦しい展開で4Qに慶應義塾のミスに救われた感もあり、乗りきれないまま、迎えた立教大学戦ではアウェイで完敗する(男子のリーグ戦においては初の立教大学の対早稲田大学に対する勝利であった事は付しておく)。相性の悪さとも言えるが、戦前から自信を持っていた立教には成算があったのだろう。しかしその後の戦いでは見事なリカバリーを見せ、ファイナル争いのライバルとなった東京大学戦では見事な攻撃と強い守備で東大を封じて見せた。

結果的に、4強と言われた慶應義塾、早稲田、東京、立教では慶應義塾が2勝1分、早稲田が1勝1敗1分、東京、立教が1勝2敗と、拮抗した戦いとなった。そして、もし(はないのだが)早稲田が慶應義塾戦での敵失に乗ずる事ができていなければ敗戦となって、2位は3勝2敗の三つ巴となっていたわけで3校どこにもチャンスが有ったという事になる。この4強の進化は来年こそ大いに楽しみだ。

☆Bブロックは4強に対して遅れを取った感のある明治学院大学、日本体育大学だが、パフォーマンス的には十分ポテンシャルを感じさせるものだった。しかし、明治学院は若いチームであり、日本体育はコロナの影響を受けて他の大学より集合練習の機会も少ない、合宿もできない影響を受けたと言える。それでも明治学院が日本体育を破った意義は大きいと言える。

Aブロック

一方のAブロックは評価のしにくい戦いが続いた。昨年初のファイナリストとなった武蔵大学、ファイナル4の明治大学、2009年優勝の一橋大学、ファイナル4常連の中央大学に獨協大学、昇格組の横浜国立大学、学習院大学からなるブロックはAブロック同様の混戦になるが、ただしゲームレベルはBブロックより低い予想に溢れていた。シーズン開幕戦となった武蔵大学 vs 中央大学戦が象徴的だった。若い武蔵大学のミスにより4Qに逆転をした中央に勝利への執念を見たものの、種々のチーム事情も加わって結果的には絶対に負けないラクロスのぶつかり合いからグラウンドホッケー並のロースコアゲームが最後まで続いた。

Aブロック7チームの1試合の平均得点をまとめてみた(10月6日現在)
明治大学 4.8点
武蔵大学 4.5点
中央大学 4.2点
一橋大学 5.2点
獨協大学 4.3点
横浜国立大学 3.3点
学習院大学 2.8点

結果はどこが1、2だったのか分かりますか?

明治大学が1位、獨協大学が史上初の2位 ファイナル4(おめでとうございます)進出となった。明治が2引き分け、獨協はこれ又史上初の3引き分け共に無敗なのだ。この結果は何故生じたのか?色々な関係者の声でも聞かれたが、試合を見る限りディフェンスが絶対的に強いのではなく、攻撃機会の創出が絶対的にできていなかったし、ショットの機会にもショットを打たなかった事に尽きそうだ。
中央大学のコーチ陣とのお話では、

「ファイナル4までは進めてもファイナルに行けない。ファイナルに行くためには絶対に勝ちきる為にその時にできる攻撃の最善、守備の最善を尽くす事」と言われた。裏を返せば、最善のポジションになるまでショットを打たない、という形に陥ってしまったのかもしれない。確かに最後追い込まれても折れない不屈の気持ちは武蔵大学戦でも又、一橋大学戦でも如実に現れた。しかし、明治大学、獨協大学戦では得点力不足という形も露呈したのではないだろうか?いずれにしても、Aブロックに蔓延したとも言える得点力不足はBブロックとのファイナル4においては最大の弱点と見られても仕方がないだろう。

因みにBブロックの平均得点は以下となっている(10月6日現在)

仮 慶應義塾大学 6.3点
早稲田大学 7.8点
3位 東京大学 7.0点
4位 立教大学 7.0点
5位 明治学院大学 4.2点
6位 日本体育大学 4.5点

BブロックのディフェンスはAブロックの物より高いレベルにあると見ているが。2点以上の差があるのはAブロックに比して大きな違いと言える。最下位の日体大ですら、2位の獨協大学の得点を上回っているのだから。

