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【WEB連載】教えて純一さん 第1回:大切なチームメイトに「部活を辞めたい」と言われたときに寄り添う5つのポイント【組織論】

こんにちは~!純一です。

まずは自己紹介です。

ラクロス21年目。ポジションはアタックで、今は全国の大学やクラブチームを周りながらラクロスを上手くなる方法を伝えながらコーチしています。

グランドで見かけたらコーチさん!というよりは、ラクロス好きな先輩という感じで、気軽に話しかけていただけると嬉しいです。

教えて純一さん 第1回

これから週に一回、ラクロスを上手くなりたい人や組織を強くしたい人の疑問やお悩みにお答えしていきたいと思います。

第1回目の今回は、「大切なチームメイトに「部活を辞めたい」と言われたときに寄り添う5つのポイント」というテーマについてお話ししていきたいと思います。

僕がやっているInstagramで、質問を募集した時に本当にたくさんの質問をいただいたのですが、その中でこんな質問がありました。

 

「じゅんいちさん。はじめまして!今私の部活では辞めたいと言っている同級生がいます。色々状況があるということは聞いているのですが同級生なのでチームに残って欲しいと思っています。何かヒントになるお話しが聞きたいです」

 

この質問は、後回しにすると明日には辞めちゃうかもしれない緊急案件なので、一番最初に答えたいと思い、このテーマからいきたいと思います!

大切なチームメイトに「部活を辞めたい」と言われたときに寄り添う5つのポイント」

僕自身も選手時代もコーチ時代も何度も仲間が辞めていくという状況を経験してきました。一緒に頑張っていた仲間が辞めたいと伝えてきた時はチームのみんなもどうしよう、、と迷いますよね。

せっかく縁があって出会ったのに、大きくもめて大学にすらも来れなくなってしまったという悲しいこともありました。そんな事態だけはぜったいに避けたいです。

大事な仲間が辞めたいと伝えて来た時に僕が考える心がけたいポイントを5つ解説したいと思います。

<5つのポイント>
① 前向きな理由なのか、後ろ向きな理由なのかを聞く
② 辞めてもいいし、残ってもいい。どちらにせよあなたの味方だよというスタンスで話を聞く
③ 話を聞くときはとにかく共感して聞く
④ チームのためにという、こちら事情で引き留めない
⑤ 本人が気づいていない、チームにとってあなたが必要な部分を伝える

ひとつずつ解説していきます。

① 前向きな理由なのか後ろ向きな理由なのかを聞く

せっかく入った部活を辞めたいと思うには必ず何か理由があります。

辞めたい理由には大きく分けて2つあります。

・やりたいことが他にできた
・続けるのがつらくなった

・やりたいことが他にできたという場合

もしも話を聞いた時に、次にやりたいことがある!という前向きな理由なら全力で応援して、送り出してあげて欲しいです。

僕がコーチをしていた選手に、ドイツにどうしても留学したいと退部した教え子がいます。チームのムードメーカーだったので、みんな退部を惜しみましたが最後は応援して前向きに送り出すことにしました。その選手は帰国後も仲間としてリーグも応援にきてくれて、試合前にみんなの緊張をほぐしてくれました。

その選手から卒業前にもらったメッセージを本人に許可を得たのでシェアします。

「いまだに私が辞める報告をしたときに純一さんが言ってくださった言葉を覚えています。『いますぐにでも、クロスへし折って明日にでもやめよう。人生は短いんだから、自分がこうだなと思ったなら、悩んでいる暇はない』と。
純一さんはラクロスが大好きで、普通、部活のコーチとかは”個人”より”部”を優先するだろうから当然止められると思っていて、だからこそ、その言葉を聞いた時私個人を大切に考えてくれてるんだなって思いました。本当に感動しました。その節はありがとうございました。」

こう言って、笑顔で卒業していきました。

ラクロスをするのは、学生生活を学びがあって豊かなものにするためです。もしも他に追いかけたいものができたのであれば、一度の人生、仲間が決めたことを応援してあげたいですよね。

・続けるのがつらくなったという場合

続けるのがつらくなったという理由なら、しっかりと寄り添ってまずは話を聞いてあげて欲しいです。
親とうまくいっていない、学校の単位がまずい、バイトをしないとだめなのに両立できない、人間関係に悩んでいるなど、理由は必ずしもラクロスだけではないことが多いです。
話を聞くときのポイントをここからお話ししていきます。

 

② やめてもいいし、残ってもいい。どちらにせよあなたの味方だよというスタンスで話を聞く

まず一番大切なことは、話を聞いてあげることです。
辞めたいと聞いたときに、「辞めないでほしい!」という気持が出てしまいますが、辞めても残っても、あたなが一番いい学生生活だったと思えるならどちらでもいい、というフラットな気持で聞くことが大切です。

心には受け止められるキャパシティがあります。そのキャパシティは人によって差があって、プールくらい大きな人もいれば、コップくらい小さな人もいます。
同じことが起こっても、受け止め方は人ぞれぞれです。

