こぶ平コラム

【こぶ平コラム】開幕1か月 〜関東学生ラクロス(女子)の開幕から見えたもの〜

学生リーグ戦が全国で開幕し、一気にラクロス真っ盛りとなった感がありますね。男子U21(学生)代表が世界選手権を戦って、Topグループへの挑戦をはたす様相。そんなラクロス、関東の開幕1ヶ月を見て、全国の結果を集めてみたところで見えて来たものを書いておきます。

先の「ラクロス新世紀―大学編」で書いたことの予想修正はさておき、これからのムーブメントに影響を与えそうな大学も見えてきました。ラクロスは常に変化する、「ラクロスは常に変化を要求される」そんなことを実感した1か月でした。

先ずは、全国で猛威を振るう感染症の影響が最も大きかったのが関東地区だ。実質開幕の男子の試合も流れて、翌日予定の女子の試合の一つも延期となり、開催後のスケジュールが変更される中、1部の試合が優先され、Final4の行方が見えてきたかに思えるが、まだ当初の予想通り混戦が最後の戦いまで続きそうだ。

 

関東学生リーグ女子の開幕1か月(1部の試合結果中心ですみません)

開幕戦【2部 専修大学vs一橋大学】 2対5

昨季、1部に昇格した中央大学には完敗したものの、今季はチームの情報発信は更に良いものとなりチーム力の充実を感じさせていた一橋大学に対して、今季2部に返り咲いた専修大学の戦いは、専修大学の豊富な運動量を封じ込め終始安定した守りで対応した一橋大学が4Qの反撃の2失点のみに抑えて5対2と勝利した。

【1部 早稲田大学vs日本女子体育大学】 7対4

今季新体制で、早慶戦においても今までのスタイルからの変貌を見せた早稲田大学ハイパフォーマンスのゴーリーを擁しファイナル4も狙えるチームに対して、スピードスターを擁して久々に1部に復帰した日本女子体育大学の試合は、前評判以上の接戦となり1Q 2対1、2Q 1対1 合計3対2 で前半終了 3Q 2対2、合計 5対4、4Qに入り FS以外で中々点を奪えなかった早稲田が5番のドライブで得点をしたのが大きかった。その後は日本女子体育の攻撃も封じて 7対4で勝利した。

【1部 法政大学vs明治学院大学】 11対11

この試合は、久々にラクロスらしい点の取り合いになる熱い試合となった。詳しく見ていこう。
法政大学は、1部に定着し中堅から、さらに上位を目指しここ数年強化を進めてきていた。昨年は早稲田大学との死闘で、無念の基準で決勝ラウンド進出を拒まれ、今年こその意気込みも強く臨んでいた。アスリート性の高い選手も備えて、ゴーリーにも運動能力の高い選手(49番)がいて、意気の高い試合前だった。一方の明治学院大学は1部へ復帰してからは勝利が遠く、昨年は今年の為にも敢えて育成の年としていたようだが今年もシーズン前から結果を残せていない形で迎えた試合。しかもフライ要員はゴーリーを除くと4人しかいない状況。ただ、試合前のアップを見ていると選手全員のアジリィティは高そうで、パスキャッチの基本能力が法政よりもしっかりしていたように見えた。しかし予想ではやはり法政大学有利の雰囲気だった。そして始まった試合。

<1Q>

ボールへの寄りは法政が1っ歩速いように見えたが、明治学院は球際の強さで上回り、ターンオーバーからファーストショットは明治学院が撃った。明治学院DFもゴーリーもきっちり仕事を果たし、ターンオーバーから攻撃陣が速攻で答えて、11番がゴーリーの逆サイドを撃ち抜いた。そして明治学院75番がフリーショットを決めて、0対2とする。これに対して組織で守られた法政は73番のパワードライブで応酬し点を返す。しかし、明治学院ディフェンスからの速攻が又もや決まり最後の法政のパワーオフェンスを凌ぎ、1Q 1対3 明治学院のリードで終了した。