こぶ平の目

  • Aブロックの風雲児となった獨協大学については事前情報も得られず、シーズン当初の試合で負けないラクロスを展開するチームという印象を持ったが、その負けないラクロスを貫き通した精神力は素晴らしい。U21代表選手候補に含まれながらリーグ戦に専念した得点元はいるが、1枚だけでは大量点は望めないという戦いぶりに見えた。そして、得た初のファイナル4は、マスター5(慶應義塾、早稲田、日本体育、一橋の優勝経験者に初期からの常連東京大学を加えた、こぶ平流呼称)に続く、法政、明治、中央、成蹊、武蔵に名を連ねる11番目の大学となった。(現行大学選手権が始まった2009年からの集計)
  • そして昨年一気にファイナリストとなった武蔵大学は、小規模大学の宿命とも言える層の薄さもあり(多数の2年生も出場せざるを得なかった)接戦を物にすることができず、一転入れ替え戦行きとなる苦しいシーズンとなった。2部のAブロックは強敵が入れ替え戦に進出するので、最後まで厳しい戦いとなりそうだ。
  • Aブロック1位となった明治大学は昨年のファイナル4経験者を含め堅実なラクロスで連続のファイナル4入り。ファイナルリストを目指すのだが、強力な攻撃陣との戦いを体験しなかった事がどのように影響するか注目したい。
  • Bブロックの慶應義塾大学は大幅な入れ換えで臨んだ守備陣も強い動きで攻撃力の優れたチームとの連戦を無敗で乗りきった力は、流石の育成力と評価されるべき物だろう。若いコーチ陣のみでありながら確実にチームの全体を隙なく上げる力に今後も注目したい。又、フェイスオフの踏ん張りは勝ち抜くには欠かせない力だったと称えたい。
  • 早稲田大学は厳しいリーグ戦だったと考えられる。しかし早慶戦時点での早稲田らしさ「巧より強たれ」には遠かった攻撃も修正され進化させてきたのが、早稲田にとっては最低限かもしれないが結果に繋がったと言える。リーグ戦最終戦となった東京大学戦ではどこよりも強い印象を与えたのではないだろうか?
  • Bブロックの目玉と目していた、東京大学と立教大学については注目に値するラクロスを展開したと評価されるべきだ。(とっくに高い評価を得ていますね)。東京大学は従来の守備型から攻守のバランスが高い次元で保たれ、慶應義塾を圧倒しかねない攻撃力は、立教大学戦でも発揮された。立教大学のHCからも完敗の声が出たぐらいだ。しかし、早慶との戦いで結果が残せなかった事への回答は単なる技術とかの問題ではなく、トータルで一つ一つ検証された先に見いだせそうな気がしている。来期へも期待が高まるチームの一つだ。
  • 立教大学については、ロングミッドフィルダーに強みがあると考えると躊躇なく前線にも投入する新しいスタイルのラクロスは見ていて面白いものだった。得てしてハードアタックのイメージが先行し勝ちだが、良くラクロスについて考えられたチームとなっていた。ただ結果を出すには攻撃的なチームに内臓される脆さを試合中に修正する事ができる、選手間のもう一段高いコミュニケーション力、自己再生能力とリーダーシップが求められる。

これで関東学生リーグ戦男子のファイナル4が決定した。

ファイナル4は
Aブロック1位 明治大学 vs 慶應義塾大学 又は 早稲田大学 Bブロック2位
Aブロック2位 獨協大学 vs 慶應義塾大学 又は 早稲田大学 Bブロック1位

共に得点力から見るとAブロック優位に思われるがちだが、ファイナルではドラマが起きる。今年はいかなるドラマが待ち受けているのか楽しみだ。

因みに1部↔️2部入れ替え戦は
1部Aブロック 5位 武蔵   vs 2部A2位 筑波、法政or青山学院
1部Aブロック 6位 横浜国立 vs 2部A1位 筑波、法政or青山学院
1部Bブロック 5位 明治学院 vs 2部B2位 東海、成蹊or上智、千葉?
1部Bブロック 6位 日本体育 vs 2部B1位 東海、成蹊or上智、千葉?

こちらも厳しい戦いが予想される。なお1部Aブロック7位の学習院大学は自動降格となっている。

ラクロスは終盤だが、これからが本番。関東は2,3部戦はまだまだこれから。ラクロスを楽しもう!

やっぱりラクロスは最高!
こぶ平

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