【WEB連載】教えて純一さん 第 2 回:ミスとの上手な付き合い方【個人能力】
こんにちは~!純一です。
まずは自己紹介です。
ラクロス21年目。ポジションはアタックで、今は全国の大学やクラブチームを周りながらラクロスが上手くなる方法を伝えながらコーチしています。
グランドで見かけたらコーチさん!というよりは、ラクロス好きな先輩という感じで、気軽に話しかけていただけると嬉しいです。
■ 教えて純一さん!目次
第1回:大切なチームメイトに「部活を辞めたい」と言われたときに寄り添う5つのポイント
第2回:ミスとの上手な付き合い方
第3回:人を巻き込む方法
第4回:緊張と上手に付き合う為の5つのアイデア
第5回:強いチームの共通点とは?前編
第6回:強いチームの共通点とは? 後編
第7回:人と差をつける!時間の使い方
第8回:成長を感じられない時期を乗り越えるための3つのコツ
第9回:就活で不安になったときに意識したい3つのこと
第10回: 誰でも最短で上手くなれる!3つのステップ
第11回:これは有料級!ラクロスで “点を取る” ために考えていること
今日のテーマは「ミスとの上手な付き合い方」という内容でお話ししてきたいと思います。
こんな質問をいただきました。
1年生の頃から壁当てやダッジを参考に練習させてもらっています。私はメンタルが弱く、練習でも試合でもミスをしたらずっとそのミスしたことを引きずってしまいその日は調子の悪い日になってしまいます。何を気を付けたらいいですか?
こういう質問をいただきましたので解説していきたいと思います。
ミスとの上手な付き合い方
ミスが続いた時は、「やばい、次もミスったらどうしよう」と心でつぶやいてしまい、ミスすることに対して必要以上にビビッて消極的なプレーになってしまうことありますよね。
ラクロスは時間内に相手より点を取れるかどうかのボールゲームです。自分やチームのミスをいかに断ち切り、自分たちの流れに持っていくかということが非常に重要なポイントになります。
僕がミスとどう付き合って、どう前を向いてきたか。
率いたチームがミスが続いている時にどうやって流れを取り戻してきたか。
本日は下記の3つに分解してお話ししていきたいと思います。
① 自分にかける言葉を前向きにする
② 仲間にかける言葉を前向きにする
③ 具体的にミスを減らす練習方法
では早速行きましょう!
① 自分にかける言葉前向きにする
・一流アスリートでもミスと向き合っている。
僕が選手としてミスと向き合う時にいつも思い出すトップアスリートたちの言葉があります。
「10本連続でシュートを外しても僕はためらわない。次の一本が成功すれば、それは100本連続で成功する最初の1本目かもしれないだろう」マイケル・ジョーダン
「僕は決して打率4割とは言わないんです。6割の失敗は許してやるわ、と。いつもそう言っているんです」イチロー
僕のポジションはアタックなので、試合開始直後シュートを4本連続で外しても、ゴールへ向かっていかなければなりません。そういう時にいつも、この2人の言葉を思い出します。
完璧を追及しすぎるのではなく、ミスを許す姿勢が前提として大切になります。
・セルフトークを前向きなものにする。
私たちは一日に4万回から6万回も心の中で言葉をつぶやいています。
その言葉を「セルフトーク(自己会話)」といいます。人間の心と言葉は繋がっていて、「ミスしたどうしよう、、」とため息をつくとどんどん気持が沈んでいく一方、顔を上げて胸をはり「次は点とるぞ!!!」というと気持は高まって行きます。
あなたは自分に何という言葉をかけると前向きになれますか?
僕は「そういう時もある!」というと落ち着きます。
自分自身が一番切り替わる言葉を練習中に探して武器としてもっておくことがお勧めです。
・後ろ向きな気持のときこそ、チームメイトを褒める!