<2Q>

法政は1Qから、戦い方を絞り個の強さを出す1オン1で明治学院の守備を壊す狙い。先ずは51番がフリーショットを決め、さらに1オン1仕掛けドッジでDFを交わす。ゴール前の混戦からアタックがスクープショットとペースを握ろうとする。その間明治学院は速攻で対抗。そして忠実なフォロープレーで粘り強く攻撃を繋ぎ2点を奪う。結果 2Q 3対2 合計 4対5 で終了した。

<3Q>

ここまで対照的な試合の進め方、交代要員の少ない明治学院も、気温の上がらない天気に助けられ、意気軒高のまま迎えた3Q。ここまで互角だったドローを法政が連取、一気に法政ペースに持っていく。51中心に圧巻の開始3分間一気に3点を取り7対5と逆転。このまま一気に法政が突き放すかと思われたが、今年の明治学院は粘り強かった。タイムアウト明け、明治学院43番の裏からのまくりで挽回を開始。19番の上手いフックショットでゴーリーの頭上を抜くと、再び43番がフリーショットを確実に決めて、その間の法政の得点を1点に留めたが、法政68番が残り2分を切ったところでダイナミックに決め 3Q 5対3 の点の取り合い。 9対8で終了した。

<4Q>

4Qに入っても、お互いの攻め合いは変わらず、ゴーリー、ディフェンスも厳しくチェックに行った。そして結果的に法政がイエローカードを受けて、マンアップの中明治学院11番確実にフリーショットを決めて9対9とする。まだ続くマンアップ明治学院今度は19番―65番キレイに繋がりフリーで決めるも、イーブンになった法政もパワープレイで決め返し10対10となったのが残り8分。ここからは法政が徹底的にパワープレーを仕掛ける。凌げるか明治学院、、、、、

しかし、明治学院ディフェンスこらえきれず、反則。法政68番フリーショットを決めリードしたのが残り3分。しかし、明治学院もあきらめない、粘って攻撃を繋ぐと11番が仕掛けフリーショットを得てきっちり決める。3点目は11対11に追いつくショットだった。その後もお互いの攻防入れ替わる激しい試合も最後、法政のショットが外れたところで終了した。

久々に、点を取り合うラクロスらしい試合は明治学院大学を覚醒させるであろうだけではなく、法政大学もこの引き分けで奮起を促す試合になった。

【1部 東海大学vs成蹊大学】 8対3

昨年、有利と言われた成蹊大学を攻めの姿勢で勝ち切った東海大学が、この試合でも11番エースを中心により攻撃的に試合を進めて8対3で2年連続で勝ち切った。しかし、成蹊大学は試合開始前のアクシデントによる動揺をリカバリーするにはチームは若かった面が出たが、十分にポテンシャルを見せた試合とも言えた。

【1部 日本体育大学vs慶應義塾大学】 4対8

お盆とは言え平日(8月15日)と重なった開幕戦。大きなけが人もなく迎えた慶應義塾に対して、教育実習等でメンバーの一部が欠ける日本体育。シーズン後半ではなく開幕戦で対戦した妙が出たと言える。詳しく見てみよう。

<1Q>

88番がドローをコントロールする慶應義塾が最初からリズムをつかみ、先ずは怪我から完全復活の33番が33番らしくしなやかにDFを交わしてフリーショットを決めると、世界選手権帰りのゴーリー52番もナイスセーブを見せる展開で始まった。しかし、日本体育も12番が慶應のDF3枚を振り切る強さを見せ同点に追いつく。最後に慶應義塾88番のパスカットからの独走、フリー71番へのパスが少し乱れて体勢が崩れショットは下へ。セーブされ1Qを終了した。  1Q 1対1 慶應義塾の立ち上がりの決め切れないパターンが顔をのぞかせた15分だった。
<2Q>

