教えて純一さん5

【WEB連載】教えて純一さん|第5回:強いチームの共通点とは?【組織論】 前編

こんにちは~!純一です。
まずは自己紹介です。
ラクロス21年目、ポジションはアタックです。
得意プレーはシュートと1on1。
今は全国の大学やクラブチームで「純一さん教えにきて~!」と言ってくださったチームを周りながらラクロスしています。

田中純一 ラクロス

今日のテーマは「強いチームの共通点とは」という内容でお話ししてきたいと思います。

質問をいただきました。

わたし達のチームは来年に向けて3年生中心に今動き出しています。今年のリーグで目標を達成できなかったので、来年こそは強いチームを作りたいと思っています。どう考えればいいか教えていただきたいです!

instagramで質問を募集した中でダントツで一番お声の多かったのが、この「強いチームの共通点とは。」というテーマです。「何から頑張っていいかわからないです」「強い組織にするにはどうしたらいいですか?」こんな質問を本当に沢山いただきました。

ラクロスを20年しているので、いろんなチームに所属して来ましたが、伝統的に強いチームや、チーム開始時点では強くなくても、シーズン終わりには別のチームのように強くなるチームを沢山見てきました。
このチームは強かったなぁというチームの共通点を、前編と後編2回に分けてお話ししていこうと思います。
これから、新チームを考えて行こうとしているチームも多いと思います。何か少しでも考えるヒントになれば嬉しいです。

強いチームの共通点とは

強いチームの共通点 前編

①ただ練習するのではなく、目的を考えている。
②挨拶を大切にしている。
③行動力がすごい。

強いチームの共通点 後編

④ひとに温かく、プレーは妥協しない。
⑤ワクワクして楽しんでいる。
⑥荷物が整理されている。
⑦量の力を知っている。

では早速解説していきます。

①ただ練習するのではなく、目的を考えている。

・練習の内容の違い

強いチームはどんな練習メニューをしてますか?と聞かれることがあるのですが、実は強豪チームでも強くないチームでもほとんど同じような練習メニューで練習しています。

差があるのは、メニューではなく意識しているポイントのレベルです。

例えば同じパスメニューにしても、普通のチームは「ただ投げて取る」ということを毎日やっているのに対して、強いチームはなぜこの練習をするのか、という目的を明確にしています。

例えば、

  • 「自分たちは、今年ブレイクで点を取りたいので、パス距離を長くとります」
  • 「パス距離長くても相手にインターセプトされないように速い球を投げましょう」
  • 「試合の時の視野を広げていきたいので、取る前に逆サイドまで確認して走り出しましょう」

こうやって、同じメニューでも自分たちはどんなラクロスを目指していてこれをやるのかということを全員が理解してメニューに入ります。
ざっくりと取って投げる練習ではなく、握る位置や、ボールを取る位置、クレードルのかけ方など、本当に細かいことの精度にこだわって練習をします。

練習メニュー自体も、去年からやっているから今年もやるということではなく、自分たちの課題や、目指したいラクロスをするためには何をしたらいいのか??という視点でメニューを組み立てたり、随時変更したりします。

ただ練習をこなすのでなく、目的を考えていること。そこが大きな差です。

ラクロスは限られた時間の中で、点を奪い合うボールゲームです。
シンプルに考えると、ポゼッション時間長い方が、相手にシュートを打たれる本数が減り、自分たちが沢山シュートを打てるので有利です。

田中純一の頭の中

僕は上の図のようにラクロスを見ています。

  • まずポゼッションをいかに相手より増やすか。
  • そして、シュート本数と決定率を相手より上げれるか。

大切なのは、今やっているメニューが何につながるのか?
どこを伸ばしたくてやっているのか?という目的をみんなで理解して練習することです。

同じパスメニューでも、クリアのミスを無くすためにするパス練習と、セットオフェンスのゴール前へのフィードを通すためのパス練習では、意識するポイントも違いますよね。

全チームがみんな勝ちたいと思って練習している中で、1年間の間にどれだけレベルを上げることができるか?という競争なので、目的をしっかりと考えながら練習するチームは早く強くなることができます。

②挨拶を大切にしている。

え、挨拶で何が変わるの!?と思うかもしれませんが、実はとても大切なんです。

強いチームで挨拶が無かったり、声が小さかったりするチームはありません。

仕事で今週は疲れたなあと思ってグランドにいっても、「純一さん!おはようございます!!」と、声を聞くだけで元気になってしまうような、さわやかな挨拶をしてくれます。

挨拶がチームに与える効果はいくつかあります。

【挨拶がチームに与える効果その1・所属と愛の欲求が満たされる。】

一つは、挨拶をすることで、チームに所属する全員が「自分はチームにとって大切な存在だ」と思えることです。

マズローの5段階欲求って聞いたことありますか??

