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【大学ラクロス】あすなろカップ総括レポート by こぶ平

5月21日(土)に大宮けんぽグランドで行われた、日本ラクロス協会主催で大学2年生だけのチームで戦う最後の試合である「あすなろカップ」。このあすなろカップは文字通り次の時代のラクロスの勢力図を占える大会という位置づけにある。実際に男子では10年前ぐらいでは早稲田大学、慶應義塾大学、一橋大学、東京大学、日本体育大学といった伝統校の強さが目立ったが、近年は、中央大学、武蔵大学、立教大学が上位を争い、そしてリーグ戦でもFinalへ進出を果たすまでに進化をしている。女子では継続的に上位を続ける大学が、そのまま女子ラクロス界をリードしている。

ということで、「あすなろカップ」を見ると近い将来のラクロスも見えてきそうだという事で、今年の「あすなろカップ」を振り返ってみた。

実際の出場校を見ると、合同チームが増え、いくつもの大学名前が消えている(女子の東洋英和 等)。中には女子の「茨城、国士舘、淑徳、明星、文教、成城、東京経済」7校合同といったチームもあった。それは、ラクロスの灯を消さない為の挑戦であり素敵な事だと思う。

決勝トーナメントについて

あすなろカップ決勝トーナメントへ進出したのは以下の通りだ。(順不同)

【男子ラクロス】慶應義塾大学、一橋大学、日本体育&筑波大学合同、明治大学、明治学院大学、法政大学

【女子ラクロス】青山学院&中央大学合同、明治大学、成蹊&法政大学合同、東京理科・千葉&実践女子大学合同、日本体育大学、大妻女子・玉川・帝京&専修大学合同、早稲田大学、立教大学α

男子の慶應義塾大学チームは、大学のリーグ戦に参加している慶應義塾高校(NY高も含む)のラクロス経験者は含まないチームとなっている。そして今季の顔ぶれからは、男子においては早稲田、武蔵、立教の常連校が不在で代わりに法政、明治学院の進出がしていたのが印象的。

女子は予選同じ組で明治に惜しくも届かなかった慶應義塾以外は例年の1部上位校が名を連ねる中、下部の「東京理科・千葉&実践女子大学合同」、「大妻女子・玉川・帝京&専修大学合同」チームの戦いぶりにも注目をしていた。

男子ラクロスは、慶應に勝った法政、一橋に勝った日体&筑波、明治に勝った明治学院がFinalの巴戦で決着をつけることになり、女子は青学&中央に勝った明治、東京理科・千葉&実践女子に勝った成蹊&法政、大妻女子・玉川・帝京&専修に勝った日本体育、早稲田に勝った立教αが次のステージに進むことになった。

女子ラクロスの決勝トーナメント

1部の壁・上位の壁が厚い印象だったが、日体大に挑んだ大妻女子・玉川・帝京&専修の先制点は鮮やかなものだった。成蹊&法政の体力的には上回る相手に0対1と健闘した。東京理科・千葉&実践女子の戦いぶりは下部のリーグ戦ではひときわ輝く存在になるに違いない。一方で立教αに対して、特徴のあるアスリート性を出し切れなかった早稲田大学(結果は1対3)としては他校にないブレークスルーを身に着ける必要性を感じさせる試合となった。そして青学&中央 vs 明治の戦いは、お互いに豊富な運動量を持つチームの特徴が出た試合だったが、明治のインサイドの強さがゲームを有利にし、後半はショット数でも6対1と明治の総合力の高さをうかがわせるものとなった。

女子の準決勝(Final4)は明治vs成蹊・法政合同、日体vs立教αが対戦した。

明治は、選手全員の精力的な動きからボールを止めず、素早い動きの42番、44番等がブレイクし主導権を握ると最後まで走り切り5対2で成蹊&法政を破る。そして激闘となったのは日体 vs 立教αの試合。ともにTeen’sでの経験を持つ選手も多くスキルの高い戦いとなったがポゼッションからの攻めに冴えを見せる立教がペースをつかみ前半を1対3とリードするも、髙い運動能力で強いブレイクを見せ日体大が後半を優勢に進め3対3の同点でサドゥンヴィクトリーへと突入した。しかし、サドゥンヴィクトリーに入ると、お互い雨中の戦いの中で体力を消耗し決め切れず3対3のまま試合は終了。規定により予選の試合結果から立教αが勝ち上がる事となった。

決勝の対戦カートは 明治 vs 立教α となった。

雨の中の試合が1試合だった明治が体力的に優位だと思われた試合。立教はその選手層の厚さを見せつける事になった。開始早々明治のターンが続き44番のブレイクが奏功したかに思われたがショットはポストに嫌われターンオーバーを、決勝まで温存されたかのように登場した立教94番の高さのあるセンタープレーがはまり先制点を生み出すと、ドロー、高さを生かしたプレーが機能し立教がペースを取り返す。それでも前半はそのまま0対1で終了した。後半は明治がカウンターからの仕掛けを狙う展開。一気に圧を掛けるドライブ力を見せた明治が同点に追いつくと、そこからはお互い最後の力を振り絞ったプレーの応酬が続き、残り60秒を切ったとき、立教の中でもその決定力の高さが注目されていた92番が裏からサイド、ステップから一気にダイブ抜けてランシュートを突き刺した。新人戦シリーズの最後を締めくくったのは立教大学となった。

男子ラクロスの決勝トーナメント

技術云々よりも、パワープレーのぶつかり合いの中で、いかに忠実にボールを取り、投げ、ショットを打つかが問われ、そこに光る才能を感じるプレーが見られるのが常だ。そして、1stステージで光ったのは明治学院大学と法政大学だった。法政大学は高いモチベーションで慶應のブレイクを許さず、最後の2分で連続得点をし勝ち切ると、勢い其のまま決勝巴戦で日体・筑波合同に対しても先制から押し切って明治学院との決戦を迎えた。一方の明治学院大学はパワーあふれるプレーで、対明治 3対1 巴戦 対日体・筑波合同 4対2 と高い得点力を見せた。

そして迎えた 明治学院vs法政の決戦は、明治学院の攻撃力に対し法政の守備が立ちはだかる展開、そして前半5分ターンオーバーからの速攻を決めたのは法政。対する明治学院もショットに行くが法政のゴーリー62番の連続セーブにも防がれてて0対1 法政リードで終了した。

後半も、法政の忠実な守備からのカウンターが奏功しリードを広げ、明治学院の反撃も点に結びついたのは終了90秒前。そのまま法政が守り切って法政大学は1年生大会、あすなろカップ、リーグ戦等々を含め初の公式大会優勝を勝ち取った。

「あすなろカップ」から見えてきたもの

男子ラクロス

法政大学、明治学院大学のファイナルという新しい風が吹き込んだ。武蔵大学、立教大学の台頭へとつながった2,3年前の新人戦シリーズでの活躍が、今年新たなチームの台頭に繋がる未来図。

女子ラクロス

Teen‘sラクロスの経験者がいなくても、その経験を埋め合わせる育成力を見せた明治大学の、他の大学も見るべきロールモデルラクロス。

という事ではないかと思う。

あすなろカップで強い大学はリーグ戦でも強くなる。そういう意味で今年、男子は法政大学(2部だが1部へ返り咲く予感)、明治学院大学、女子は明治大学の戦いぶりに注目すると良いのかもしれない。

ラクロスって最高!

こぶ平

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