それでも、大事なシーンで失点したり、シュートを外したりすると気持が凹んでしまいますよね。
そんな時は、味方のいいプレーを見つけて褒めると良いです。
自分の発する言葉はそのまま自分に返ってくるので、言葉にひっぱられて気持が上がってきます。
・ミスしたらリカバリーを頑張れば良い
練習中や、試合中でミスしたからといってへこんだり後悔するよりも、切替えていいパフォーマンスに戻すことに集中したいですよね。
そのコツは、リカバリーする!ということに意識を切り替えることです。
例えば、パスミスで敵ボールになったらライドを頑張る。ダウンボールしてしまったら、グランドボールに必死に食らいつく。いつもに増してチームに前向きな声をだす。
結果として取り返せるかどうかということよりも、その姿勢をもつこと自体が、自分自身にとってもチームにとっても前向きな影響を与えます。
② 仲間にかける言葉を前向きにする
・勝とうではなく、出し切ろう。
僕自身もコーチをしながらつい使ってしまいがちな、「勝とう!」という言葉。
これは、チームが緊張するようなシーンで使うとミスを誘ってしまう可能性があります。
勝てるかどうかは、相手次第なところがあるので、もしも勝つ!!と思っていたチームに立てつづけに失点してしまうと焦りが発生します。
今までたくさんのチームのコーチをして一番みんなが前向きに戦える言葉が「やってきたことを出し切ろう!」です。やってきたことを出し切る!ということは敵にかかわらず自分でできることなので、敵がどうあろうと状況がどうあろうと、前を向いて立ち向かいことができます。
・「ミスしない」という言葉を使わない。
関西のファイナル3という大切な試合で、コーチの一人が「今日はみんなも分かっていると思うけど大事な試合。ミスは絶対しないように。」と試合前に声をかけました。
開始直後、全員がかっちこちに固くなりミスが続き大量失点しました。
ミスをしたくない、ミスを切りたい時こそ「ミスしない」という言葉は避けた方が良いです。
例えば、「青い象のことだけは絶対に考えないで!!」と言われるとどうでしょうか。
青い象が頭の中にでてきてしまいませんでしたか?
「ミスをしない!」と言葉にするとミスに意識が引っ張られてしまうので、「とりやすいパスを投げよう」などという言葉を使うことを意識すると良いです。
また、チーム全体としては、ミスをしないように!と言うと緊張したり消極的になるので、「大丈夫。一緒に頑張ってきたチームメイトがカバーするから思い切ってやってこい!」という姿勢でいることが積極的なプレーを生みだし、いい流れを作ることができます。
・流れが相手にいってしまったらまずは一回止める。
今までたくさん試合してきましたが、試合に負けてしまう『パターン』があります。
相手に流れが行き点差が開く。
↓
焦ってしまいキーマンが突っ込む。
↓
キーマン撃沈。
↓
敗戦。
こんな試合経験したことありませんか?
流れが相手に行っている時は、一度タイムアウトなどで『切る』ことが大切です。
僕が経験した大逆転勝利劇のひとつ、
関西ファイナル3ではベンチではこんなやり取りがされました。
後半ラスト10分3点ビハインド。
絶対取られたくなかった3点目を失点した瞬間、「タイムアウト!」と審判に要求しました。
チームの全員の表情に負けがよぎったのが見えたからです。
チームのみんながとぼとぼと悲壮感ある顔で帰ってきたので、笑顔でこんな言葉をかけました。
「これは流石にきっついな!きっとスタンドのみんなも相手が勝つと思ってるんやろな~」
そしてみんなの顔を見ながら真剣な顔でこう言いました。
「でも、こっから逆転したらめちゃくちゃおもろない?我々はここからやってきたことを全力で出し切る!ディフェンス!!失点してもいいからハイプレッシャーで奪い返せ!オフェンス!!強気でゴールへ向かえ!我々ならやれる!」
目の色が変わった選手たちは、会場の大声援の中ゴールを守り、点を奪い、見事奇跡の逆転勝利を納めました。
焦った集団を落ち着かせ前を向かせるには、焦って一気に流れを取ろうとするのではなく、一度悪い流れを切り、自分たちの方に流れを取りに行く。ここが重要です。