慶應義塾がペースをつかむまでに点を取りたかった日本体育だったが、逆に守備的に進めてそのペースに巻き込みを図る。慶應義塾からすればジリジリする時間を打ち破ったのが新人の3番だった。高校時代からそのインサイドの強さに定評があったが、この膠着した時間に、自ら裏からのまくりを決めて局面を打開すると、17番も続き3対1と突き放すことに成功した。 2Q 2対0 合計 3対1
<3Q>
それでも、ロースコアから4Qへ繋げる動きを見せる日本体育を崩し切るまでには至らなかった慶應義塾。なんとか15分を2対1とリードし3Q終了 5対2
<4Q>

この15分に掛けて来た日本体育。序盤日本体育らしい77番のインサイドブレイクで5対3と追い上げるも、慶應義塾33番のしなやかさを生かしたブレイクで6対3と突き放さなされる。しかし日本体育、今度は77番が起点となり66番へ繋ぎセンターから決める。残り5分で激しい攻防が続いた。今季の慶應義塾はここからしっかりと攻め切る強さを秘めていた。ここまで不発の74番のフリーショットに、88番フリーショットを繋ぎ33番がハットトリックとなるショットでダメを押した。  4Q 3対2 トータル 8対4 で昨年の関東決勝の雪辱を果たした。

対戦相手の守備的な戦術にも、攻撃の引き出しの多さで対応し、48分の試合時間ながら8点を取った慶應義塾はまだ余裕を感じさせるチームだった。とりわけ、序盤の膠着状態を変えるショットを決め大学生デビューを2得点で飾った3番秋山選手(日本大学高校出身)には注目をしていきたい。
一方の日本体育もメンバーが不ぞろいの中、明確な戦術で最後の5分まで互角の戦いに持ち込んだのは流石だったと言える。シーズンが進むにつれその力は高まることは容易に予測される。このタイミングで戦われた両校の試合の結果、これこそ3年ぶりに行われた開幕戦の妙だった。

この試合以降重ねられた女子の試合。(1部リーグだけだが)

【明治大学vs学習院大学】 8対4

今年進化が著しいと見ていた学習院が、昨年Final4の明治と戦う今季を占う戦いは、3Qまでもつれるも最後は明治が勝ち切った。この後学習院の苦悩が続く事になる。

【日本女子体育vs立教大学】 13対1

立教が圧倒した。この試合では攻撃の強さは事前情報通りだったが、積極的なディフェンスの強さも現れた試合だった。

【東京農業大学vs東海大学】 15対10

今期の注目チームに2つのチームを挙げたいのだが、その一つが東京農業大学だ。中高で経験したスキルの高い選手に大学からラクロスを始めた運動能力の高い選手が融合し、各段に得点力が向上した東京農大が、東海大学のエース一人に7点を奪われるも15対10 で破り歴史を作った以降もその快進撃は続く。(詳細は別の稿で紹介しよう)。そして私が掲げた、10点取って負けたチームは少ないという理論は開幕して7試合目で早くも崩れてしまうことになった。しかしこれは嬉しい誤算である、これこそがラクロス。点を取り合う事がラクロスという見る側にとって嬉しいプレゼントとなった。

【明治学院大学vs成蹊大学】 4対8

今季、最初の試合前に突然、主将でエースを骨折で欠くことになった成蹊大学だが、この試合でポテンシャルのある次世代の選手が開花し、ショットを繰り出し決める形に進化をし始めた。その勢いが技術のある明治学院を上回り嫌な流れを断ち切った試合となった。

【日本体育大学vs法政大学】 10対4

まだ、全ての主戦がそろった形ではなかった日体大だが、特に攻撃の場面で個の仕掛けから得られる機会を有効に得点に結びつけ法政の追随を許さなかった。日体大の慶應義塾戦からの進化が確認できた試合だった。

【中央大学vs明治大学】 5対5

2019年以来の1部復帰となった中央大学。2019年は1部で戦える力を持ちながら、その年にはFinal4に迫る実力のあった早稲田大学との初戦において2対10で完敗すると、勝てる試合においても引き分けとして最後の上位との戦いで打ち砕かれ、そのまま入れ替え戦でも力を封じられた苦い過去を、初戦の強豪相手との戦いで払拭できるかが鍵だったが、結果として最後の最後まで粘り切って引き分けと成した。中央大学として得たものが多く、この後の進撃に繋がる試合となった。この中央大学が、東京農業大学と並ぶ今期の注目校となった。

