慶應義塾大学男女ラクロス優勝2022年

【こぶ平レポート】関東学生ラクロスリーグ決勝戦〜晴天なれども波高し〜|全国大会への道・特別編

第13回全日本大学選手権は新しい勝ち上がり形式で実施される大会となる。それは前回優勝地区の関東地区2位チームがワイルドカードで出場し全7地区から代表が集まる形式となった形だ。そして既に地区代表が決定していた北海道地区代表と東海地区代表が戦う1回戦の試合も11月6日に実施された。一方で、全国で全日本選手権大会への進出が決まる中、関西地区の代表決定戦と関東地区の優勝決定戦が行われたのでその模様をお伝えしてきた。このシリーズ最後は全国大会出場が既に決まった関東地区の決勝戦について書いておこう。実際の試合を観戦できなかったので試合の総括と記録になるがご容赦願いたい。

皆さんのお目にかかる時には全国大会の1回戦が終わっているかもしれないがご容赦願いたい。

関東地区女子編

5年ぶり全国制覇を目指す慶應義塾大学と2019年以来の全国制覇を目指す立教大学の戦い

関東地区の女子ラクロスの勢力図は、2009年の大会以来優勝している東海大学、日本体育大学、立教大学、慶應義塾大学、明治大学の5校だけであり、複数回優勝をしているのは日本体育大学、立教大学、慶應義塾大学、明治大学である。2019年以来(特別大会を含む)5年連続、慶應義塾、立教、明治、日本体育のファイナル4体制が続くいわゆる四国志時代となっている。しかし決勝戦で慶應義塾と立教が相まみえるのは2013年以来の事でその時はリーグ戦で敗北した慶應義塾が決勝で3対13と雪辱を果たし前年クラブチームを破って初の日本一に輝いた面目を守った年であった。

試合前の状況を説明しておこう。

チーム紹介

☆慶應義塾大学

現在の選手にとっては悲願の全国大会への出場という呪縛があった準決勝明治大学戦を勝ち抜き本当の意味で今年目指してきた「点を取れる強いチーム」の力を全開放できる環境が整った事で、試合をしたくてたまらない状況にあった。

☆立教大学

エース1番ジョーンズ萌仁香選手を準決勝時の脚の怪我で欠き、リーグ戦を勝ち抜いて来た体制を作り直さなければならなかった。と言ってもシーズン中から厚い選手層を利して適材適所での選手の能力を測って来た立教大学にとって穴埋めも可能と捉える向きもあった。実際には他者に置き換えがたいエースの脱落には多くのチャレンジが必要となるため全国大会への出場が決まった時点で、決勝の場とは言え新しいモデルの最終テストの場と位置付ける向きもあった。

ゲームレポート

<プロローグ>(以下 慶應義塾、立教と略する)

元々チームとしての性格が異なる両チーム。即ち、強いドローをベースに多彩な攻撃能力を持つ6人以上のアタックが動いて、ボールを動かして数的優位を作り仕留めるアタック主体で相手には攻撃の機会を渡さない慶應義塾に対して、絶対的に高い選手の能力はあるが、守備においてオールコートのハイプレスでボールを刈り取り相手に攻撃の機会を与えない立教。自らは時間を掛けても確実に仕留めるのが立教ラクロスであり、慶應義塾の攻撃主体のゲームプランに立教大学が新構成でどのように対応するのかというのが見どころとなった試合だった。そして試合が始まる。

★試合総括  立教大学(Aブロック1位) 5 対 14 慶應義塾大学(Bブロック1位)

開始のドローを制した慶應義塾は、ワイドな展開で立教守備陣に対して数的優位を作ると33番山本選手から71番へのホットラインでフリーを作りリーグ戦後半から好調を維持する71番平井選手がきっちり決めたのが開始1分。早くもこの時点でこの試合の慶應義塾の優位が決まったと見ている。スターターでいつもより多くDFを配した形で臨んだ立教の目論見がこの時点でうまく崩された。もしくは新しい布陣で臨んで整わなかったといった方が良いのかもしれない。以降4Qまでの間立教のハイプレスは徹底されず、スターターで起用された21番大池選手が一人プレス入るような形で推移していく。その間立教は新しいセンターの起用や、MFの投入で色々な形を試し4Qに入ってハイプレスを試して4Qを2対2の同点に持ち込んだ事は一つの成果だと評価できる。更に付け加えるなら、今季初投入された戦力3人で3点を奪えたこと。2Qで試した新しいドロワーが互角に働いた事も成果と言える。結果的には立教のエースが欠けた後の戦術、シフトの確認と新戦力の確認をせざるを得なかった結果、試合は慶應義塾の大勝に終わった。