心の中で抱えてもやもやすると水位はどんどん増していくし、人に話すと、自分はこういう風に感じてるんやと認識できて、水位は下がっていきます。
まずはつらくなって溢れそうになっている気持に寄り添って、話を聞いてあげることが重要です。
コーチを12年やって来て話をちゃんと聞くと、辞めたいと相談してくれた半分強の選手は楽になったり、自分でチームにいることの良さに気づいたりして、最後までチームの一員として頑張り引退していきました。

③ 話を聞くときは共感して聞く


話を聞くときはしっかりと目を見て傾聴します。
傾聴とは、相手の話を相手の立場に立って、相手の気持に共感しながら理解しようとすることです。相手の話を否定せずに、なぜそのように考えるようになったのか、肯定的に聞きます。
そうすることで、相手は安心して話をすることができます。
逆に、話をさえぎったり、話を聞かず自分の話を沢山してしまうというのは避けた方が良いです。

④ チームのためにという、こちら事情で引き留めない

一番やってはいけないのは、チームのためを考えてるの!?とかこっちの事情も考えて欲しい!と意見を押し付けることです。
そもそも辞めたくなるには辞めたくなるだけの事情があるので、まずそこに共感してもらえない相手が、要求だけをぶつけてくると余計に心は離れてしまいます。
仲間を思いやって相手の立場に立つことが大切です。

⑤ 本人が気づいていない、チームにとってあなたが必要な部分を伝える

人は誰でも友人や社会から受け入れられたいという社会的欲求や、他者から認められたいという承認欲求があります。
所属しているチームから辞めたいと思う人は、それを感じることができないという状態になっていることが多いです。

主務としていつも部の仕事をしてくれていていたアタックの選手がいました。チームメイトからも、その選手に助けられてるんです!とよく聞いてました。
ある日そのアタックの選手から、「チームに自分がいる意味が感じられなくて辞めたい」と相談されました。どしたん?と聞くと、「点を取れるイメージが沸かずに、チームに自分がいる意味がないと感じています」とのこと。僕は、「あなたがいてくれるから、部がまわっていてみんなも感謝してると良く聞いてるよ。チームにいなくてはならない存在なんよ。」と伝えました。

その選手は、その後もうひと頑張りしてみると言って部活を続け、縁の下の力持ちとして支えてくれただけでなく、リーグで出場し得点まで取りました。その選手が点を取った時は、ベンチからも全員飛び出す勢いでその選手に抱きつきにいきました。

苦しいと思っている選手は、自分がどれだけチームに必要とされているか、自分では気づけていないことがあります。家族でも言葉で伝えなくては気持は伝わらないので、チームメイトにはなおさらです。
どれだけ自分たちにとってあなたが大切で必要かということはしっかりと伝えることで、もう一度前を向けることも少なくありません。

しっかりと話し合った結果、それでもチームを離れるとなった場合は、本人が一番心苦しい思いをします。学校で見かけたら変わらず話しかけてあげて欲しいし、応援し合う関係性でいつづけて欲しいです。

最後に

今回は 大切なチームメイトに「部活を辞めたい」と言われたときに寄り添う5つのポイント についてお話ししました。

<5つのポイント>
① 前向きな理由なのか、後ろ向きな理由なのかを聞く
② 辞めてもいいし、残ってもいい。どちらにせよあなたの味方だよというスタンスで話を聞く
③ 話を聞くときはとにかく共感して聞く
④ チームのためにという、こちら事情で引き留めない
⑤ 本人が気づいていない、チームにとってあなたが必要な部分を伝える

人生一度きりで、その中でも大切な大学の4年間なので、後悔の無いようにいい時間を過ごして欲しいなと思います。
もしも周りの大切な人が悩んでいたら、しっかりと話を聞いてあげて、本人にとって悔いのない答えをだせるように是非寄り添ってあげてください。

読んでいただきありがとうございました!

ー 筆者プロフィール

田中純一さん
【名前】田中 純一
【出身地】兵庫県
【現在のラクロス活動】全国の大学やクラブチームを周ってオフェンスコーチとして活動中

【ラクロスプレーヤー歴】
2001年〜2005年 同志社大学
2005年〜2008年 Goldzealer
2010年~左大文字ラクロスクラブ

【ラクロスコーチ歴】
2009年〜2010年 同志社大学ATコーチ
2013年~2014年 同志社大学ATコーチ
2015年~2017年 神戸大学AT&ヘッドコーチ
2018年 関西選抜RED ヘッドコーチ
2019年 愛知教育大学ATコーチ

【資格】
ラクロスコーチA級ライセンス
販売士2級

【ラクロス選抜歴】
関西ユース
U20日本代表
U21日本代表
関西選抜RED

【ラクロス受賞歴】
2001年 関西学生リーグ準優勝 全国3位
2005年 全日本クラブチーム選手権 全国3位
2006年 全日本クラブチーム選手権 全国3位
2009年 関西学生リーグ準優勝
2010年 関西学生リーグ優勝 全国準優勝
2013年 関西学生リーグ準優勝
2015年 関西学生リーグ一部昇格
2019年 東海学生リーグ準優勝

 

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