【早稲田大学vs学習院大学】 10対9

今年進化が著しいと見ていた学習院。初戦明治戦で4Qで突き放されたのだが、早稲田との戦いでは最後まで点を取り合う、今季目指したラクロスを展開したが、最後1点差に泣き、その後の1点差の連鎖に絡まれてしまう。一方早稲田は攻撃力に於いて進化を見せたが、守備に関しては1on1に抗しきれずにポイントがずれる面も顔を見せたようだ。これからの上位との戦いに修正面も見えた試合となった。

【青山学院大学vs日本女子体育大学】 11対5

コロナの影響で開幕の延びた青山学院大学(初戦の立教大学戦は不戦敗にはなっていなようだが最終結論は不明)だが、豊富な運動量と組織で日本女子体育大学の攻撃も封じて、確実に勝ち切った試合だった。

【東海大学vs慶應義塾大学】 2対12

今季の東海大学は、攻撃に見るべきものを示してきたが、今季の慶應義塾に対しては抗う事も叶わず終盤に2点を奪うのがせめても抵抗だった。

【東京農業大学vs明治学院大学】 15対4

初戦の東海大学戦で示した、東京農業大学の攻撃力はここでも示され、法政大学戦で11点を奪った明治学院大学の攻撃も、新人で10番の清水選手(東京成徳大高校出身)の広範囲に渡るカバーも功を奏し4点に抑え込む快勝だった。二戦連続の15得点は、今後の台風の目となりそうな予感を漂わせるものだった。

【学習院大学vs中央大学】 6対7

ここでも果敢な攻撃の応酬が見られたのだが、初戦強豪の明治に引き分けて意気の上がる中央に対して、勝ち切れないジレンマを抱えた学習院大学の差が出たとしか言いようがない結果としか言えないのだが、少し掘り下げるなら終盤まで競り合わず、序盤で差を広げる事ができるだけの攻撃力を持ちながらも上手く出し切れなかった付けを負う形になったのが学習院大学だったとも言える。中央大学は1部で初めての勝利を挙げその後の試合にさらに弾みをつける形となった。

【中央大学vs日本女子体育大学】 15対4

勢いに乗る中央大学が日本女子体育大学を一蹴。そのミスもなく繋がるラクロスは一皮むけたものとなった感があった。次戦の立教大学戦に其の真価が問われる事となった。

【法政大学vs東京農業大学】 6対13

今季、初戦の明治学院大学戦で11得点をするものの11失点で引き分けてから、守備の修正が課題となっていたが、この試合では攻撃力の優れた東京農業の攻めに抗しきれる程の修正は間に合わず3試合続けての10以上の失点となった。

【明治大学vs早稲田大学】 6対5

Aブロックの前半の山場となったこの試合について詳細に述べていこう。先ず先発メンバーはベストメンバーと言えるラインナップだった。

<1Q>

明治の5番のドローが効き7番に62番のポイントゲッターが効き、ゴーリーの上手いという印象も効果的で明治の動きに翻弄された早稲田。ドローも明治5番 4対0の完勝。2Qからの早稲田の立て直しに注目をする形になった。

<2Q>

早稲田がドローを頑張り、ゴーリーもセーブを連発し追い上げモードに入るも、最後マンアップでパスミスから相手に速攻を許して点を奪われた。試合中も語ったが、最後にはこれが致命傷になった。 1対2 合計 4対2 明治リード

<3Q>

明治のディフェンスが効果的で、早稲田はクリアが思うようにいかず、逆に明治はポゼッションから8番が仕事をして2点目をあげ、合計 5対2 とリードを広げた。

<4Q>

早稲田が、この力でクリアを進め、5番を軸に反撃をするも、明治にリードを許すと、マネージメントの上手い明治は決定的な破綻も見せず、最後早稲田5番のドロースクープダイブに抑え込み 6対5 最後は脚が吊る選手も出す死闘は明治が勝ち切った。 6対5

