こぶ平コラム

関東学生ラクロス 2021年の1部の苦闘とファイナルへの道

関東のラクロスについてじっくり語ろう その1

★関東学生リーグ Road to Final 女子編
8月に開幕予定の関東地区学生ラクロスは、コロナ禍の緊急事態宣言や、台風等の影響で1か月以上の開幕の遅れとなり、昨季以上の制限下1部から4部まで3から4のブロック分けによる変則トーナメントで実施され、かつ4Qで同点の場合は、サドゥンヴィクトリー方式でも決まらない場合は、ドローの獲得数の差、ファールの差で決まる。それも同じ場合は2019年度の成績上位校を勝ちとする方式だ。実際にはここまで結果判定がずれ込むことはないとも思われていたが、結果的に予選Bブロック早稲田vs法政戦で、現実のものとなり、2019年上位の早稲田がブロック決勝に進むことになったのは、前回お伝えした通りだ。ただ、2019年の順位による決定には当事者からの不満というか選手の中からは、自分たちの手で決めたかった(たとえそれが抽選であったとしても)という意見も多かったのは事実だ。2019年のチームに関われていた選手はほとんどいなかったのに、今のチームの優劣を決める基準となったのはつらかったという事だ。特別な年となったが、今後の為に更なる対応策の検討をお願いしたいところだ。(フリーシュート合戦などは妥当な選択手はないか?それほど時間は取られないはずだ。もちろん10人以上の対戦までもつれ込むことは0%ではないが。)

そして、予選の結果は Aブロック ①立教、②東海、③成蹊、④明治学院     (明治学院が’入れ替え戦へvs二部Cブロック)
Bブロック ①明治、②早稲田、③法政、④東京農業    (東京農業が入れ替え戦へvs二部Aブロック)
Cブロック ①日本体育、②慶應義塾、③青山学院、④学習院(学習院が入れ替え戦 vs二部Bブロック)

各ブロックごとに見てみる(Top校については後述)
★Aブロックでは、成蹊大学が持てる力を出し切れなかった感は残るが、若い選手にポテンシャルを感じさせたので、来季以降も注目の1校という印象、東海は26番に依存する形から脱却できたようだったが、ブロック決勝で封じ込まれると持ち前の得点力が失われた形だ。来期に向けて26番をリードする選手5人の育成が必要だと思われる、ただし東海府大学のディフェンス面の進化は良い方向であり、成蹊同様注目校となる。明治学院大学は得点力が長年の課題だったが、今年もその課題は残されていた。先ずは、個の突破力を高め、そこからの周囲の動きの連動という基本的な力のレベルアップが必要な時期に来ているのかもしれない。
★Bブロックでは、2人の代表強化選手を含み、前評判が高かった早稲田と、3年のキャリアでピークを迎える4年生の強い明治に、着実に進化し体格的にもそん色のない法政、粘り強い東京農業がどのように戦うかというのが見どころだった。結果的には法政大学の得点力が早稲田を追い詰めた事と、早稲田の優位性を発揮させる前に1Qの4年生の躍動で試合を決めた明治の強さが印象に残る形となった。東京農業は法政戦で果敢なラクロスを見せ、勝利に限りなく近づいたが、3本のクロスイリーガルで勝利を逃すことになった。
★Cブロックは、結果的に最も厳しい戦いが続いたブロックだった。その中で、試合ごとに成長を続けた日本体育が1位となり、学習院戦に苦しんだ慶應義塾は得失点差で救われ(正直な印象)2位最上位でFinal4へ進出する形となった。その慶應義塾は主力のリタイア等でチーム作りも遅れ、練習試合でも結果が出ないまま迎えたシーズン最初の学習院戦3Qまで0対4を4Qで逆転できたのは、”負けられないという慶應のプライド”が着火点となり”地道に培ってきた技術”が発露した事なのだろう。そしてどん底から抜け出した力は更なる進化を遂げる事となる。慶應義塾を追い詰めた学習院については、タレントもそろい1部の平均より高いレベルに有った。しかし順位決定戦でも勝ち切れなかったのは、その平均の上に突出した特徴が必要なのだろう。
青山学院も平均レベルより高く、そして97番の選手のようにブレイクスルーも持ち合わせていたが、対戦相手がさらに高いぶれいくするーを持ち合わせていた日本体育大学であった事が災いした。正規のリーグ戦が行われていたら18年以来のFinal4もあり得たかもしれない。

結果として、3ブロックに分かれた1部の、総合的な順位は(勝手にファイナル4除く)
3位グループ 早稲田、青山学院
4位グループ  法政、東海、成蹊(特に異論はあると思うが今期の力は東海より上だったと思う)
5位6位グループ  学習院、東京農業、明治学院 という結果ではないか?
さらに加えるなら、通常のリーグ戦で8月から行われていたら、慶應義塾のファイナル4はかなり厳しく、早稲田、青山学院、法政、成蹊、東海のどのチームがファイナル4に進出してもおかしくなっかたと考えている。

そして、1位通過した立教、明治、日体大は一つ頭が抜けたチームだと判断していた。共通していたのは、攻守のバランスに優れ、決定的な力を持つ選手が複数存在する事だ。特に、立教、明治はその経験からみても、優位だと考えていた。

