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【こぶ平レポート】ラクロス日本代表テストマッチ観戦記

ピョンチャンパラリンピックでは厳しい競技環境にも関わらずメダルリストが出ていますね。同じようなマイナースポーツを愛する身としては、応援したくなります。
ラクロスも今年7月男子のワールドカップが、イスラエルで初めて行われる世界大会としてスポーツの歴史に刻まれます。

3月9日~12日そのワールドカップ(W杯)に臨む日本代表がオーストラリア代表候補の最終選考の相手と戦いました。
11日はテストマッチ的な意味合いの試合になったと思われます。
その中から日本代表の特徴のようなもの、課題めいた物を抽出したので、W杯に向けて日本代表を応援する際の参考になればと思っています。
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今回の交流戦の位置づけはこんな感じではなかったでしょうか?

先ずは、
現在のMen’s Lacrosse World Rankingです。
https://filacrosse.com/event-calendar/world-rankings/

2014年W杯の結果からは オーストラリア 4位 日本8位
至近では 2016年のU19W杯でも同じくオーストラリアは4位となっています。
日本は過去、W杯で1度だけプール戦でオーストラリアを破って4位になった事があります。2010年7月19日 対オーストラリア 11対9
その時 4点を取った 継選手に1得点の関根選手 DFで頑張った水田選手、畠山選手、アタック陣池川選手、本下選手が今も代表に君臨しサポートコーチ
として、2得点の長谷川選手が入っておられます。そして面白い事に、2010年2014年と代表のヘッドコーチは現在の慶應義塾大学女子ラクロス部のHCの大久保さんです。

現実には、2014年のW杯には同様のスタッフと、経験者中心で作られたチームで臨んだが、USA,カナダ、イラコイ、オーストラリア、イングランド とのPool戦

イングランドとの延長戦を制したのみのグループ5位で、順位決定シリーズ戦のスコットランド戦を延長戦で落とすと、最後のイスラエル戦で力尽きたというのが振り返り。いづれも紙一重を勝つか負けるかで4位から8位のポジションになる。
というのがこれまでの戦いでした。

恐らく、そこから常態的にオーストラリアと戦えて、Top4を確実に維持できるチームを目指すのが日本なのでしょう。

前回、W杯の前のオーストラリア代表候補との3月の交流戦は2対9、4対16とチーム状態は良くなかった。そこからの結果は8位。今回はそういう前提からの
オーストラリアを叩いて、まずはスタートを切りたい状況ではなかったでしょうか?

オーストラリア代表候補の位置づけ
国内選手の最終選考を兼ねており、そこに複数のUSでのプレーヤーが加わるのがオーストラリア代表であり、今回のチームよりさらに何割かは強くなることが予想されていた。

【2018年3月開催国際親善強化結果】
7対8(OT) 得点 橋本、清家、関根、夏目、池川2、砂川 各選手
8対5
9対14 得点 本下3 継2  鈴木2  関根 畠山 各選手
5対11

(Photo by Akie Umeda)

実質は3日目の試合が、本気のマッチアップになったと思いますが、どうですか一見すると2010年のチーム?といった得点者の名前ですね。
これは、悪い事ではないとは思いますが、結果的に1度も10得点以上取れずに終わっているというのが、やはり日本の課題、現状のポイントだと思われます。
得点記録のある2試合だけの観戦でしたが、いくつかの顕著な差が見て取れました。
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①決定力
②インサイドへ入れない
③ゾーンディフェンスが簡単に破られる
というのが目についたポイントでした。