互角の実力の中、ミスなしに勝ち切る力を継承している者と、上昇していこうとする途中でミスからの試練を味わった者。どちらもこれを糧にするならまだ、上を目指す資格は十分にあると感じた試合だった。

【慶應義塾大学vs明治学院大学】 16対2

攻撃、守備のバランスが高い次元でとれている慶應義塾に隙は無かった。

【日本体育大学vs成蹊大学】 11対4

開幕戦こそメンバーのそろわなかった、日体大もようやくその力に結集力が加わり上昇性を見せてきている試合となった。

【学習院大学vs青山学院大学】 5対6

2戦続けて1点差に泣いた学習院大学は、持ち前の攻撃力が青山学院の厳しいチェックに力を出し切れず、突き放すことができないまま第4Qで逆転される形となった。最後に1点を取り切るプレーの確立という課題が浮き彫りになった試合だった。

【立教大学vs中央大学】 9対4

中央大学の真価(進化)が問われる試合となったこのゲーム。中央大学にとって結果としては負けてしまったが、後半には対等に戦えた事は進化の証とも言える。しかし、立教大学は勝ち切ることに意味を持たせるスタイルであり、前半の6対1を作った時点でこの試合を確定づけたのであり、中央大学の進化も立教大学を慌てさせるところまでには至らなかったとも言える。確かにファイナリストの常連に対する畏怖のようなものはあったと思うが、明治大学と引き分けられた事と対比して、この前半が精神的な物だったのか、技術面でのビハインドはなかったのか分析されることが、今期の可能性だけではなく、来期の進化へと繋がることとなるはずだ。

【日本体育大学vs東京農業大学】 12対2

Aブロックの中央大学同様、Bブロックの台風の目となっていた東京農業大学が日本体育大学とどのように戦うか注目された一戦。東京農大は立ち上がり5番前田選手(2年生)の果敢なブレイクで脅かすも(1点はインザクリースで無効)1Q7分日体大4番が確実に決め切り、以降も均衡しながらも要所で決め切る日体大に対して、徐々にショットを打つ機会を奪われた東京農大。1Qを2対0で終えるも、以降ルーズボール(グラボ)へのアクションで上回る日体大が、ボールをコントロール、この日際立つ動きを見せる4番下野選手のハットトリックとなる2点が決まり4対0で前半を終了すると、3Q 4点、4Q 4点も追加し、東京農大の反撃を4Qのフリーシュート2点に抑える完勝となった。
ここまで、大量得点を取ってきた東京農大も、さらに上手のディフェンスを(特に中盤での)ブレイクできずにショットの機会を与えられなかった形ではその攻撃力を発揮できなかった。ディフェンスの進化とともに、次のステップへ向かう課題を突き付けられた形となった。

一方の日体大は、教育実習等の障壁がなくなり主力がそろった形で、強い日体大が戻りつつある事を示した一戦となった。特に4番&12番の存在感は昨年の3番&10番とタイプこそ違え日体大の新たな核となる物になってきたと言える。

【明治大学vs青山学院大学】 9対0

共に、前の試合で激闘を勝ち抜いたのだが、そこで得た代償には大きな差があったようだ。当面のライバルと目された早稲田大学に勝ち切りファイナル4に対してモチベーションの高まった明治大学に対して、学習院との死闘で累積イエローによる出場停止と、ケガによる欠場という主力二枚の脱落は大きく結果的には引き分けのある明治大学にとっては大きな9対0という勝利の形で終わった。この試合で明治大学は日本代表に選ばれた62番藤村選手以外にも5番7番8番65番の選手たちも躍動し勝利できたのはもう一つの収穫だったと思われる。

【法政大学vs慶應義塾大学】 5対16

今期アスリート性は十分なタイプに見えた法政大学は、守備の組織が整わずここまで苦しい戦いが続いていたが、Topを走る慶應義塾の多彩な攻撃力には追従できず厳しい結果となった。一方の慶應義塾大学はこの試合で、71番平井選手、74番秋山(雅)選手の再進化が見て取れたのは今後の厳しい戦いを戦い抜く上では、チームとしての再進化のきっかけとなった試合かもしれない。

