【ラクロス関係者必見|脳震盪について知ろう】④脳震盪後の対応・評価
今回は第4弾、脳震盪後の対応と評価です。
これは知っておかなければいけません。
ただし、評価をする人はSCATに書かれているようにヘルスケアについて十分にトレーニングされた人でなければなりません。
ただ、選手やMGであっても何が危険かは知っておくべきです!
脳震盪の評価
現在、グラウンドで多く使用されているのは『SCAT』だと思います。
2017年の4月に最新版のSCAT5が発表されました。
これは1つ前のSCAT3と順序が変わったり、危険な症状であるRED FLAGSという項目がSTEP1となり、
当然ですがまずは生命の危険がないかを判断することが分かりやすくなりました。
、、、、、、と最新版なのでSCAT5の説明をしていきたいところですが、
これはOn-fieldとOff-fieldを含めて最低でも10分はかかる評価です。
このコラムはヘルスケアの資格を持った専門家ではなく、一般の人(コーチや選手、MG、審判員)向けにしたいと思いますので、特にOn-fieldの内容と『ポケット脳震盪認識ツール』を簡単に説明していきます!
ポケット脳震盪認識ツール
説明していくので、この画像を見ながら読み進めて行ってください!!
リンクは最後に貼っておきます。
前回の脳震盪の症状でも書きましたが、
【1.脳震盪を疑う明らかな手がかり】
●意識がない、または反応がない
●倒れて動かない、すぐに起き上がらない
●歩くのが不安定、バランスが悪い
●何かにつかまろうとする、頭を押さえている
●ぼーっとしている、うつろな様子、放心状態
●混乱している
このような手がかりが1つでもあれば脳震盪を疑ってください。
【2.脳震盪を疑う徴候と症状】
上記のポケット脳震盪認識ツールの画像を参照し、
1つでも徴候があったり、気になれば脳震盪を疑ってください。
【3.記憶 (Maddocks Questions)】
「今日はどこの競技場に来ていますか?」
「いまは前半/後半どちらですか?」または「第何ピリオドですか?」
「この試合で最後に点を取ったのはどちらのチームですか?」
「先週/前回はどのチームと試合をしましたか?」
「前回の試合は勝ちましたか?」
これらの質問は記憶および見当識の検査であり、これにはっきりと答えられない場合は脳震盪を疑ってください。
また、当然ですが周囲の人は答える手助けをしないでください。
【-警告-】
これはSCAT5のRED FLAGSと同様であり、まずはこれらの症状がないかを確認します。
もしこれらの症状があれば、迷わずに救急に緊急通報を行ってください。
SCAT5から抜粋
少しだけポケット脳震盪認識ツールにはない項目を紹介しておきます。
【見当識のテスト(SAC:Standardised Assessment of Concussion)】
●今日は何月ですか?
●今日は何日ですか?
●今日は何曜日ですか?
●今年は何年ですか?
●いまは何時ですか?(誤差1時間以内)
【意識の評価:GCS(Glasgow Coma Scale)】
学生でもトレーナーであればこれは覚えるべきです!
詳細はSCAT3を見るか、ネットで[GCS]と検索してください。必ず出てきます!
一般的には、
0:何もしなくても目があいて反応が正確
指示通りに手足を動かせる
1:ぼーっとしている
2:声をかけても目を開けられない
声をかけても反応しない
指示した通りに手足を動かせない
3:声をかけても反応が微弱
あるいは反応がない
JCSやGCSを参考に私が勝手に示したスケールですが、
一般的にはこのように4段階の認識で良いかと思います。
1であれば経過観察後に病院に通院
2や3が一瞬でもあれば、すぐに緊急通報または病院に搬送してください!
【頸椎損傷の評価】
意識があったとしても非常に怖いことがあります。
それは急性硬膜外血種といって意識が清明であっても徐々に低下していく外傷。
もうひとつは頚髄損傷や頸椎損傷です。
●選手は安静時に首の痛みがないことを報告していますか?
●もし安静時に首の痛みがないなら、選手は四肢(手足)を痛みなく自身で大きく動かすことができますか?
●四肢の力や感覚は正常ですか?
SCAT5を少しわかりやすく和訳しました。
これらのどれかがNOであれば、頸髄損傷の可能性があるため、不用意に選手を動かしてはいけません!
頸髄損傷は不用意に頭頚部を動かすことにより症状が重くなる可能性があります!
そのため、頭頚部外傷直後は頸髄損傷の可能性を排除するまで動かしてはいけません!
これは審判員の方々にご理解いただきたいのですが、
頭頚部外傷の場合は安全が確認できるまでに他の外傷よりも時間がかかります。
グラウンドの外に移動したい気持ちは山々ですが、動かすことにより重篤になる外傷の可能性もあります。
そのため、特に頭頚部外傷の可能性があるときは選手の生命の安全性が確認できるまで少し時間を頂きたいです。
以上、簡単にではありますが、脳震盪の評価について書きました。
ヘルスケアの専門家が見ると至らない点も多いと思いますが、一般の選手やコーチ、MGにも理解してほしい内容です。
評価をできなくても知っていることは重要です!
学生トレーナーはSCAT3(日本語版あり)、できればSCAT5の内容は学習しておき、緊急時に対応できるようにしてほしいと思います!
評価ツールのリンク
そして、脳震盪の疑いがあるにも関わらず、評価をせずに練習や試合に参加させるようなことは必ず避けてください。
どんなに重要な試合であっても、ひとの生命の方が大切です。
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