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【女子日本代表情報】柴田陽子ACへインタビュー

来月7月12日には女子ラクロスのW杯が開幕、7月26日からはワールドゲームズが開幕となります。
現在女子ラクロス日本代表合計40名のメンバーは上記の2大会に向けて調整を進めています。

今回は40人の大所帯のアシスタントコーチをされているAC(アシスタントコーチ)の柴田陽子さんにお話を伺いました。

柴田陽子ACの紹介

【名前】柴田陽子
【代表チームの中でポジション】AC
【ラクロス歴】
▶︎選手歴
慶應義塾大学 2005-2008、FUSION 2009-2013、CHEL 2014-2016
※日本代表歴 2008年 U22日本代表、2009-2010年 日本代表(’09W杯参加)

▶︎コーチ歴
大学のコーチ:2009年慶應義塾大学AC、2010年-現在 青山学院大学HC
選抜コーチ:2012年 U20関東選抜AC、2013年 U20関東選抜HC、2015年 U19日本代表AC、2017年女子フル代表AC

柴田陽子ACへインタビュー

まずはじめに、教えて下さい!柴田コーチが担当されている、日本代表が課題と感じていた「ドロー」についてどのように取り組んだのですか?

※日本チームの取り組みについては永島コーチのインタビューも参照

2009年に私が選手としてワールドカップに参加したとき、日本はプールAで4強と言われるアメリカ・カナダ・オーストラリア・イングランドと戦いドローに非常に苦戦しました。ドローというとどうしても誰もが自キャッチやドロー周りの直キャッチなど空中での攻防に目がいくと思うのですが、体格で劣る日本はこの空中戦が世界では圧倒的に不利です。また、ドローワーのパワーでも劣るため、日本では思い通りに飛ばせてたドローが世界では飛ばせなくなったりもします。
日本でもこのワールドカップ後からドローを得意とし、時にはドローだけを上げてフライをするドローワーという存在が徐々に国内でも増えてきましたが、今でもこのドローワー頼みで戦略を立てているチームがほとんどなのではないかと思います。

今回の代表では空中戦ではなく、体格やパワーで勝てない相手に対して “地上戦での勝負” にどう持ち込むか、さらには、その地上戦の勝負をどのように優位に進めるか、という点に着目して対策をしてきました。代表ではこれを「セカンドチャンス理論」と呼んでいます。
ファーストチャンスがファーストタッチが発生する最初の空中戦だとするとセカンドチャンスというのはその空中戦でどちらもボールを獲りきれなかった際に起こる地上戦のことを表しています。この地上戦に持ち込むための、空中戦時の相手に対する体の入れ方やクロスの入れ方の練習を男子コーチや寺田トレーナー相手に繰り返しました。

また、組織としては地上戦を優位に進めるためのドロー周りの選手の配置や動き方にこだわり、セカンドチャンスにおける「チャンスエリア」と呼んでいる “次のボールをこぼしたいスペース” を全員で創りだすことに取り組みました。練習試合などでは空中戦では取れても取ってはいけないというルールで戦ったり、わざと最初の立つ位置を相手よりも一歩後ろに立って始めたりもしました。

代表選手の多くは日本では空中戦で勝てる選手ばかりなので最初はこの理論の理解に苦戦する部分もあったと思います。

私は空中戦だけの勝負を野球に例えてホームラン、セカンドチャンス理論をヒットを積み重ねて得点することだと説明します。ドローワーが勝てていて飛ぶ方向が完璧に分かっていてホームランを狙える状態ならもちろんホームランを狙いにいってもいいんです。ただ、どんな状況でも常にフルスイングすると打てるヒットも打てなくなるように、ドローワーが勝てていないとき、飛ぶ方向が読めていないときにはホームランを狙って空中戦で勝負しにいくと世界ではやられてしまうことも多いというのが自分が世界と戦った感覚値でした。だからこそ、そういう時は空中戦を阻止して戦略的に相手を上回りセカンドチャンスの地上戦で勝つ、という新しいドローのスタイルを代表選手も頭をフル回転しながら確立させようとしてくれています。

一つのテストマッチとして取り組んだ国際親善試合では体格とパワーで勝るアメリカの大学チーム相手にドロー獲得率7割と一定の手ごたえを感じることができました。いまはこの理論で世界と戦うのが楽しみです。

柴田コーチといえば、プレーヤとしてのワールドカップ出場経験もありますね。
プレーヤーとして出場した2009年ワールドカップ、そしてコーチとして出場するワールドカップ、ぜひ今のお気持ちをお聞かせください。

2009年のワールドカップが自分自身のラクロス人生においては大きな転機でした。ワールドカップを機にラクロスを辞めて仕事に集中するつもりだった私に、ラクロスを続けさせてくれたのはあのワールドカップでの世界と戦った楽しさと悔しさです。ラクロスはマイナースポーツでまだまだ発展途上であるからこそ、社会人になると仕事と両立して競技を続けないといけない難しさが常にあります。それでも、2009年の経験をして、いまラクロス界から離れてしまったら日本チームのあの悔し涙が嬉し涙に変わる日は一生来ないんじゃないかと思い、8年間ラクロスを続けてきました。
選手としては結局2009年がピークでしたが(笑)、選手として経験したワールドカップと、それまでの努力と、そこからの8年があるから今のコーチとしての自分があり、それだけは男性コーチには絶対に真似できない部分なので、そこを大切にして常に選手の立場で考え寄り添える、選手の気持ちが一番わかる存在として一緒に戦い抜きたいなと思います。

今回の代表では2009年に一緒に戦った岩田選手が最年長で、4年前にHCを務めた関東ユースの高橋・寺西・佐藤がちょうど2009年の私と同じ年齢になって出場します。時の流れを凄まじく感じながらも(笑)、やはり代表選手の努力や想いは今も昔も変わらなくて…コーチとしてそれを間近で見れて同じ日の丸を背負って戦った同志としても嬉しかったです。8年後に、「2017年があったからいまの自分がある」って言っている選手がたくさんいたら私がACとして関わったことにどんな戦術や技術よりも価値があるのかなって思ってますし、そんな存在になれるよう選手と一緒に最高の経験をしたいと思ってます。

大会前の日本代表チームの雰囲気はいかがですか?

今回は35名という異例の多さで最終活動を迎えましたが、無理にまとまろうとしすぎることもなく、若手・ベテランそれぞれがらしさを出して活動できているんじゃないかなって思います。
佐藤HCは「リーダーシップ」ということにとても重きを置いて活動を進めてきましたが、代表でいうリーダーシップとは全員が主将やればいいというわけではなくそれぞれの立場で+な存在になれる行動をすることなので、そういう意味では各々がそれぞれの立場でリーダーシップを発揮できるようになってきたのではないかなと思っています。
私が2009年にワールドカップに行った時も佐藤HCの下で戦ったのですが、その時よりも逆にチームとして頑張ってまとまろうとしているわけでもなく、そのまとまり方も選手に任せている印象があります。
だからこそ、いまのチームは年齢的には若くてもそれぞれがフィールドでもリーダーシップを発揮できるチームだと思うので、そういう部分もワールドカップで見ていただきたいなと思います!
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W杯&ワールドゲームズはもうすぐです!GO JAPAN!!!
ラクロスプラスは女子日本代表を応援しています!

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