【日本女子体育大学vs学習院大学】 5対8

この試合は、2部への自動降格に大きく動く試合。別の意味で激しい試合となったが、3試合連続で1点差に泣いた学習院が、終始先手を奪い勝ち切り今季初勝利を掴んだ。日本女子体育は中盤での守備が1部と2部で大きく異なる事に最後までフィットしきれなかった。

【慶應義塾大学vs成蹊大学】 20対2

前回の法政戦で1段ギアが上がった慶應義塾に対して、3年生以下の自立が進む成蹊。成蹊には、ケガから復活した主将2番も戻り巻き返しの体勢が整ってきて臨んだ慶應義塾戦ではあったが、明確な攻撃プランを確実に物にする、タレントがそろった慶應義塾に対し抗しきれなかった。さらにディフェンスにおいても、中盤、バイタルエリア、隙の無い慶應義塾をブレイクする個の力がありながら攻めきれなかった面も見えた(例えばゾーンディフェンスに抗する理論の共有等)。更に慶應義塾の強さが際立った試合となった。

慶應義塾 得点者は 71番 平井選手、74番 秋山(雅)選手各4点、秋山(美 1年選手)3点、88番 川久保選手 2点 他7人のゴールゲッターが出ている。

【明治学院大学vs日本体育大学】 3対9

ファイナル4に向けて進化を見せて来た日本体育に対して、勝ち星の欲しい明治学院は最初から果敢に仕掛け11番65番のポイント作りはできたがショットが外れてしまったり、ゴーリーの止めやすい下へと、上手かったショットが決まらず、1Q 10分前後からは日体大が厚く支配し、今回は、4番、12番の仕掛けから他の選手の動き出しに対応得点を重ねるようになっていった。

1Q   2Q   3Q   4Q
明治学院大学      0    0    1    2

日本体育大学      2    4    1    2
日体大は、慶應大学と違い、どちらかと言えば立教大学と似たタイプと言える。

【東海大学vs法政大学】 14対13

今期の東海大学の試合は、見ている人間がハラハラする「これぞ ラクロス」の試合が多いのだが、実際にはディフェンスに弱みを持つことと、攻撃にタレントを有することが攻撃偏重のラクロスに向かわざるを得なかった東海大学側の事情も見て取れる。この試合も28番冨森選手(SIXIES日本代表 コートネーム:タラ)選手の8得点が際立つ結果となっている。
因みに この試合は 前半 10対4 後半 4対9 という手のひら返しの試合だった。

【日本女子体育大学vs明治大学】 1対13

早稲田大学に勝って以降盤石の試合を見せる明治大学に対して、最後に意地を見せたかった日本女子体育大学も、立教大学戦に照準を定めて厳しいチェックを仕掛ける明治大学には抗う術が見つからなかった。

8月7日の専修大学vs一橋大学戦から始まった関東学生リーグ女子の模様を1部ベースでたどってきたが、

こぶ平’s view

  • 女子の1部はAブロックに於いて、混戦が予想されたが立教大学が2019/20で見せた負けないラクロスに得点力を加えて危なげなく勝ち星を挙げて来たが、明治大学が持ち前の進化力で、厳しい競り合いを勝ち抜きFinal4へ一番近い位置につけたのは、流石の育成力だと感じている。抜群の力を見せていた4年生が抜けてから、高い危機感で臨んできた結果だと漏れ聞こえてきたのだが。
    しかし、今年新たな面を見せている早稲田大学、中央大学の戦いぶりによりファイナル4の形は変わりえる。4勝1敗1引き分けで3チームが並ぶ場合まで可能性が及ぶ。これからの、明治、立教、早稲田、中央の直接対決には注目が必要だ。
  • 女子の1部Bブロックに於いては、慶應義塾大学の強さが目立つ形だったが。ここにきて戦力が整った日本体育大学にも昨年同様の2枚エースが稼働状態に入りファイナル4に向けて進化を続けている。しかし、今期の注目株東京農業大学がディフェンスの頑張しだいでファイナル4候補に浮上する。次回の慶應義塾大学との直接対決に注目が集まる。そして可能性はなくなったが高い攻撃力を誇る東海大学と日本体育大学との直接対決も必見だ。