人の欲求は5段階のピラミッドのように構成されるという心理学理論の一つです。

 

 

  1. 生理的欲求  食べたい寝たいなど生きるための欲求
  2. 安全の欲求  身の安全を守りたいという欲求
  3. 所属と愛の欲求      他者と関わりたいという欲求
  4. 承認欲求            存在価値を認められたいという欲求
  5. 自己実現の欲求      自分の能力や可能性を発揮したいという欲求

人は、他者と関わりたいという 所属と愛の欲求があります。

先輩に挨拶して、ちらっとこっちを見てどこかへ行ってしまうと悲しいですよね。

逆に、「〇〇、おはよ~!」と、名前を呼ばれて笑顔で挨拶されるといい気分になります。それは所属と愛の欲求が満たされるからです。

この欲求の段階でおもしろいのは、欲求は低いものから順番に現れて、その欲求が『ある程度満たされると次の欲求が現れる』というところです。

こんな選手になりたい!という自己実現欲求や、上手くなったと言われたいという承認欲求は、その下の所属と愛の欲求が満たされないと現れないということです。

 

あるチームでリーダーから「Bチームの〇〇は、なんでもっと頑張ってくれないんやろう」と相談されました。よくよく彼女を見ていると、少し下がったところにいたり、朝もあまり目を合わせてくれないように見えました。

僕はその日から、朝彼女に会った時に「〇〇、おはよ~!」と声をかけるようにしました。

ある日、「〇〇おはよ!最近調子はどう?」と聞くと、「シュートが入らないからフェイクを教えて欲しい」と言ってくれました。

そんなん俺の得意分野やん!ということで、朝練習が始まる前に一緒にシュート練習をするようになり、彼女は別人のように上手くなって、リーグ戦でたくさん得点を取ってチームを救ってくれました。

 

チームの仲間全員が、しっかりと所属と愛の欲求が満たされている。

そういう状態を作ることが、全員がレベルを上げていくには必要不可欠です。

 

 

【挨拶がチームに与える効果その2・心理的安全性を生むことができる。】

 

心理的安全性とは、組織の中で自分の考えや気持ちを誰に対してでも安心して発言できる状態のことです。

とってもラクロスが下手だったチームが、地区で決勝に進んだり優勝したことも何度も経験しました。

そういうチームの共通点は、後輩が先輩に話しかけやすい雰囲気づくりを意識的に行っている、ということです。自分は何をしたいと伝えたり、ミスしても大丈夫だと安心してチャレンジできるチームは強くなります。

どんなにプレー中に厳しく意見を言い合ったとしても、グランドを出て帰るときには笑顔で「〇〇おつかれ~!」と挨拶する。朝「〇〇、おはよ~」と挨拶する。

そうすることで、心理的安全性が生まれ「もっとオフェンスこうした方がいいと思います!」「ここはどうしたらいいですか?」など安心して話すことができるようになります。

特に上級生から下級生へ意識的に挨拶をするようにしましょう。

 

【挨拶がチームに与える効果その3・周囲から応援され、チームに誇りを持つことができる。】

大学の守衛さんや、清掃スタッフさん、親御さんなど、周囲の人への気持のいい挨拶をすることで、周囲からも応援されます。大学のトラックを運転するおっちゃんが、いつも遅刻しそうな選手を車に乗せてくれたり、備品を運んでくれるということもありました。

自分たちのチームはこんなにも多くの人に応援されるんだと知ることができ、誇りが持てるという面でも挨拶の効果は絶大です。

③行動力がすごい。

脳科学者の茂木さんの著書に、『セレンディピティの時代 偶然の幸運に出会う方法』という本があります。

めっちゃ面白いので、良かったら読んで見て欲しいのですが、結論行動すると、思いもよらぬ幸運に出会うよ!という内容です。

・試合後すぐに対戦相手チームのコーチ(僕)に技術指導を依頼してきたチーム。

地区リーグの決勝戦ファイナルで戦い負けた日の夜に、対戦相手チームのオフェンスリーダーからラインが来ました。

「私たちの実力ではまだ全国を突破していけるかどうかは分からないです。是非純一さんのダッジをオフェンス陣に教えて欲しいです」

試合当日に、まさかそんなことを言われるなんて思ってもいなかったので、本当にびっくりしました。

なぜその選手が僕のダッジを知っていたのかと言うと、トレーナーさんが近所の選手にフットワークを教えるという会を開いていて、そこに偶然一緒に参加していました。

その時一緒に練習した選手たちは、僕だけではなく、沢山の一流選手から技術を取り入れて、その後数回全国優勝しました。

・幹部が何度も会社の下に会いに来たチーム。

僕自身が選手を引退すると決めた年に、母校の女子ラクロス部から「一度会って欲しい」と連絡をいただきました。

幹部全員で会社まで来ると言うので、会社近くのお店で話をすることになりました。

そこで、「4年生が引退して、試合経験がないメンバーばかりになってしまいました。でも何としても上手くなりたいので、是非とも自分たちのチームのコーチをして欲しい」と言われました。

何で知ったの?と聞くと、「ラクロス協会の人に誰かいい人いませんかと言うと、シュートが死ぬほど好きな選手が引退すると言っていたので、全く知らないんですが会いにきました」とのこと。

そのチームは、ほぼリーグ経験がない状態から、地区リーグ決勝戦まで勝ち進みました。そして翌年には全国大会決勝まで勝ちあがり、僕自身にとって最高の出会いでしたし、チームにとっても最高の出会いであったと思います。

 

強いチームは、行動力があります。

理由や目的があってもなくても、行動するとセレンディピティにあたる確率が上がります。

まず行動する。こういうチームが運までも味方にする、強いチームです。

 

今日は強いチームの共通点とは?前編とというお話しをしてきました。

 

強いチームの共通点 前編

①ただ練習するのではなく、目的を考えている。
②挨拶を大切にしている。
③行動力がすごい。

強いチームの共通点 後編

④ひとに温かく、プレーは妥協しない。
⑤ワクワクして楽しんでいる。
⑥荷物が整理されている。
⑦量の力を知っている。

今から新チームのことを考える時期になるチームも多いと思います。

少しでも何かのヒントになりますように!!

今日も最後まで読んでいただき、ありがとうございました~~!!

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