【女子日本代表情報】永島 正和ACへインタビュー|日本ラクロスと海外ラクロス

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来月7月12日には女子ラクロスのW杯が開幕、7月26日からはワールドゲームズが開幕となります。
現在女子ラクロス日本代表合計40名のメンバーは上記の2大会に向けて調整を進めています。


今回は40人の大所帯のアシスタントコーチをされているAC(アシスタントコーチ)の永島 正和さんにお話を伺いました。



永島 正和ACの紹介

【名前】永島 正和(ながしま まさかず)
【代表チームの中でポジション】AC
【ラクロス歴】佛教大学男子ラクロス部出身
2003~2004年;西南学院大学(男子) HC
2007~2011年、2014~2015年;福岡大学(女子) HC
2008~2010年;Crazy Scorpions HC
2013~2015年;alfa HC
2015年;19歳以下世界選手権HC

永島 正和ACへインタビュー

2017年日本代表チームは世界の強豪国と戦うためにどのような準備をしているのですか?

今回日本チームは 世界大会において5位以上になる という目標を達成するために、そして日本チームが世界の強豪国相手に勝つために、海外強豪チームとの基本的な部分の違いや勝因や敗因の分析を徹底的に行ってきました。
強豪チームにはもちろん体格の違いが明らかな選手もたくさんいますが、日本人と同じような体格の選手もたくさんいます。
世界と戦う上で日本人であることの強さ弱さを強く意識するというより、基本的なラクロスの技術でしっかり世界のトップチームと勝負できる状態をつくることが重要と考え、練習を含め準備をしっかり行ってきました。



日本チームの課題はどのようなものだったのでしょうか?

『日本人はシュートが下手だ、グランドボール(以下GB)とドローが弱い』と、とてもアバウトなコメントを周りからよく言われていますが、なぜそう言われるのか日本チームの課題を徹底して突き詰めた結果、課題として上がったものは以下のものでした。

▶︎シュートが下手だという周りからの印象
日本人はシュートにおける全てが下手なのではなく、シュートの『有効な場所の存在』を知らず、また『その場所に有効なタイミングでシュートを打てなかった』だけでした。

▶︎GBが弱いという周りからの印象
GBはそれ自体が弱いのではなく、取るポイントが身体から遠い位置であり、そもそもGBは『拾う』ではなく『掴み取る』ものであったということでした

(※ドローは柴田ACが担当しているため外します)

以上の日本チームが課題であったことは、練習により全て改善できる内容でした。



その見つかった課題をどのようにして練習に取り組んだのでしょうか?

先ず、日本代表が取り組んだのはシュートについてです。
アメリカの大学のリーグの『NCAA』のラクロスの試合を見るとシュート決定率はとても高いのが特徴としてあります。一方日本国内のシュート決定率は2〜3割程度です。
日本の選手は当たり前に『シュートを外す』という文化に慣れていました。
そこが日本チームの課題ではないかと思い、具体的に何が原因かを探すため、多くの試験を施しました。

例えばいろいろなシチュエーションで「指定する箇所に打って」とか「このタイミングで打って」と指示したところにシュートを打ってもらったところ、
以下のような結果が出ました。

▶︎ミドルシュートが打てない
特に上段へのスピードのあるシュート(上のポスト下、ゴーリーの頭の上のエリア)が打てない。

▶︎ランニングシュートは下段(腰から下)にしか打てない
特にランニングシュートにおいてのシュートタイミングはシューター自身のタイミングになりがちで、かつ一定のリズムで打っているため、ゴーリーにタイミングを合わせられ、止められやすい。

等、選手は『シュートを打ってない』ではなく、『シュートを打てない状態・スキル』であることが判明しました

なぜそのようなことになってしまっていたのかを分析したところ、下記のような結果となり、解決方法を見出しました。

▶︎シュートをシューターの “都合” で打っていた
肝心な相手ゴーリー目線でのシュートが無かったため、相手ゴーリーのモニタリングをチームとしてするようにしました。
一人が一試合に打つシュートは数本のため、その一人が相手ゴーリーの弱点に気づいても遅いので、チームで相手ゴーリー情報を共有するようにしています。
コーチも相手ゴーリーのウォーミングアップ時からモニタリングを実施し、分析結果を選手に伝えてることもしています。

▶︎そもそものシュートのバリエーションが少ない
フリーシュートをワンステップで打つ、ゴール内の上段にシュートを打つ、シュートタイミングをずらして打つ、などのシュートが苦手だとわかったので、
上段に紐を付けそのエリアに打ち込む練習やランニングシュートは前屈みになっているためどうしても下段にしか打てないところを上段に叩き込む練習を繰り返し、そしてタイミングは裏拍のタイミングで上段を狙っていると見せかけて同じモーションで下段に打つ等、基本的なことを徹底的に行いました。