勝った慶應義塾について言及すべき点は3つ。

驚異的な枠内ショット率
リーグ戦ではあまり見せなかった、オールコートのプレス守備でほぼ立教の有効な動きを止めた事
有効な動きで守備に対して数的優位を作って決め切る力が確立された事

ただ、懸念があるとすれば準決勝で見せた負けられない戦いでの緊張の中で上記3つの長所を発揮できるかだけであろう。さらに付け加えるなら、全国大会で戦う相手が関東のどのチームとも違う戦い方をしてくるだけにそれに対して持ち前の守備力が発揮できるかもポイントになる。勝ち進むなら戦うことになる南山大学や関西学院大学がそのタイプだ。

一方の立教大学については、この戦いで判明した新しい形での戦い方を熟成させるには時間が足りるのかが一番懸念される材料だ。11月12日に迫った福岡大学戦も、強い1on1を駆使してくる相手だけにリーグ戦で見せた確実な守備をもう1度整えられるか?そこからの攻撃が起点となっているだけに勝ち抜くためには守備の強度の共有がポイントとなるのだろう。

こぶ平’s View

スタッツから見えた事は2つ(比較の為に関西の決勝のスタッツも入れた)。
関東決勝↓

関西決勝↓

慶應義塾の枠内ショット率80%は驚異的数字だ。ただ今回は準決勝ほど厳しい守備に合わなかった事もあるがそれでも、慶應義塾のショットには注目すべきであろう。しかし関西地区決勝で見せた関西学院のシュート力は別の意味で注目すべき点がある。ミドルショットを決め切るパワーがあることだ。結果的にはフリーショットの決定率で決まることも考えられる。その際にはゴーリーのセーブ力が鍵となる。
立教大学も枠内ショット率については60%と良い数値にある。これについては守備力の相対的なものが関わるので、良いと言い切れるものではない。むしろ守備に関して、オールコートのハイプレスにしてもゴール前の守備にしても再度集中力を高める必要がある。

最後に注目すべきは決勝戦でも5点を取った慶應義塾大学71番平井選手の動きだろう。慶應義塾大学の強みは71番がマークされても他に上回る動きをできる選手がいる事でありその連携こそ生命線である。その中で平井選手がポイントゲッターでもあり、ポイントメーカーにもなる選手であることを、全日本大学選手権で改めて確認できるはずだ。

全日本大学選手権

1回戦は11月12日(土)に開催される。

1位の慶應義塾大学は愛媛県総合運動公園球技場で 中四国代表の 岡山大学 と
2位の立教大学は佐賀県SAGAサンライズパークボールフィールドで 九州代表の 福岡大学 と対戦する。

Live配信は お馴染み rtv lacrosselive で視聴できる。

ただ、お近くの方は是非生で 関東地区のラクロスを見て欲しい。

関東地区男子編

2年連続真の日本一を目指す慶應義塾大学と初の全国制覇を目指す明治大学の戦い

関東地区の男子ラクロスの勢力図は、2009年の大会以来優勝している一橋大学、早稲田大学、慶應義塾大学、日本体育大学の4校だけであり、複数回優勝をしているのは慶應義塾大学、早稲田大学だけである。しかし3連続ファイナル4に残り今年初の優勝を目指す明治大学を始め中央大学、武蔵大学、獨協大学等を含め戦国時代となっている。そんな中王者の面目を保った慶應義塾大学がやはり関東の王者に君臨するのか注目された。

試合前の状況を説明しておこう。

チーム情報

☆明治大学

現在の選手にとっては悲願の全国大会への出場という呪縛を、強い守備力で振り払った明治大学はその力ベースに、昨年ファイナル4で屈した慶應義塾大学に挑む気持ちは強いものがあると想像できた。

