こぶ平コラム

【こぶ平コラム】関東学生ラクロス”絶対に負けられない戦いがそこにある”

今期の関東学生リーグについて、その開催運用から少しサーベイが必要と考えてまとめてみた。
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【協会のWebから抜粋】
・原則、ブロック抽選に基づく4チーム1ブロックでブロック戦を行う。
※4チームで割り切れない場合は5チーム以上での編成とする
・4ないし5チームブロックの中で、各チーム最低2試合実施する。組み合わせは下記の例を参照。

☆彡こぶ平注 結果的に緊急事態宣言等で日程が厳しく、各ブロック1チーム2試合の実施となった。

※引き分けの場合はサドンビクトリールールを適用する。
条件を揃えるため、ブロック戦においては全試合で4分×1回のみの実施とする。
1部決勝/準決勝及び昇格戦においては、会場時間等を考慮し可能な限り延長戦を実施する。
決着がつかなかった場合は、以下の順で勝敗を決定する。
①2021年度リーグ戦で獲得した勝ち点
②2021年度リーグ戦で獲得した得失点
③2021年度リーグ戦で獲得した総得点
④当該試合におけるフェイスオフ/ドローの勝率
⑤当該試合におけるファールの数(スタッツシートに記載されたもののみ)
⑥2019年度リーグ戦の順位
・男女全ての部で昇降戦を行う。今年度、降格は行わないものとする。
・昇格戦対戦校は、抽選によって決定する。
・ブロック編成、昇格戦対戦校は、既に抽選によって決定したものから原則変更しない。
《Aブロック(4チーム)の場合》
A1 vs A4、A2 vs A3を行う。
●各試合の勝利校同士、敗退校同士で試合を行い、ブロック順位を決定する。
勝利校対決の勝利チームを1位、敗退チームを2位、敗退校対決の勝利チームを3位、敗退チームを4位とする。

<中略>

☆彡こぶ平注 ブロックの1から4は2019年度の成績上位チームから割り当てられ、1試合目に勝ったチームが1,2位決定戦、負けたチームが昇格戦出場校決定戦へ進む、トーナメント形式となった。1部のファイナル4の残り1枠決定には2位チームの勝ち点、得失点、等の要素で決まるという事。実質、2019年度6位チームまでが、1,2シード権を得た形となっている。

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そうして決まったブロック分け
★男子1部
・Aブロック:早稲田大学、立教大学、日本体育大学、武蔵大学

・Bブロック:東京大学、明治大学、学習院大学、明治学院大学

・Cブロック:慶應義塾大学、中央大学、一橋大学、獨協大学

19年順位  ①早稲田 ②東京 ③慶應義塾 ④中央 ⑤明治 ⑥立教
日本体育、一橋、明治学院、学習院、獨協、武蔵
組み分けに、運不運が生まれたのは仕方がなかったのだろう。

☆女子1部
・Aブロック:立教大学、成蹊大学、東海大学、明治学院

・Bブロック:明治大学、早稲田大学、法政大学、東京農業大学

・Cブロック:日本体育、慶應義塾大学、学習院大学、青山学院

19年順位 ①立教 ②明治 ③日本体育 ④慶應義塾 ⑤ 早稲田 ⑥ 成蹊
青山学院、法政、明治学院、東海、東京農業、学習院
この組み合わせにより、劇的な結果が待っていた。

2部以下はラクロス協会の情報でご確認いただく事になるが、助手において伝統校の東洋英和女学院大学が不参加となったり、合同チームの多さが目に付く。ここ2年間で、特に3部、4部の大学では新入生の獲得に苦労している。しかし、この逆境下でも毎年10人以上の選手を確保している大学もあることも分かっている。そのように何とか確保できている大学は、SNSを使った新入生へのリーチを工夫する専任がいる場合が多い。ラクロス協会からもそういう成功事例の紹介はされているようだが、各学校の状況(学校ごとの制限が異なる)に合わせた個別対応も望みたい。

★そして既に昇格戦組み合わせは決まっているが、それについては、ラクロス協会のWebサイトをご覧いただくとともに、後日私もコラムでお話をしたい。

長々と書いたが、基本今期の学生ラクロスはトーナメント式の‘絶対に負けられない戦い’となったという事だ。そして、オープニングの2日が、台風等の雨の影響で流れ、まだ男子11試合女子12試合しか消化されず下部のトーナメントの消化すら黄信号が出ている状態だ。中々グラウンドの確保ができない現状で厳しい現状が続く。そして、トーナメントになったという事で、1試合負けただけで、Final4や昇格の道が閉ざされるという状況下で行われた試合の中から幾つかの試合をピックアップしよう。

【現在の状況】
1部
男子
Aブロック
早稲田 vs 武蔵     3対4  武蔵   Won
立教  vs 日本体育   5対6  日本体育 Won
Bブロック
東京  vs 明治学院   2対3  明治学院 Won
明治  vs 学習院   11対3   明治  Won
Cブロック
慶應義塾 vs 一橋     7対6  慶應義塾 Won
中央  vs 獨協     7対5   中央 Won

女子
Aブロック
立教  vs 明治学院  11対3   立教 Won
成蹊  vs 東海     6対7   東海 Won
Bブロック
明治  vs 東京農業  14対4   明治  Won
早稲田  vs 法政      8対8   早稲田 1.2位決定戦へ
(早稲田大学は上記既定の、2019年成績上位者として上位と認められた)
Cブロック
日本体育 vs 青山学院  10対7   日本体育 Won
慶應義塾 vs 学習院   5対4    慶應義塾 Won