上記の練習を継続して行ってきましたが、結果は今年3月に行ったイギリス遠征で現れました。

世界トップ4のイングランド相手に前半70%近いシュート決定率を叩きだすことができ、6-6の同点で折り返すことができました。
※60%以上の決定率があれば世界のトップチームと互角に戦える

現状では、先日の国際親善のようにまだ安定的に高い決定率を出せていない状態ですが、その試合でも、後半はモニタリングの結果からゴーリーの足首付近に3得点連続得点で点差を広げました。
前半も外してはしまいましたが、上段ポストに当たるシュートなど国内ではほとんど見ることがないシュートでを打つことができていたことも収穫です。

次なる課題はグランドボールでした。
イギリス遠征までは、GBを含め、個々のスキルで海外選手に負けないための個人スキルを磨いてきました。遠征へは戦術もほとんど持っていかず、海外選手との個人技術の違いを見つけるようにしていました。

そこで見えてきたものはGB、その差は圧倒的なものでした。

試合ではGBで圧倒され続け、そのGBの状態をずっと見ていると、『一つ大きな違い』を発見しました。

日本ではGBにおいてはボールへのファーストタッチにこだわることが多いのですが、海外の選手はそもそも誰のクロスに収まっていないボールを『掴み取っていた』ということでした。

GBでボールに早く触ろう早く触ろうとして身体から一番遠いところでファーストタッチを意識していた日本選手と、ボールを掴み取ろうとしていた海外選手。
結果海外選手へは、ファーストタッチは日本が勝ちボールをクロスに収めるが、クロスに収めたボールを身体に近づける間に海外選手にすべて奪われてしまっていました。しかもそれは叩かれて落ちたボールを奪われるのではなく、持っているバスケットボールを両手で奪い取られる感覚と同じように掴み取られていきました。

そこには圧倒的な技術の差がありましたが、そもそもそのボールを掴み取るという感覚や技術も今の日本に無かったものだったので、その考えや技術を日本に持ち帰り、『ボールを掴み取る』技術を磨きました。



日本ラクロスに新たなラクロススキルが増えましたね。

そうですね、このような技術を日本代表選手が実践することで、国内リーグのGB文化が変わればラクロスがもっとうまくなり、世界との差は縮まると思っています。

また代表チームではグランドボールという言葉を『ニュートラルボール』という呼び名に変え、ボールを掴み取ることは『スナッチ』という言葉にしました。
イングランド遠征において、グランドに転がっているボールを拾われるということより、浮いているボールを相手に奪われることが圧倒的に多かったので、重力通りに落ちてくるボールをポケットで拾うという作業ではなく、ボールが地面から跳ね上げるタイミングであろうが自分の頭より高い位置にあろうが掴み取れるタイミングはすべてものにする技術を付けることが大事だとわかりました。



逆に、今の日本代表チームの「強み」はなんでしょうか?

正直に言うと、アメリカなどの海外のラクロス強豪国と日本代表の全選手の個人のスキルを比較して、現在特筆してこれが全員の強みだと言えるところはありません。一般的に日本人選手が海外でプレーするにおいて優れているポイントと言われているスピードや手先のテクニックにおいては、海外トップ選手は動きが速い人はとても速いし、そして連戦において疲れないし、手先のテクニックはむしろトップ選手にはかないません。

ただ過去の日本と比べて強くなったと言える部分は、海外トップ選手との個の違いが “具体的に明確” となり “課題が見えた”ことだと思います。

これは今後の日本ラクロスにとって大きな兆しだと言えます。

今までは全てにおいて海外トップ選手との差は漠然としていた部分が多かったのかもしれませんが、今は世界のトップ選手と対等に個の差にフォーカスし、それがスキルアップにつながっています。
イングランド遠征時も強豪国であるイングランドの選手に、ノンボールキャリアの動き出し瞬間のスピードで優ってフリーになって得点する場面が多々あったりと、「個」として勝てる場面がたくさん出てきています。

日本がこれから世界で戦うのが楽しみですね!

はい、これからより多く実践を積み、海外トップ選手との違いがわかり、それの課題設定をし練習を積み、1場面1場面で勝てるシーンが今後もっと増えることによって、日本ラクロスが強くなっていく、そう確信しています。

ぜひ今2大会は、今までの日本チームとは違うアプローチで挑む日本代表をみていただきたいと思います。

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W杯&ワールドゲームズはもうすぐです!GO JAPAN!!!
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