☆慶應義塾大学

昨年の「真の日本一」という重荷すら、力に変えて厳しいブロック戦を勝ち抜いた力は、まだ進化の途中にあると思わせる。刷新した守備も連携が取れ

強豪相手の揃うブロックで失点を4点台に抑え込んだ。ビッグシューターも揃えて盤石の体制と見えた。

ゲームレポート

<プロローグ>(以下 明治、慶應義塾と略する)

対早稲田戦を基準として考えた時、先制してリードした慶應義塾と、最後に追いつき追い越した明治という違いはあるものの、守備力的には互角だという見方をしていた。さらに明治には1番伊藤選手というゴーリーがいる。しかし慶應義塾には7番小川選手という強いシューターを始め強力な攻撃陣がいる。先ずは明治の盾が、慶應義塾の矛に対して良く通用するのか?そしてフェイスオフの行方。恐らく少ないだろう攻撃を明治がいかに得点に結びつけるのか注目される試合だった。そして試合が始まる。

★試合総括 明治大学(Aブロック1位) 2 対 8 慶應義塾大学(Bブロック1位)

開始のフェイスオフを制した慶應義塾だがパスミスから明治の反撃。ポゼッションから戦列に加わった明治88番不破選手がドライブを決める明治の集中力が実った立ち上がりだった、そのまま高い集中力で1Q 2対1とリードするも、2Qになって急に集中力が途切れたのかミスを連発した明治は慶應義塾の攻撃を許し2対4と逆転を許すと、3Q以降も慶應義塾のDFの連携を崩せずショットの機会も少なくなり、1点を返すのが一杯という形になった。

結果的には慶應義塾の成熟したラクロスの強さが際立つ試合となった。

こぶ平’s View

☆慶應義塾の勝因はどこにあったのか

2つの要因があると考えた

刷新した守備の強度はその連携力の高さで昨年以上に高まった事
多彩なシューターを揃え、高い攻撃力を持ちえた事。特に十分に明治も警戒していたであろう1番中名生(ナカナオ)選手の3得点はその象徴と言える。

スタッツにもある通り、慶應義塾の枠内ショット率は68%と高く、明治の高い能力のゴーリーがいなければ更に得点差が開いていたはずだ。

京都大学のスタッツを見ると枠内ショット率で明治を上回り、ゴーリーも明治と同レベルのポテンシャルがある。もし1回戦をお互いが勝ち抜けば準決勝は注目すべき戦いとなる。そして明治に関してはやはり2Qのミス連発で持ち前の集中力が発揮できなかった事に尽きる。枠内ショット率を高めミスをなくすることが全国大会での勝利のポイントとなる。

 

<トリビア> ※2022年11月13日14:00修正

この試合守備だけでなく、攻撃への参加も見せた慶應義塾大学のDF22番小川 健選手(2年生)と DF 21番 小川 豪選手は双子の兄弟でありいつも二人で帰宅後もDFの技術を磨いている。慶應義塾大学の次世代DFコンビに注目していきたい。特に22番小川 健選手はレギュラーポジションを占め全国大会での活躍も期待される。

★全日本大学選手権

1回戦は11月12日(土)に開催される。

1位の慶應義塾大学は愛媛県総合運動公園球技場で 中四国代表の 広島大学 と

2位の明治大学は佐賀県SAGAサンライズパークボールフィールドで 九州代表の 九州大学 と対戦する。

慶應義塾vs広島の試合では 是非U-21世界選手権日本代表FOの広島大学11番平田選手と慶應義塾大学33番石井選手のマッチアップに注目して欲しい。

明治vs九州の試合では、決勝で福岡を抑え込んだ九州のDFと明治のDFを両校がどう攻めるのかに注目して欲しい

ラクロス全日本大学選手権の模様はラクロス協会Web(https://www.lacrosse.gr.jp/news/35452/) においても紹介されている通り rtvによるLive Streamingが無料で視聴可能だ。しかし、近くの人は是非会場で試合を見て欲しい。試合の迫力緊張感そして選手の皆さんへの生の応援は何よりもパワーになる。

これが、皆様に読まれる頃には11/12の1回戦が終わっているかもしれません。(2022年11月11日20時 出稿)

次回は遅れている中高ラクロス編をお送りする。

やっぱりラクロスは最高!

こぶ平

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