③ 具体的にミスを減らす練習方法
そもそも、練習や試合でミスをできる限りしないように自主練しておくことは何よりも大事です。
個人技術を極めてミスを減らす練習方法をシェアします。
・パスミスを減らす、壁当てのススメ
僕が大学2年生の時にハワイ遠征に行った時Casey Powellという大好きなメジャーリーガーが試合に来ていました。僕は一対一は強かったのですが、キャッチミスに悩んでいたので、「どうしたらキャッチが上手くなりますか?」と聞きました。「Wall ball」と言ってメニューを教えてくれました。
帰国後、雨の日も晴れの日も毎日必ずこの壁当てをしました。
2年生の時は9割一対一からのシュートで得点していましたが、壁当てをした一年後どんな球でもミスしなくなり、半分以上がクリース前でキャッチするシュートに進化しました。
・シュートミスを減らすシュー練のススメ
よくシュートをどうしたら決められるようになりますか?という質問をいただきます。しかしよくよく聞くと、練習外でシュー練をしていない人がとっても多いです。
水泳で、水に入ってない状態で、いくらクロールをどうやったら泳げるかと考えていても泳げるようにはなりません。まずは水に飛び込んである程度泳いでみないとですよね。
シュー練も同じで、ゴーリーを捕まえ毎日練習前後にシュー練すれば、自然と練習や試合で得点を取れるようになります。
・判断ミスを減らす、イメトレのススメ
どう動いていいのか分からずに起こる連携のミスに関しては、イメトレで解決できます。
一つは、自分自身がどう動くのかというイメージを動画で見る事。同じポジションの上手い先輩を見るのがお勧めです。
もう一つは、味方がどういう癖があるか?というのをビデオを見ながらイメトレします。このMFはダッジ得意やから持ったら絶対パスせずに一対一行きたいんやな。とか、このATは足に自信ないからパスを出す選択肢早めに欲しいんやな。などと考えながら確認します。
最後に
今日は「ミスとの上手な付き合い方」というテーマでお話ししました。
①自分にかける言葉を前向きにする
・一流アスリートでもミスと向き合っている
・セルフトークを前向きなものにする
・後ろ向きな気持のときこそ、チームメイトを褒める
・ミスしたらリカバリーを頑張れば良い
②仲間にかける言葉を前向きにする
・勝とうではなく、出し切ろう
・「ミスしない」という言葉を使わない
・流れが相手にいってしまったらまずは一回止める
③具体的にミスを減らす練習方法
・パスミスを減らす、壁当てのススメ
・シュートミスを減らすシュー練のススメ
・判断ミスを減らす、イメトレのススメ
一つでも自分に活かせそうなものがあれば取り入れていただけたら嬉しいです。
ミスを完璧になくすことはできませんが、上手く付き合い自分自身やチームのパフォーマンスを良くして、ラクロスを極めて行けるように願っています!
最後まで読んでいただきありがとうございました!
ー 筆者プロフィール
【名前】田中 純一 IG:@22junichi_oam
【出身地】兵庫県
【現在のラクロス活動】全国の大学やクラブチームを周ってオフェンスコーチとして活動中
【ラクロスプレーヤー歴】
2001年〜2005年 同志社大学
2005年〜2008年 Goldzealer
2010年~左大文字ラクロスクラブ
【ラクロスコーチ歴】
2009年〜2010年 同志社大学ATコーチ
2013年~2014年 同志社大学ATコーチ
2015年~2017年 神戸大学AT&ヘッドコーチ
2018年 関西選抜RED ヘッドコーチ
2019年 愛知教育大学ATコーチ
【資格】
ラクロスコーチA級ライセンス
販売士2級
【ラクロス選抜歴】
関西ユース
U20日本代表
U21日本代表
関西選抜RED
【ラクロス受賞歴】
2001年 関西学生リーグ準優勝 全国3位
2005年 全日本クラブチーム選手権 全国3位
2006年 全日本クラブチーム選手権 全国3位
2009年 関西学生リーグ準優勝
2010年 関西学生リーグ優勝 全国準優勝
2013年 関西学生リーグ準優勝
2015年 関西学生リーグ一部昇格
2019年 東海学生リーグ準優勝