結果を見ると、19年の成績からして、男子は半分がUp-set 女子は1試合のみUp-setとなりここ数年の男子ラクロスのルネサンス化を表していると言える。

もう少し、深堀をしよう。
★男子
いきなり、19年優勝の早稲田と準優勝の東京が敗れる大波乱で始まったかのように見える男子だが、2018年ごろから中央、立教、武蔵の新三勢力が長期的な強化プランに基づき、進化してきたのが象徴的で、そこに明治学院や学習院も追いかけてきた結果の現れとしてとらえられ、決してサプライズではないと見るべきだ。
さらに個別に取り上げると
1. 武蔵大学 どの大学よりも早く詳細な数値化を取り入れ進化をしてきたチームだが、今年最後に勝ち切る、勝ち方を知りえたチームで、ここからの進化に注目をしたいチームだ。
2. 明治大学 予選 対 学習院戦 3Q終了まで2対3と逆転されてからの4Qの爆発は、今年、力強いという前評判を裏付けたものであり、昨年東大を破り特別大会ながらも久々のFinal4を戦った力を見せたチームだ。
3. 
慶應義塾大学 昨年の特別大会で久々に王座を奪い返したチームも主力の卒業で、チーム力の向上を見定める形だったが、悪コンディションの中勝ち切った力は春先からの進化を示していると言える。次の 対 中央戦がその力の本物度合いを測るバロメーターになるだろう。
4. 立教大学 春の六大学戦初めて早慶を破りプレシーズンの主役となったチームだが、関西とのプレシーズン東西対抗では、その力を発揮できなかった。種々の事情はうかがい知れないがチームとしての飛躍を期待されていただけに残念な結果かもしれない。

いずれのチームが勝ち残るにしろ、今年は例年以上に混戦であり、その状況を作り出したのが、早稲田大学の絶対的力の低下にも一因があると見ている。とすれば、全国大会において関東の絶対的優位が崩れるのかもしれない。特に注意をして見ていきたい。

☆女子
Up-Setの少なかった、女子のリーグ戦。立教、明治、慶應義塾、日本体育の4強の層の厚さは、蓄積されたKnowHowを含めて、コロナ禍でのチーム作りにおいてはむしろ差が広がったと言える。男子の新御三家の様に長期的な視野でチーム作りをしていくチームの出現を待っているのが現状だ。
そんな中、長期的な視野で強化を図ってきた2つの大学について語っておこう。
1. 法政大学 ここ3年の進化は、男女合わせた統一のコンセプト、保護者を含めたサポート体制作りと相まって、顕著なチームであった。そして迎えた今年、早稲田大学とのミスのない総力戦の試合は引き分け(ドロー獲得、ファール数も同じ)。19年の成績により上位進出がならなかった。
個の力の平均値は、Topレベルに来ている。後はラクロスへの理解力の向上をベースに勝ち切る力の獲得と見ている。来年以降も楽しみなチームだ。
2. 成蹊大学 50人規模の選手層でありながら、着実に強化をされてきた印象のあるチームだ。やはり男子と統一されたコンセプトも見える。個の力の獲得もできていて、今年はTop4も狙えると見ていた。しかし、ほぼシーズン初戦となったリーグ戦で、終始先手を奪われ本当の実力を発揮するまでには至らなかった。逆境でもチームが勝ち切れるために、チームのリーダーシップについて考えてみるのも進化に繋がると考えている。

Cブロックの戦いについて特に述べておこう。
1.  日本体育vs青山学院
ともに豊富な運動量で、お互いの良さ(日体大の個の強さ、青学大のパスラン)を出した好試合だったがわずかに、特徴のパスが乱れた青学大が逆転
しきれず、4Qで一気に試合を決めた日体大の力強さが上回った試合だった。

2,  慶應義塾vs学習院
3Q終了まで0対4と窮地に追い込まれた慶應義塾。色々な事情を抱えながらのトーナメント戦に縛られた選手が、4Q最初の1点で呪縛を解かれ、2,
3年生が追い付き、4年生が決めっ切ったチームとして一回り大きくなったのが慶應義塾らしさだった。
一方で、技術的に、アスリート的にも進化した学習院というものを魅せたのだが、取れる時に点を取り相手の気持ちを断ち切る強さを出すには至ら
なかった。このチームも長期的な展望を持ちつつ進化を図っているようで今後が楽しみなチームである。

男女を通じていえることは、今期日程の都合で、トーナメント戦になった関係で、最初から「絶対負けられない戦い」に臨まざるを得なかった各校は、部外者が考えるよりきついプレッシャーにさらされ、自身の最高のパフォーマンスを出せない、金縛り状態の試合展開が1回戦だったと思われる。それは快勝したように見える、女子の立教、明治の両校にも言えることで、立ち上がりの1Qの戦いぶりには硬さがあった。
そんな中、1Qから全開の戦いを見せた、日体大、早稲田、法政、青学大、東海大にはそれを引っ張る絶対的なポイントゲッターがいた。2回戦から、そのエースもマークされる。次のブロック決勝は全開の戦いとなる。目が離せない。

10月2日 緊急事態宣言が解除されたが、観戦はままならない。Live中継を楽しみにして欲しい。

こぶ平

 

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