★★今期の注目チーム

Aブロックの中央大学とBブロックの東京農業大学の躍進には多少の驚きも加わって、大いに注目する形になった。

●中央大学は、2度目となる1部昇格に対して、前回の反省も踏まえられたのだろう。準備万端で臨んだ戦いの初戦明治大学戦。3度の優勝を誇りファイナル4の常連、臆することなく挑んで引き分けに持ち込むと、攻守のバランスが取れたラクロスらしいラクロスで連勝する。
2018年昇格を決めるまで、1部に挑戦する事3度。そして昇格した2019年力を信じ、又自信を持って臨んだ1部の戦いの場は想定上に厳しい場だった。初戦の早稲田大学戦に2対10と洗礼を受けると、勝てる可能性も高かった、青山学院大学、東京農業大学と連続して引き分け。その後は優勝した立教の高い壁に跳ね返され、日本体育には善戦するも敗戦となった。しかし、順位的には東京農業大学より上だったが、崩れたプランのまま入れ替え戦で2部ブロック2位の明治学院大学に敗れ、1部校唯一の降格となった。

その時の教訓が生かされたと感じたのは、初戦の明治戦。1Qで0対3と離されるも、後半プレッシャーを掛け攻める姿勢を強めると4Q最後にしびれるようなフリーショットを決めたその姿は2018年にリードを広げられて下を向いた姿とは確実に違っていた。すると、後は挑戦者の勢いそのまま攻撃的なラクロスで進撃を続けている。今、ブロック最強との前評判が高かった立教には前半の差を覆すには至らなかったが、後半は同点で進られた。残り2試合を勝ち続けると、得失点差のハンディキャップはある物の、1部昇格即ファイナル4の歴史を作れるかもしれない。

●東京農業大学は、2014年に2部昇格2015年学習院大学を破って即1部昇格。2016年からは1部の座を守り続けるも、常に残留戦を戦うが決して降格しない、派手さはないが、粘り強く、精神的に逞しいというチームだった。昇格の年に日本体育大学を破ったり2018年には立教大学と引き分けるなど、時に話題となることは有ったがシーズンが終わるころには残留戦の心配をしなければならないチームだった。特出した選手が引っ張るこの力に頼るチームという印象だったが、今期は優れた技術の選手も多いが。そこに連携と連動がもたらされ、それは特に得点を生み出す形として表れている。今期初戦の東海大学戦でその爆発的な攻撃力が発現すると、15、15,13と3試合連続の大量得点を演出したのには驚かされた。4戦目の日本体育大学戦ではより高いレベルのディフェンスに遭遇し、快進撃は止まるも今後に生かせれば、初のファイナル4に進出する可能性を残しているのは先の中央大学と同じだ。

そして、偶然事とは言え、今年の中央大学、東京農業大学の進撃を支えるコーチに、早稲田大学男子ラクロスの方が入られているという事実は面白い。女子チームにおける男子ラクロスの経験の注入という新たな視点でラクロスを見てみたいと考えている。

今回、久々のコラム故、長々と書き連ねてきたが、最後に…

今期1部に昇格した日本女子体育大学は、エースの抜けた穴が大きく初戦の健闘もむなしく、9月19日明治大学に敗戦し二部への自動降格が決定した。
女子の2部も佳境で、Aブロックでは一橋大学が入れ替え戦進出を決めている。残りは日本大学と専修大学の争いとなる。
2部Aブロックは横浜国立大学、東京学芸大学の1部経験者に東京大学が絡む構図でまだ決まらない。

男子については次のコラムで。

全国についてはその次に。いや、その前にTeensの事を書く予定。

ラクロスって面白い。今年は特に。

こぶ平

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