【こぶ平コラム】大学ラクロス関東前哨戦「こぶ平は見た」|四大戦・女子
7月末にリーグ戦が開始する可能性が高い関東大学リーグ戦。今年は昨年の特別大会を経て、変則的なリーグ戦&激戦予想のリーグ戦となる。そこで今季の関東大学リーグ戦を占う為に、前哨戦となる試合のいくつかを「こぶ平流」に語っていきたい。題して「こぶ平は見た」シリーズ。今回は女子ラクロスの四大戦学習院大学 対 成蹊大学を取材。今回の「こぶ平は見た」は関東地区の中位からFinal4を狙う大学に注目をしてみた。
四大戦ラクロス・女子
先ずは四大戦について解説しておこう。全国的にも、実際には関東地区でもその名前が浸透しているわけではないが、1950年から始まる伝統の交流戦で、正式名称は「四大学運動競技大会」という。旧制七年制高等学校を母体とする成城大学、成蹊大学、武蔵大学の3大学と旧制七年制高等学校と同一のシステムを導入していた学習院大学の「東京四大学」が、スポーツを通して大学および学生間の親睦を深めることを目的に1950年に発足された競技大会だそうだ。(この辺の詳細は、フリー百科事典『ウィキペディア(Wikipedia)を参照していただく事をお勧めする。』
その特徴は
- 旧七帝大戦以上に多彩な種目(40競技近い)で、冬のスポーツまで含めて開催されている。
- 正式種目(ラクロスは正式種目)、一般種目(基本的に誰でも参加可能)に、教職員種目もあるようで、さらに団体得点の関係のないオープン種目まで存在する。
その内、ラクロスはプレシーズンとなる、今の時期に開催されるが今期は女子は武蔵大学が参加を取りやめたようだ。そして1部に所属している学習院大学と成蹊大学の決勝にあたる戦いがあり、今季の1部リーグ戦の前哨戦の一つとして注目した。
戦いの前に
◆ 学習院大学
昨年の特別大会において、関東2位になった慶應義塾大学を第4Qぎりぎりまで追い詰め、その進化を知らしめた。基本的には、その時の戦力が維持されて今年さらなる進化を期しているといわれていた。そして、今季6人制ラクロスSIXIESの日本代表に選ばれた河合選手を核として、昨年やりきれなかった攻撃ラクロスを加速させていくようだ。
◆ 成蹊大学
昨年の特別大会において、計画的に鍛え上げて来た戦力の充実によりFinal4 入りが現実的な物になってきたのだが、グループリーグで上手く勝ち切れず、夢を果たせなかったが、今年は若手の進化により1部グループ中位からもう1度、上位を目指す年になるようだ。
そんな実力校の対戦について、今季の戦いぶりを想定して 学習院大学 対 成蹊大学 見た。
ゲームレポート
1Q
ドローは 学習院41番 対 成蹊 14番 ドローから積極的に攻める学習院はショットへの意識も高く、アタック全員が仕掛けをする気持ちが良く出ているように見えた立ち上がり、48番のあいさつ代わりのダイブが決まり先制する。一方の成蹊はポゼッションから強い個の力で攻める形になり、16番が2度目のターンで、学習院3人のディフェンスを突破しショットを決める。その体幹の強さは日本人離れのポテンシャルを垣間見せた。しかし、学習院は48番を中心に良く動き攻撃の機会を多く作り出す。そしてフィニッシュに48番が再ブレイクを果たしてショットをゲットした。 1Q 2対1
2Q
学習院大学オールコートのディフェンスをギアアップしボールを奪う。ポゼションからの58番のダイブに成蹊大学ディフェンスガ堪らず反則。58番フリーショットを決めて3対1と点差を広げると55番もセンターからブレイク最後81番のフリー取ってのショットは枠外となるも、完全に学習院がコントロールした2Qとなった。 2Q 2対0 トータル 4対1
3Q
3Qに入っても、学習院のハイプレッシャーは変わらず、そこから生まれたチャンスをショットに結びつける。48番のショットはインザクリースを取られたものの、71番に終了間際の48番のこの日3点目となるドライブも決まり6対1と学習院がリードする形となった。成蹊は時おりカウンター攻撃を仕掛けるも、単発に終わり不完全燃焼のまま3Qを終了した。 3Q 2対0 トータル 6対1
4Q
6対1と学習院リードで始まった4Q。学習院のハイプレスからのラン&ガン攻撃は衰えず、55番のショットのこぼれ球のスクープも決まり差を広げていく。最後の55番の反転ショットまで成蹊の攻撃を16番のドローブレイクの1点のみに抑え、8対2で学習院が勝利した。 4Q 2対1 トータル 8対2。
