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【データで語るラクロス #3】分析班・アナライジングスタッフがやるべきこととは?

ー 柴田(しゅん)さん:
私はチームの幹部に年の初めに必ず年間計画を立ててもらうようにしていますが、半年先・9か月先の内容は超ざっくり「こういうことできていたいよね」ってくらいのことを書いているだけで、データもあまり設定はしていないです。これは長妻さんもおっしゃっているようにかなり進めていく中で変わるものなので。それでも年間で計画を考えてもらう意図は、選手自身に目指しているところやそのためのステップを考える習慣をつけてほしいからです。シーズン最初は幹部もまだまだ成長の伸びしろだらけなので、成長機会としてそういう場をつくっています。
年間計画は2か月区切りくらいになっているので、2か月ごとの目標値みたいなものは明確に設けています。そこに向けて、毎週または隔週ペースで練習試合を設定し、練習試合でのデータの達成度を振り返りながら次の試合までにやることを考える感じです。でもデータにとらわれすぎてやること毎週のように変わるのは違うので、例えばグラボの確率が悪いとなって、ある試合は単独グラボがとれてないから単独の練習をしていて、そこが達成できていないのに翌週は混戦もとれていないとなって混戦にメニュー変える、というようなことをすると色々なことに手を出して積み重ねができない状況をつくってしまうので、あくまで単独グラボを一度目標にしたならそれをある程度目指しているレベルまで達成できたからステップを一つあげる形になるまでは普段のメニューなどは変えないように気を付けるようにしています。
年間計画は都度タームの区切りで見直していて、そのタームごとに設けたデータ目標に対して達成度がどうであったか、そして次のタームはそのデータ指標のまま目標数値を変えるのか、それとも違うデータに着目して取り組むのかを考える機会は作っています。
例えば、あるシーズンは2桁得点試合をするためにブレイクを増やすことに取り組んでおり、6月頃まではライドで奪うことに重きを置いてやっていましたがライドで奪える確率が4割超えたあたりで頭打ちになっていたので、7月以降はライドは現状維持、そこに奪ったあとのクリアーの質を上げてブレイクを増やすという方向に転じました。自ずとデータもライドは継続して取りつつ、クリアに重きを置いて新たにデータ指標を設けたりもしました。

 

ー ラクプラ 小野寺:
そうやって、チームの方向性を考えていっているんですね。チームの課題って、試合が近づくにつれて色々な課題が見えちゃってこれもやんなきゃあれもやんなきゃみたいになりがちじゃないですか。そういうのはどうやってコントロールしているんですか?

ー 長妻さん:
そこは分析班の情報収集と分析が大事になってきますね。分析班から “今の1番の課題はこれだ” と信念を持って伝えてもらっています。色々なもの見えてる中で成長の余地があるのがこの部分で、これを改善すればこの率はすごい上がるんじゃないかってある程度見えてくるじゃないですか。その課題から潰していくような感じですね。

ー 柴田(しゅん)さん:
長妻さんとほぼ同意見ですが、結局「どこを改善することが効果が大きいか」を考えることが大事だと思います。要するに費用対効果です。
費用対効果の高いものを上から選んでいくべきだと思っています。あれもこれもとどうしてもなってしまうチームが多いですが、時間は限られているので、例えば次の試合までにあと30時間しか練習時間がないとしたら、その30時間で最もチームが成長する要素は何か?
20時間かけて軸にして取り組みたい部分を何に設定するかも大切ですが、例えば1時間しかやらなくても劇的に変わる事があるならそれをやるのも費用対効果は高いです。具体的には、試合3日前くらいから急にフリーシュートのDF練とかを1日10分だけ入れたりします。それをやるだけでフリーシュートになった瞬間選手の意識は格段にあがります。でもそこまで時間をかけたいことではないし、やりすぎると逆に慣れて効果が薄れたりするので敢えて試合前で短い時間しかやらないことで費用対効果をあげている例です。あとは青学の場合はナイターにしかDFコーチが来れないので、ナイター練はDFの時間と決まっているシーズンもありました。その代わり、その日以外はほぼDFの練習はしませんでした。それでも例えば週5回20分ずつやるよりも、週1回コーチがいる中で選手も少しでも多く練習したいと思う状況下で100分集中してやるほうがよっぽど成長するという判断です。逆に集中力が続かない代とかは切り替えるために全てのメニューを20分区切りくらいで短くしているときなどもあります。それはその年のチームの特性次第で何が一番効果的かも変わってくるので変えています。こういう工夫で同じ100分でも費用対効果、つまり100分の中の成長度合いは全然変わってきます。データから見える部分とこういったチーム特性(環境、強み、弱みなど)の理解を上手く合わせてこの費用対効果の高さを判断できることが大切だと思います。

ー ラクプラ 小野寺:
ラクロスの分析って結構時間も労力も使い、コーチがそこまで入り込めないって言うチームがたくさんあると思うんですけど、まだ分析班がないチームでこれから学生だけで分析班をしっかり立ち上げるとしたら、その分析班は何からスタートしたらいいと思いますか?

 

ー次ページー
分析班は何から始めたらいいか?

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