しかし崩れた

ファイナル4の結果    立教vs慶應義塾  5対6
明治vs日本体育  4対10

特に、日本体育は完璧とも言える試合運びで、明治に完勝した。日体大は予選1回戦から2回戦の対慶應義塾を経てファイナル4でさらに進化を見せ、特に個の力をベースにどこからでも攻撃を生み出すラクロスを60分続けられた。そして何より、グラウンドボールへの寄せ、ルーズボールリカバリーで完全に相手を上回った。個性の強い集団に生まれた、ガバナンスの意識のようなものを感じる。一方の明治は、極論をお許しいただくとして、強力な4年生のトリオ(2番、3番、5番)にけん引されすぎてその優位性を失ったときに、グラウンドボールの処理や、スペースを突く動きの熟成不足を露呈した形になったと見ている。従来明治大学のラクロスはリーグ戦5試合&ファイナル4を通じて高みに至る傾向がある。そういう意味では3試合目に問題が露呈しても仕方がないともいえる。今期の特別ルールの影響で見落としていた部分だったと反省している。(今期は明治大学が頂点に立てると見ていた。)

もう一つの、立教大学vs慶應義塾 今期の入り方から、立教大学の優位は変わらないと考えていた。この試合にあたり、まず仕掛けたのは慶應義塾大学側だった。選手の特性を最も引き出す形に変更した作戦が奏功しリードを奪う。しかし、いつもの立教大学ならこの状況から修正じっくりと対応しながら、いつの間にか優位を確保する強さがあったが、この日に限ってその余裕がなかったように見えた。反則も取られ、特に2枚のイエローカードは外から見ていた以上に選手には、これ以上反則を犯せないというプレッシャーに繋がっていたようだ。さらに局面打開に必要なエースのショットもポストに嫌われ流れを戻しきれないまま終了したと見えた。実際には、万全であるはずのシフトに新たな戦力を加えて来た事も、良い方には向かなかった。ただ、立教のエース2番がアタック時にあまり出ていなかった事を考えると、何らかのアクシデントがあったのかもしれない。それでも4Q残り90秒エース2番の豪快なブレイクショットで同点に追いついた時は、逆転の流れに持ってきたかに見えたが、ここでドローが取れず、逆に速攻を繋いだ慶應義塾大学88番のノータイムでの冷静なフィードが慶應に勝利を齎した。
ここでも、今期の特別’ルール。公式戦たった2試合で臨んだファイナル4では、力が会っても確たる自信を持って臨むには至らなかったのではないか。それでもオールコートのプレスを60分かけ続け、ここぞというところで決め切った慶應義塾が、日体大戦からの進化を魅せたと言える。敢えて、付け加えるとすれば昨季も、明治戦で同様な展開で同点に追い付いた後の、ドローを確実に取り切ったレベルまでドローが進化する時間がなかった不運が重なったと言える。ここから伸びる立教大学。来期も中心にいるはずだ。

因みに、今回の慶應義塾大学の戦いぶりについて「2013年の明治大学と覇競った時のチームと印象がダブル」と語ったのは明治大学のコーチである。当時明治大学のツインタワーがピークを迎え圧倒的優位と見られていたが、グループ2位でファイナル4に進出した慶應義塾が1点差で勝利した。慶應義塾はそのまま連続して学生女王の座についている。今年は如何に!

こうして、関東学生ラクロス女子のファイナルは日本体育大学vs慶應義塾大学 というカードとなった。この対戦は2015年のファイナル4以来の対戦となりその時は、日本体育大学が5対3と慶應義塾大学を破っている。そして今季の決勝戦。8点を巡る戦いになると考える。というか慶應義塾が8点を取るところまで進化できるか。ポイントはそこだと思う。

付け加えるなら、今期女子の試合のイリーガルクロスが目立つ。今日(10/17)の法政戦での東京農業大学は3本のクロスがイリーガルと判定され6対8で敗戦した。多くの試合で流れを変えるイリーガルクロスとなっている。決勝戦ではそういう事が無いように対策をして臨んで欲しい。(例えば、点を決めて喜びのあまりクロスを叩きつけるのが良いのか悪いのか?それも考えておくべきだ。)

決勝戦は11月6日 緊急事態宣言も解除されたので、有観客で選手の応援をしてあげたいものだ。是非関係者の英断を期待したい。

男子編 西日本地区については別途コラムります。乞うご期待。
そして、これを書いている途中で、中四国地区で 岡山大学が男女アベック優勝を決めている。ここ数年東北地区に押されその存在が目立たない中四国地区の代表として全国大会に駒を進めて欲しいものだ。

ラクロスって最高
こぶ平
【参考】2012年からのFinal4進出校(女子編)
2012年
慶應義塾、早稲田、明治、青山学院      優勝 慶應義塾
2013年
立教、明治、早稲田、慶応義塾        優勝 慶應義塾
2014年
明治、立教、慶應義塾、日本体育       優勝 明治
2015年
明治、慶應義塾、日本体育、立教       優勝 明治
2016年
東海、立教、明治、早稲田          優勝 明治
2017年
慶應義塾、明治、東海、立教         優勝 慶應義塾
2018年
慶應義塾、日本体育、青山学院、東海     優勝 慶應義塾
2019年
立教、明治、日本体育、慶應義塾       優勝 立教
2020年
立教、明治、慶應義塾、日本体育       優勝 立教
2021年
立教、明治、日本体育、慶應義塾       優勝 ????

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