チームインタビュー
この日のラクロス後、両校のキャプテンにお話を聞いた。
★学習院大学 主将 てん選手
・「撃破」というテーマで昨年やりきれなかった攻撃ラクロスを全うする。
・とにかく4Qまで攻め続けるラクロスをしたい。
・大きな目標「学生日本一」の為に攻める。
★成蹊大学 主将 りん選手
・「BE PROUD」というチームスローガンのもと「日本一」を目標に頑張っている。
・若い力には良いものがあるのでうまく力を引き出して戦い抜きたい。
こぶ平’s VIEW
先ず 3月27日に行われた学習院大学主催の関東大学対抗戦(12対5 学習院の勝利)からの再戦となったこの試合、こぶ平が見た マッチMVP 学習院大学48番 そのブレイク能力の高さは1部リーグの中でもTopレベルであることを見せつけた。 VPは 成蹊大学16番 その身体能力・体幹の強さは1部の中でもTopクラスを思わせる。そしてチーム力的には3月からの差は埋まっては居なかったと言える。
両チームの特徴を ‘こぶ平流’ に切り取ってみた
★学習院大学
- 攻め:昨年の慶應義塾戦 4Qに3点差を逆転された苦い思い出から、最後まで気持ちもプレーも攻め続ける事を見せた攻め続ける事の難しさ。どこかで、劣勢になった時にも攻めの姿勢を変えずに進められるかはポイントになるが、その際には核となる、背中でチームを引っ張る選手が必要になるが、48番の選手がその核となる事は示された。又48番がマークされたときも周りがカバーできる可能性も示した。
- 守備:フルコートの攻めのディフェンスが、この夏の酷暑の中で4Qまで機能するのか、この辺はベンチの采配が問われる事になる。
★成蹊大学
- 個々の選手の能力の高さ:プレーの端々に、個々の選手が持つ強さを見ることができたが、それが得点に繋がるまでにエラーが多いのが気になった。
- ショットに行けない ショットを打てる機会はあったとのだが、ショットを打ち切れない。
- 攻撃機会創出に課題あり 早慶戦時の早稲田大学に対しても書いたのだが、本当の攻撃的というのは、ポゼッションが増えた事ではなく、ショットが上手い事でもない。攻撃の機会が増えショットが増える事だと考えている。その点で成蹊もショットに行く機会を逃すケースが多く、ショット本数も少なかった印象が残る。
総括
今回の試合で見られた事は、学習院大学は確実に強さを増している。より攻撃の意識が定着し、又それを得点に繋げる力も身に着けて、ショットを決め切れる選手も多く、切り札もいる。
学習院大学はミスを少なくしていけばさらに、点を取れる可能性を示した。
成蹊大学は肉体的にも鍛え上げられた良いチームだが、基本的に勝つチームの持つ元気さ、生命力というものが出ていないという面を指摘しておきたい。
逃さずショットを打つ気持ちの形成が本当の攻撃性の高いチームなのだが、若いチームの持つエネルギーが迸るような姿勢への変貌が鍵だと見えた。
成蹊大学もミスは多かったが、若いチームにはあり勝ちなものだと割り切り、ミスのリカバリーに集中し奪い返す事に集中できればミスを怖がらないプレーに繋がるはずだ。
今季学習院と成蹊は A,B別のグループに分かれてシーズンを戦う。先日発表された全日本大学選手権の概要では、関東のファイナリスト2校が大学選手権に出場できる。先ずは初のファイナル4に入ることが目標になるが、日本一という目標への道が広がった今年は、逆に8月中のリーグ戦グループ予選の数試合で可能性がなくなる場合もあり得る。その時までに、どのようにチームが進化しているのか楽しみが増えた。
2022年関東地区女子1部リーグ戦情報
女子は各グループ 7位は自動降格 5位6位は入れ替え戦(のはず)
Aグループ 明治大学、立教大学、早稲田大学、青山学院大学、学習院大学、中央大学、日本女子体育大学
Bグループ 日本体育大学、慶應義塾大学、東海大学、成蹊大学、法政大学、東京農業大学、明治学院大学
お互いが決勝戦で相まみえるには共に、1位か、共に2位通過しかないが、予断を許さない今季のリーグ戦先ずは初戦でどのように変貌しているか?守りたくなる気持ちになり勝ちだが、今季は活発な攻め合いを予想している。攻め抜く事こそ「日本一」への鍵であると信じて戦ってみてはいかがだろう。
やっぱり、ラクロスって最高!
こぶ平