①決定力

(Photo by Akie Umeda)
文字通りの力という点と、ここで決めるというところで決めきるプレーができるか?という面で、差があるように見えました。
端的な例は、初日の6対7からのオーストラリアの攻撃です。残り5秒でタイムアウト。1点を取りに行くわけですが、リスタート2秒で決めきります。
その他の試合でもQ終了前のリスタートから、延長戦、延長サドゥンヴィクトリーの場面で確実に点が取れるオーストラリアに対して、日本は最終戦のサドゥンVを取ったのみで、点を取りたい所で点を取り切れる力は劣っている。
そして、ショットの力という点でも、日本の武器になると想定していた#14松下選手/FALCONSのショットも、決定力とはなってはいなかった。
Topグループの場合、強いショットへの対応力が高い事は想定されますが、それを凌駕するショット力はやはりまだ足りないように見えました。
ただ、3戦目にVPを取った#23鈴木選手はミドルからショットを決めきっていました。180cmで80kgオーバーにも見える体躯から繰り出すショットは十分に通用する事は証明されたので、まだまだ進化できると信じられる物でした。
例えば練習生に名を連ねる杉原選手/ADVANCE辺りのシュート力も中々な物がありそうなので、練習生の中からの突き上げとかが出てくるとさらに進化するのかもしれません。

②インサイドに入れない

(Photo by Akie Umeda)
第3戦では日本のインサイドでの攻撃が封じ込まれていました。1戦目を見ていると相変わらずの切れで、#7池川選手や#6清家選手がインサイドやクリースサイドを取って、得点するシーンがありましたが、第3戦オーストラリア代表のスイッチが入る?
とインサイドへのブレイクが生まれそうなポイントを全て封じられたような感じにも受け取れました。実際には#6#7を欠いていたという事もあるのですが、それ以外の戦力ででも、インサイドできっちり仕事ができるプレーができないと、外からのショットが決まりにくい現状から抜けられない事になります。

③ゾーンディフェンスが簡単に破られる?

(Photo by Akie Umeda)
ごめんなさい、これは素人目です。が観戦した2戦。特に第3戦時気になったのがオーストラリアのアタック6人がまったく同じテンポでパスを、同じ方向(主に反時計)に廻す事数回大体5回ぐらい、ぽっかりと右サイドに穴ができて、オーストラリアの選手がフリーでインサイドを占めて、パスキャッチから余裕で決めるシーンが3、4回見られました。観客的にはあっけにとられたシーンですが、もしこれが定性的にゾーンを破る(もしくは日本特有の)方法なのだとしたら、その対応は急務だと思います。
☆実際のシーンでは魔法にかかったように思えました。速くもない、テンポが一定のパスを3周ぐらい廻して、左サイドからパスが入るとAUS選手がフリーで立っている。

前回W杯前の強化試合に比べると力的には接近した物に見えました。実際#14松下選手がAUSの選手をぶっ飛ばしたシーンや、#20DFの金山選手のプレーはかなり抑え込むことに成功している。フェイスオフは対等か優位に運べていた等、見るべきものはありました。

ただ、ここで絶対点が欲しいところで、有効ショットが打てない。又AUSに比べて、フィニッシュパスの精度にかなり差があり、一瞬のキャッチのずれから攻撃の機会を失う事などの差が得点力不足に直結しているように見えました。又、DFが着いても、それを振り払ってショットが決められるシーンなどはやはり厳しい物もあるでしょう。
それを克服する術としては、速攻から裏を取って決めるシーンは日本の強みでしょう。でもそのパターンに入った時に100%良いパスで繋がる確率が高くないのも現状だと思います。
その精度が100%になる事が、日本の武器だと思えるのですが。

(今回の強化試合時に、奥の深いゲームプラン、試合ごとの課題設定があったとも思いますが基本的な部分でのビハインドがありそうだなと思いました)

日本としてはPool戦トップで、昇格チャレンジトーナメントで最大の敵になるであろうイスラエルとの戦いを避けては通れない。(Play In Gamesの組み合わせ次第ではイスラエルと昇格前の決戦を戦う羽目になります。)その為にも、今回得られた課題とともに、灼熱のイスラエルで連戦を戦い抜き、最後にピークを持ってこられるような強さを持っていただけるように強化されることを願うばかりです。

ウガンダ、ブルガリアとの1,2戦でいくら大勝しても意味があるとは思えません。予選からPlay in Gameで確実に勝つ姿を見せていただければと思っています。

何か、色々ネガティブな事も書きましたが、本当に日本ラクロスの力を示して下さい。心から応援しています。

皆様のご感想、ご意見をおまちしています。

こぶ平
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