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【女子ラクロスU19代表応援企画】2019年女子ラクロスU19日本代表チームってどんなチーム?

3月末に22名の選手(世界選手権ではベンチ入りは18人)に絞り込まれた女子ラクロスU19世界選手権の代表候補選手の強化練習レポートの第4弾を送ります。4月13日14日に行われたU19強化練習は、候補が22名になり対Top外国チームとの戦いを意識したディフェンスとオフェンスの練習を反復する段階に入ってきた。
そんな中、外国と戦うために今回のチームに求めている物、チームの基本的なコンセプトを庄子HCにお聞きした。

結論から言えば
「過去の結果から、U19世界選手権でメダルを取る為に考えられたチーム」
という事になる。


過去の世界選手権のReviewに関しては 2017年の世界選手権のレポートを確認すると面白い。(http://www.lacrosse.gr.jp/topics_detail20/id=3379

目標 : 日本ラクロス史上初のメダルを取りに行く

その為には、
予選で速攻から何点取れても、決勝トーナメントで勝てなければ目標には届かない。
決勝トーナメントで勝ちきれるチームにしなければならない。

1)ドローは厳しい戦いになる。
2)結果的にそこからの相手の速い攻撃に巻き込まれ、アドバンテージを取れない。
3)優位点は何か?Teen’s経験者のスキルは、フル代表におけるスキルと比べるとスキル差は少ないのではないか?
4)グラウンドボールは戦えるベースはできてきた。

そこから基本コンセプトができたのではないか?
1)ファストブレイクを許さない守りからの攻撃
2)スキルを有効に使う戦術
3)ファストブレイクを狙わず(ターンオーバーに対して速いリターンを要求される事で試合を壊される事は避けたい)ポゼッションからDFを引き付けスペースを衝く。

庄子HCとのお話から、そういう形に適合する、また可能性を持った選手が選ばれたと伺えた。

ファストブレイクを許さないDFといっても難しいのは相手が、強く速い事である。
そこで基本は1on1で簡単に負けない個の強さというのはベースになる。
そこがこのチームの根幹だ。

ただ、課題もある。
1)ドローの強度
2)クリアの強度
3)体の使い方

は現段階までの取り組みに見られるウィークポイントに見える。

それに対して、今までナチュラルにやって来た体の使い方に、しっかりと論理的な指導が入ている事はとても良い事だと思った練習だった。
又練習前のアップにおいても、1on1を意識した動きを取り入れているのも、今までのチームでは見られなかったものがあった。
前回の練習時に、試合形式の練習では2017年のA代表の世界選手権で用いられた中盤のアコーディオンスタイル*1を踏襲する動きを求める部分もあったが、10人制となり、その有効性を確認する段階のようだ。

日本チームの攻撃において最大の課題と言わfれるショットの決定率(世界大会のトップレベルとの戦いでは30%程度に留まる)の向上に関しては、まだ意識付けができているというところまでは来ていないし、意識せずにナチュラルにショットを打てる所にどういう風に持っていけるか、今後のコーチングも含めた進化に期待が集まるところである。

実際には、今回のアタック陣は、日本人相手ではナチュラルにショットを決めきれるレベルの選手が揃っているのも事実であるが、外国人との競り合いの中でゴールの上段隅に常に打ち込めるのか?

この辺りを、コーチにお聞きしたところ非常に明確なプランがあった。
「シュート決定率の低さは、日本の課題であることからスタートしている。」


☆ポイント
どうしても、日本人は腰が使えず、胸がゴーリーに向いており、手だけでシュートを打つ傾向にある。

アタック陣のGoodシューターはナチュラルさだけではなく、彼女らに関わったコーチ、ビデオの影響を受けている。

そこから、選手には「とにかくアメリカを中心とした外国人のビデオを見るよう指導している。」ということ。そして「11mサークル外で打つことも重視している」
結果的に
「毎日シュート練習している選手も多くなってきた。」

付け加えるなら、
「手だけではなく、スイングで打つシュートはゴーリーにもやらせている。」

そして、技術的な差が大きくはないクロスワークについては
月4回12時間の練習では、クロスワークの練習はしてない。しかし、日頃の練習で強制的にやらせている。
具体的には  「クロスを長く使うこと」*2

パスについてもシュート同様「てこの原理でボールを投げないこと」

結果的に、代表練習における6on6のゴール前練習でも速いタイミングで外から強いショットを決めるシーンも目につくようになっている。

パスに関しても受け取り手の手前で「(下に)垂れる」パスも減ってきているように見えた。ただ、ピンポイントのコントロール、ロングパスの距離・コントロールについてはまだ「伸びしろ」に期待をしたい状況だ。

ただ、ゴーリーからのクリアボールが、速く長く正確なパスに変わって来ている事は印象的だった。

今回は、男子とのハードな練習はなく、リーダーシップトレーニングや、ドーピングについての講座が設けられるなど、チーム間のストレスをなくすような試みが設けられていたのは特徴的だった。

今後は実戦形式練習も増えてくるので、課題となっている「ゴール前までよくボールを運べるのか?」 に対する回答も見られそうだ。

このクリア力(りょく)を磨くプロセスは、新チーム作りを模索している各学校にとってもモデルとなるはずだ。これからも代表練習を見る事をお勧めする。

U19世界選手権開催まで100日を切った。

代表の進化は、皆さんの応援によって加速されます。是非応援メッセージを送って下さい。

こぶ平

*1 アコーディオンシステム
ポジションを固定せず、自由にリストレイニングラインを行き来する事により、体力を消耗せず相手のライド戦術の混乱を誘発し、フルフィールドオフェンスを効果的に行う戦術。と、日本代表では定義されている。
2017年の世界選手権、ワールドゲームズを通して、全試合のクリア率は高かった戦術と言われている。(ラクロス協会 2017年度女子日本代表 活動報告からの引用)

*2 クロスは長く使う事
特にラクロスを始める選手には最初からできるだけクロスの長さを使い切る事から練習を始めるのが普通だというアメリカの指導者の考え方である。
グランドボールを相手より先に取り切れる、長いパス、強いショットを撃つのもクロスを、長く使う事がポイントだと指導されている。
その為には、長いクロスを使い切る筋力(手首の強さも含め)も要求されてくる。そして、パス、ショットのフォームも見直す事が必要になってくるわけだ。
まだ、筋肉トレーニングを行わない成長期の中学生高校生は、長く使うという意識だけは持っているべきであり、「てこの原理を使った」ショートパスばかりではなく、胸を開かずに遠くに投げる練習もする事をお勧めしたい(フォロースルーが大きくなるので周りに危険を及ぼさない形で練習をすることを心がける必要はある。)

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